一匹狼

結華

一匹狼

オオカミは一人で狩りをしていた。

彼は仲間を必要としなかった。

他の動物たちは彼の大きな体と立派な牙に恐れおののいた。


ある日、オオカミは空から降ってくる火の粉に驚いた。

彼は周りを見回したが、緑だった森は赤黒く燃えていた。


そしてオオカミは小さく鳴いた。

それは孤独や悲しみではなく、飢えや弱さを訴える声だった。


鹿たちはその声に恐れおののいて、

慌てて物陰に隠れた。


しかし、幼い小鹿は違っていた。

彼はオオカミの目に涙があることに気づいた。

彼は自分もかつて母親から離れて泣いたことがあることを思い出した。


彼は勇気を出して、木の実を咥えて1匹でオオカミへと駆け寄った。

そしてオオカミの前に小鹿はそっと木の実を置いた。それは彼なりの優しさだった。


オオカミは初めて触れる優しさに、狼狽する。


そしてオオカミは、小鹿の喉に勢いよく噛み付いた。

それは、彼にとって最大の愛情表現だった。

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一匹狼 結華 @k_yuuka

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