八の神話 二人の想い

「お帰りなさいませハデスさ…その女神様は誰です?」



ハデスの家の使用人が尋ねる。



ハデス「サヤは出先で会ったんだけど…体調が優れないようだったから連れてきた。僕の部屋に泊めるから客室は使わないよ。」



「は、はい。かしこまりました…」



(サヤって喧嘩の女神…だった気が?なぜハデス様が連れてきたんだ…?)



サヤ「お願いだから降ろして…!」



ハデス「それは聞けないよ。サヤの様子がずっとおかしいからね…いつもはもっと喧嘩腰なのに…今日はおしとやかな女神様だね。」



サヤ「どっちでいた方がいい…?」



ハデス「僕はどんなサヤでも好きだよ?」



サヤ「っっっ!!」



ここぞとばかりにサヤで遊びまくるハデスだったが、お互い相手の想いには気づいていない。



ハデス「着いたよ。ここが僕の部屋。降ろすからね…」



そっとサヤを降ろし、ベッドに案内する。



サヤ「へ…?もしかしなくても…ここで寝るの…?」



顔を赤くしながらサヤは尋ねる。



ハデス「そうだけど…嫌?」



ハデスは少し悲しそうに微笑む…



サヤ「ううん…そういうことじゃなくて、ハデスは…どこで寝るの?」



ハデス「看病するって言ったでしょ。だから寝ない。」



サヤ「体に毒だよ…!ハデスも寝なきゃ。」



自分を心配してくれているサヤにハデスは理性のリミッターが壊れそうになる。



ハデス「じゃあ僕も横で寝るね。」



サヤ「!?いや、ちょっと待っ…」



有無を言わさずハデスは横になる。



ハデス「ほら、サヤおいで。」



手招きするハデスにサヤは逆らえず…



サヤ「わかった…入る…」



もぞもぞとベッドに潜り込む。



ハデス「いいこいいこ…」



ハデスがサヤの頭を撫でる。



サヤ「ひゃっ…やめろよぅハデス…」



ハデス「うふふ…これじゃまるで恋人みたいだねぇ。」



サヤ「そういうのいいから…!早く寝よう…?」



上目遣いでハデスに言う。今すぐ抱きしめたい気持ちを必死に抑える。



ハデス「君はいつになったら気づいてくれるのかな…言わないと駄目かい?」



サヤ「なんの話…?」



ハデス「なんでもないよ。」



そういってサヤのおでこにそっとキスをする。



サヤ「ひゃぁ!?ちょっなんでキス…」



ハデス「明日デートに行くんだから。早く寝るよ…」



そういうとハデスはうとうとして眠りについてしまった。



サヤ「疲れてたのか…王様は大変だね…おやすみハデス…」



サヤも心労のため眠かったので、その日は無事眠りにつけた…



普段なら絶対眠れないところだが。



しかし翌朝…



ハデス「うーん…落ち着いて眠れた…サヤ…は寝てるか。男横にして眠るなんて無防備だこと…なにしてもいいってことかな…?」



そういうと、ハデスはサヤに抱きつく形で起こした。



ハデス「サヤ…おはよう。よく眠れてたね。よかった。」



サヤ「ふぇ…ハ…ハデスなんで抱きついてんの!?」



ハデス「こうでもしないと起きなさそうだったから。」



サヤ「普通に起こしてよ!こんな…恋人みたい…な…」



顔を隠して言うサヤにハデスは…



ハデス「今日はデートする日なんだから恋人同然だよ。嫌?」



サヤ「嫌…じゃないけど…恥ずかしくて…」



お互い相手の想いに少しずつ気づいていく…



だからサヤも拒まなくなってきているのだ。



ハデス「じゃあデート用の服が必要だね…買いに行こうか。買ったらそのままデートしよう。」



サヤ「うん…私かわいい服持ってないから…」



二人は先に服を買うことにして、洋服屋に向かった…

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