七の神話 退院

アザゼルの件があって三週間ほどたった時…



サヤ「うし!もう痛くない!出る!」



医者「本当は経過観察しないと駄目なんですが…あなたはずいぶんと頑丈な体の持ち主なようで…」



サヤ「喧嘩の女神だからな。怪我なんか日常茶飯事だよ。んじゃ出てくわ。今まで世話になった。あんがとよ。」



医者「とんでもない。これが我々の仕事ですから。」



そういい、サヤは治療院から出ていった。



無事退院ということである。



するとそこへ…



アフロディーテ「あぁもうサヤ!!無茶したって聞いてたけどこんなに会えないとは思ってなかった!無事でよかった…」



少し涙目になりながらアフロディーテが抱きつく。



ヘラクレス「心配して夜しか眠れなかったぜ!無事でよかった!」



サヤ「そういうのを普通ってんだよ。二人はどうだったんだよ。仲進展したのか?」



アフロディーテとヘラクレスはにっと笑って…



アフロディーテ「実は…一緒に住むことにしたの!」



ヘラクレス「お互いの合意の上でな。一日中イチャイチャしてるぜ。」



サヤ「マジか!そんな進展したんか…夜は…?」



ニヤニヤしながらサヤが言うと…



アフロディーテ「…もうやったわよ!恥ずかしいから言わないで!」



ヘラクレス「このアホ。」



ポコッとヘラクレスに小突かれる。



サヤ「あのディーテがねぇ…お前もやるよのうヘラクレス。」



ヘラクレス「おら!早くライブやるぞ。ファンが泣いて待ってるぜ?」



サヤ「そうやん!ライブやろ!」




三人は急いでライブの仕度をして、緊急ライブを開くことにした。



神界のインターネットで情報を発信すると、瞬く間にファンが集まってきた。



「三週間もライブしないなんて解散かと思ってた…嬉しい…泣ける…」



「まだかなぁ!早くでてきてくれ…」



パッ



会場のライトが暗くなり…三人が現れる…



ファン「ウォォォオオォォォオ!!」



会場から雄叫びがビリビリと放たれる。



ロット「みんな待たせたな!俺が怪我してよぉ!?ライブできなかったんだよ!間抜けなことにタンスに小指ぶつけて骨折れたんだよ!ちくしょうがぁぁ!!」



ファン「ちくしょうがぁぁぁぁぁぁあ!!!!」



会場のボルテージがどんどん上がっていく…



ロット「気を取り直して一曲目ぇえ!」



その後…ファンとの雑談なども交え少し特別なライブを終えることができた。



「いやー雑談とか今まで無かったよね!会話できたの嬉しみ…!」



「やっぱロット美声だよねぇ!静かな歌とかも合いそう!」



三人はファンたちに紛れ込んで感想を聞き、次のライブに生かす。



始めたての頃からやっているリサーチだ。



アフロディーテ「雑談は好評価ね!次もやる?それとも特別にする?」



ヘラクレス「あんまり雑談メインになると歌えなくなるから特別でいいんじゃないか?」



サヤ「そうだな…あんまり話すぎてライブ終わったらなんか切ない…」



そこへ…



ハデス「やぁ…仲良し三人組さん。君らバッドゴッドのファンなの?」



アフロディーテ「あらハデス?久しぶりねぇ。そうなの!私たちファンなのよ!ハデスは誰を推してるの?」



ハデス「僕はロッティが一番好き。かわいくてかっこいいし…それにあの歌声はとても…綺麗だ…」



サヤ「っっっ!!」



自分のことを好きだと言ってもらい、サヤは嬉しくて恥ずかしくて訳がわからなくなる。



アフロディーテ「あらハデスもなのね!私たち全員ロッティ推しなの!ね?」



ヘラクレス「ああ、あの美声は訓練の賜物だ!」



サヤ「私も同じく…」



アフロディーテ「あらサヤ、あなたロッティの大ファンじゃない。小一時間ぐらい話せるでしょ?」



ハデス「好きなのは知ってたけどそこまでとは…サヤ、途中まで帰り道一緒だから二人で帰ろう?」



サヤ「そ、そんなに話したいのかよ…?」



ハデス「うん。僕は君を好いているって言ったでしょ。ほら行こう…」



そういうと、ハデスはサヤの手を握り帰り道の方へさっさと行ってしまった。



アフロディーテ「あらあら…ハデスってもしかして…?」



ヘラクレス「あいつらの反応…ハハハ!あの二人に春が来るとはなぁ!!」



そしてアフロディーテとヘラクレスも家に帰るのであった。




ハデス「ごめんね引っ張ってきちゃって…それで…この前の返事はどう?」



サヤ「へ…返事って…デートのこと…?」



ハデス「もちろん。それとももう一回言った方がいい?」



手にキスされたことを思いだしサヤは顔を赤らめる。



サヤ「返事は…うん。いいよ…ただ、俺デートとかしたことないから…下手くそだと思う…そういうこと…」



ハデス「そんなの僕だって同じさ。うーん…今日はサヤなんかおかしいね…熱でもあるのかい?顔も赤いし…」



ハデスはサヤとおでこをくっつけた。



サヤにとってはあまりにも刺激が強くて、目がチカチカしている。



ハデス「やっぱり熱いね…今日は僕の家に泊まっていきなよ。看病するからさ。」



サヤをお姫様抱っこして冥界へと向かうハデスに、



サヤ「治った!治ったってば!なんでもないよ!」



ハデス「サヤはすぐ自分を強く見せようとするね…弱いところだって見せてくれてもいいんだよ?」



完璧に欲望むき出しなハデスだがサヤは気づかない。



ハデス「今日は僕の家でゆっくり休んでいってね。ずっといてもいいけど。」



サヤ「それより…降ろ…して!恥ずかしい…みんな見てるよ!」



住民たちが王の帰還を出迎えるのと同時にサヤがお姫様抱っこされている謎状況に困惑している。



「ハデス様に恋人が…?」



「まさか。喧嘩の神だぞ?ハデス様が落ちるわけがないさ!」



ハデス「周りがうるさいね。もっと見せつける?」



サヤ「勘弁してくらひゃい…」

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