第3話 ファンタジー世界で初めての冒険
未来は、冒険者登録をしてから1年間書店に勤めながら、冒険者として活躍していた。未来は、最初の仕事は簡単な仕事だろうと高を括っていたが、その期待は多いに外れた。
初めての仕事から強い魔物の討伐依頼をこなすことに。それでも、未来は音を上げることなく、どんどん依頼をこなしていたのですぐに生活をできるくらいのお金を稼ぐことができた。
1カ月目から生計を立てられるくらいの稼ぎにはなっていた。少しなら贅沢できてしまうくらいには。だが、未来はそのお金で贅沢することはなく、貯める堅実さを持っていた。
エリスでの宿の収入と冒険者としての収入と書店での収入を合わせると、日本円にして年収700万円という高所得であった。これを一年間貯めて目的を果たそうとしていた。
未来は、何をしたかったのかというと、この広い世界を冒険したいということだった。そのためだったら、どんな辛い仕事でもこなせると思っていた。最初から死なずに強敵揃いのモンスターを倒せたのは、魔法を使える幅が広かった上に魔法の火力が強かったからだと思う。
普通の上級職ならこうもいかなかったかもしれない。未来は、この世界でも神童だったのだ。ただ唯一の弱点は、魔法の火力のコントロールができないことだった。そのため、パーティーメンバーを募っても応募してくれる人はいない。
未来は、ほとんどのクエストをソロで挑んでいる。強いモンスターにソロで挑むのは、普通なら無謀といってもいいかもしれない。しかし、未来の魔法はほぼ防御、攻撃、支援、デバフ全部できてしまうので、1人でもどうにかなってしまう。
でも、パーティーでわいわいしたいと考えている未来にとっては、この現状は好ましくないため、この町を出ようとなんとも安直な考えで決めてしまうくらい未来は抜けている。
じゃあお金は何のために貯めているのか。それは、世界に飛び出した時に宿や食料などの調達にはお金がかかることを未来は、身をもって知っている。だから、すぐにでも行きたい気持ちを持っていても、まだ計画を実行しないのである。
冒険者になって、1年を迎えるこの日に目標が達成された。まずは、書店の仕事を辞めて世界への冒険の準備をした。国を出るための手続きは色々あるため、1日では終わらない。
最低でも2週間から1カ月はかかってしまう。それまでの期間は、冒険者としてのクエストも受けている余裕はないので、エリスの宿の仕事をしてバリバリ仕事をした。そして、手続き完了したときエリスに別れを告げた。
「エリス今までありがとうございました。この御恩は一生忘れません。」未来は涙を流しながらお別れの言葉をいった。エリスもエリスで別れを惜しんでくれた。「未来ちゃんと近況報告の手紙を書くんだよ待っているからね。」
未来は、「はい。もちろんです。」と答えエリスの宿を後にした。
そして、ミゼルスシティの正門前までくると、一礼して「ありがとうございました」と未来は言い、この広い世界へと旅立っていった。
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