第2話 お仕事開始と魔法使い

未来は、朝目覚めて朝食をとっていた。未来にとって書店の仕事は、初めてなので不安を抱いていた。ほとんど家に閉じこもって小説を書いていた生活で外に出るのは、生活費を稼ぐためのコンビニのお仕事の時だけだった。


そのため、書店の仕事というのは新鮮で楽しみでもあったが、全く未知の領域の仕事で不安の気持ちも持っていた。それにここは未来のいた世界の日本ではない。そこが不安の根源だった部分だろう。


しかし、お仕事をしないと生活できないのもたしか。だからできるだけ自分に合っている仕事を選んだつもりだった。


顔を洗い、着替えを済ませていざ書店のお仕事へ。


書店に着くと店主の人が出迎えてくれた。その書店は魔法関係の本を取り扱っている個人経営のお店だった。そのため、書店には店主と未来しか店員がいない。店主は、人手が足りなくて本当に困っていたところ未来がきたので助かっていた。


まだ書店の仕事を覚えきれていない未来は、即戦力とはいかない。それは重々わかっていての採用だった。もちろん。未来には自分の仕事の合間をみて教える必要はある。


しかし、未来は店主の動きを見て見様見真似で動ける器量を見せていた。教えたことはすぐに覚えて実践することが未来にはできていた。それだけで店主にとっては、採用して良かったと思うことができた。


店主にとっては、少し時間をかけて教えなければいけないと思っていたので、教育コストを減らせただけでも未来は優秀な人材である。未来は、コンビニ時代もコミュニケーション能力は乏しかったものの、仕事はバリバリにできたので重宝されていた。


その能力をこの書店でも発揮することができたのである。未来は評価が良かったことを嬉しく思っていた。


「未来暇な時は店の本を読んでいてもいいよ」店主は未来に言った。できるだけ店主に言われた仕事を早めに終わらせて、残った時間は店にある本を読んだ。未来は、冒険者になることを夢見るようになっていた。


そのため、できるだけ多くの知識を覚えるために本を読みあさった。読んでいた文献に未来が興味を持つことができる職業があった。その職業は、魔法使いだった。魔法使いに興味を持ったのは、未来がファンタジー小説を書いていた時に一番興味を持っていた職業だったからである。


自分に適正があるのかまだわからないけど、暇さえあれば魔法の本を読んで独学していた。そんな独学の状態で、うまく魔法を使えるはずもない。ただ未来は、日本で勉強している時は、神童と言われたほどの天才だった。


もちろん。今もその理解力や発想力や記憶力は健在だ。その能力で十分に独学ができてしまっていたのである。給料から少しずつ魔法書を買い集めて家として使っている宿で研究を行っていた。


もちろん。今でもエリスの手伝いは変わらずにしているので、余った時間で勉強を行っている。普通の冒険者でも6ヵ月以上でできるようになることを未来は、1カ月でこなしてしまっていた。


6ヵ月を過ぎた頃には、冒険者として登録しても問題ない実力にはなっていた。お金が溜まっていないので、今も書店で働いているがこの町で冒険者登録を行って、依頼をこなしながらお金を稼いで生活するのもいいかなとも考えるようになった。


まずは冒険者登録を済ませにいかないと何も始まらない。そのため、まずはギルドに行って適正と登録を済ませることにした。店主に事情を伝えて早退してギルドに

冒険者登録をしに行った。


受億付で未来の名前が呼ばれる。「未来さん、ここをまっすぐ行って角を左に行ってすぐの部屋で適正を見ますので、行ってみてください」


未来は、受付の女性の案内に従って道を進んで部屋に入ると、適正検査をするための道具が並べられていてそこに初老くらいの年齢の男性が応対をしてくれた。結果として未来の適性は、魔法適正が異様に高いことが分かった。


そのため、魔法系の職業を強くすすめられた。分かってはいたものの魔法適正がこれほどに高いとは、未来もびっくりの結果だった。魔法系といっても数は多くある。その中から自分に合いそうなものを選んでいかなければならない。


未来の適性値なら、どれを選んでもいいとは言われているが、どれでもいいと言われると悩んでしまうのが人間である。「どれがいいか分からない」と初老の男性に聞くと初老の男性が経験則から合っている職業を教えてくれた。


「この適正があるなら本来なら下級職でやっていくのが定石だが上級職の方が合うだろう。手続きはしといて上げるから上級職の中から選びなさい」


まさかの下級職を経ずに上級職へのジャンプアップである。未来の魔法適正はEXこれ以上にないくらいの適性だったので例外措置だった。本来なら下級職から上級職に年単位の時間をかけて上がっていくのが普通なのだが、未来は異常な数値を叩き出してしまったため、そこの部分を免除されてしまった。


それほどに冒険者の魔法適正が高い人が少ない現状があった。未来は、正直にいうと下積みから始めたかったが、現状がそれを許してくれなかった。そのため、ハイウィザードを選ぶことにした。


未来にとってはただの職業に過ぎず、エンチャントから召喚魔法まで使えるレベルにまでなっていたので、あくまでカテゴリーを決めたのに過ぎなかった。


まずは、受付に戻って登録を行って書店に戻って店主に報告。そして、まだお金がある程度貯まるまでは書店の仕事と並行して、冒険者の仕事をこなすことにした。未来のイメージでは登録したての冒険者では食べていけないと思っていたからで本業を持ちながら冒険者の仕事をしていくことを決意。


未来は、今後の目標を定めて冒険者だけで生計を立てて今の宿を出て生活をする決意をするのであった。

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