九の神話 花園にて

ハデス「この服はどう?」



サヤ「ハデス…!私着せ替え人形じゃないんだけど!」



気に入った服を全部持ってくるハデスにサヤは困惑している。



ハデス「だってサヤに似合う服いっぱいあるんだから。今日はデートなんだしいいでしょ?」



サヤ「デート…うん…いいんだけど…なんで露出が多い服ばっかりなの!」



きょとんとしているハデスに問いかける。



ハデス「サヤスタイルいいんだし…今日は僕のなんだから見せつけたいの。」



サヤ「せめてワンピースぐらいにして!ほぼ水着なの全部!」



ハデス「ワンピース…探してくる。」



そういってハデスは服を探しに行ってしまった…



サヤ「んぅ…嬉しいんだけど、ちょっとセンスが…」



ハデス「見つけた…!サヤ、いいのあったよ!」



サヤ「…!これ、いいかも…!」



持ってきてくれたワンピースをサヤが試着する。



サヤ「うん…いいよー。」



ハデス「開ける…よ…」



そこには、思わず店にいた全員が二度見してしまうほど美しいサヤが立っていた。



ハデスもその美しさに胸を射ぬかれる。



サヤ「に…似合ってるかな…ワンピースが綺麗だから…」



ハデス「すごく…綺麗だよ…他の人に見せたくないぐらいに…」



サヤ「本当…?ありがとう…これ買っていく…!」



サヤはワンピースを着たまま会計を済ませた。



サヤ「お待たせ…デート始めようか…」



ハデス「う…うん…本当に綺麗だよ…!どこから行こうか?」



サヤ「あ、私の家の近くに綺麗な花園があるの。そこに…行きたい…」



ハデス「もちろんだよ僕の姫様…道案内を頼むね。」



サヤ「冗談言わないでよぅ…恥ずかしい…」



ハデス「本当のことを言っただけだよ。かわいいね…」



サヤの髪を耳にかけてハデスは微笑む。



サヤ「あの…もしよかったらなんだけど…手を繋いでもいい?」



ハデス「あぁ…僕としたことが…するの忘れてたね。繋ごう…」



二人は手を繋いで花園まで歩く。



道中、すれ違う神々全員がサヤを見て、



「あれ喧嘩の女神じゃないの?あんなにおとなしかったっけ?」



「ていうかハデス様と歩いてるのなんで?」



と言うのでハデスが少しピリピリとしていたがなんとか花園にたどり着いた。



花園は多くの神がいて、皆花を愛でている。



サヤ「何か落ち込むことがあったときによくくるの。お花たちが励ましてくれるから…」



ハデス「ふふ…想像できるね。花たちに囲まれた綺麗なサヤが…」



サヤ「やめてよぅ…恥ずかしい…」



するとハデスは跪きサヤの手をとる…



ハデス「僕だけのお姫様、僕なりにアピールしてたつもりだったんだけど…気づかないみたいだから言うね…」



きょとんとしているサヤにハデスが続けて…



ハデス「ずっと前からあなたを愛していました。僕の女神になってくださいませんか?」



サヤ「ほ…本当に…?」



ハデス「誓って言うよ。」



そういいハデスはにっこりと笑う。



サヤはハデスに抱きついて、



サヤ「今までごめんね…いつもしたい事と反対の言動しちゃって…私もずっと愛してた…」



ハデス「そうだったの…?嫌われてると思ってて…」



サヤ「そんなこと絶対ない!好き!お願いだから恋人になって!」



子供のように言うサヤがかわいくてハデスは思わず抱きしめる。



ハデス「はい、姫様。僕からも言わせてください。恋人になりましょう。拒否権はありません。」

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