ざっと飛んでウン億年

とあるとある、かなりの水により覆われた星、幾億年の先で【地球】と呼ばれる星にてソレは暴れていた。


ここでのソレは、かのユウキ君ではあるが、容姿といえば転生前とは変わっている。

前は、普通に男の子。といった感じだったが、今では見る影もないかのように女に近く…男の娘へと変貌を遂げている。


そんな彼ではあるが、暴れているのは理由があるかのようで…?


「クッソ、待てやクソキモォ!!」


その言葉と同時に飛び出してきたのは節足動物のような足?に無脊椎動物のような甲羅?、そして顔に当たる部分にある湾曲を描いた昆虫が持ってそうな部位。

そう、カンブリア紀の肉食動物であるアノマロカリスと争っていたのである。


「久しぶりに食べる飯だからって油断してた…」


まさにそれを嘲笑うかの如く音を立てながら泳ぐアノマロカリス。

流石に導火線に火が付いたのかユウキは顔を歪め始めている。


「……………ブッ殺☆」


溢れる怒気と殺気。

流石に不味いと思ったのか逃げるアノマロカリスだが――


「逃さんッ!!【幾千万の御手ェ!!】」


その言葉により彼の身体から腕が発生した。一本二本…などではなく、十本五十本……とその腕はアノマロカリスを追い立てに行き、そして。


グジャッ…

という音によりアノマロカリスはその生涯を終えた。


それに対する彼といえば…


「ハッハッハァーー!!ざまぁみねえのクソ虫がっ!!」

狂犬乱舞というほどに喜んでいる。だからこそ、予定を立て始めている。


「さぁーて。多分会いたかったのとは会えたし、今度は何年単位で眠ろうか?」


そう、不老不死であるがために、いくらでも寝ていいし、いくらでも生きて良い。それが彼であり今のユウキである。

……というか、億単位を1人で生きると発狂する(n敗)ので、彼は年単位で寝ているのだ。


「たっしか…、これのいくらか後に…デぃ……デぃ……」


言葉が詰まる、なにかが思い出せない形でとりあえず浮かんだ言葉だけを呟いている。


「っハァーー!!覚えてられるかぁ!!クッソが!!これだと1年毎に起きないとダメじゃんけぇぇぇ!!」


べしべしげしげし

そんな効果音が出そうな感じで転がっているが実際は、バキュッッ………バキュッッ………チュバンッッ………チュバンッッ………。

的なようにそこら辺の物の存在が消え去っている。



さて、少しばかり別の話をしよう。

神が与えた祝福…つまりスキルだが、【成長】【創造】【耐性】不老不死はついでの副作用のようなものである。

成長は、成長を行い続ける能力であり筋トレのように成長よりは、レベルアップのように上限を上げ続けるのだ。


創造は、モノを創ることは叶わないが、スキルという能力自体は作れ、先程の手も同じだ。

これに関しては彼を呼んだ神が「勝手に創ってくれるでしょ」程度で付けたものであり、スキルに関連するところまで成長するようになっているため、あまりに厄介な祝福【呪い】である。


耐性は、どんなことにでも対する耐性…と、聞こえは良いものの実際は一回喰らわないと耐性は出来ない。だからこそ死ぬことは出来ないし、一生の発狂と言うものが無理になっている。

耐性にさえ限度はあるものの、最上限とも言えるものを喰らい続けてたことにより今の身体には傷一つさえ出来ないだろう。



さて、ここで何が言いたいかといえばかの少年を転生させた神が何をさせたかったかだ。

ぶっちゃけてしまえば、アレは邪神である。

いや、言い方が悪いな…もっと細かく言うのであれば地球を含めたいくつかの世界にとっては邪神であるが、神がいた世界にとっては正義の神である。


世界も概念さえも違えば正義は悪になり、悪は正義へとなる。

ある程度力を持たせ管理をし、時が来たら兵とする。それをしたかったが、ここでやらかしたのだ。

誰にもバレないようにする必要があり、それで使ってしまったのが過去への転生。


己が世界ならともかく、別の世界ともなるといくら失態とはいえ見つけられないし、捕まえられない。

それどころか、数億という時の流れにより、かの神の【力】という名の因子は、彼の中に併合されることにより、その【力】の因子は神とは無関係なものへと変わっている。

……まあ、本人は当たり前に忘れているが。




いずれにせよ、また眠りにつくのだろう。

それでは、また目を覚ます時まで。

おやすみなさいませ。

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星と共にあり続けただけの【人でなし】は地に植えられた塔に立つ 面々麺綿免 @kakikaTa66bbdd

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