六の神話 追放
ハデスとの記憶が頭の中を駆け巡る…
サヤ(これ走馬灯ってやつかな…はは…ハデスのことばっかり…)
二人は急いで治療室に運ばれ、治療を受ける。
神も人の怪我と一緒で治療しないと治せない。魔法でパァーとかはないのだ。
医者「これは…二人ともひどい…急いで治療しろ!」
医者たちのおかげで、二人は一命をとりとめた。
一週間ほどがたち、サヤは目を覚ました…
誰かがサヤの手を握っている。
サヤ「知らない天井…ベタなやつだな。ていだだだだ…」
?「無茶しちゃ駄目だよ…ひどい怪我なんだから…」
サヤ「ハ…デス?無事だったのか…よかった…」
ハデス「なんで僕を庇ったの?サヤには助けられてばかりだ…」
サヤ「……別に。困ってる神いたら助けるだろ?それだけだよ…それにこっちだって助けてもらってるんだからな…」
少し照れた顔をしてサヤはそっぽをむく。
ハデス「助けにきてくれてありがとう。サヤがいなかったら僕は死んでた。あんな中でもサヤはずっとかっこいいんだね。そのヤンキー魂には憧れるよ。」
クスクスとハデスは笑った。
サヤ「喧嘩の女神名乗ってるかんな。簡単には下がれねぇ…それよりハデス、お前は大丈夫なのか?腹の傷深かっただろ。」
ハデス「痛いけど、君に比べたら大したことないよ。僕の責任なのに…」
ハデスはため息をつく。
ハデス「僕は女の子に怪我さしてばっかりだ…最低だね…」
サヤ「お前モテるくせして自己肯定感低いよな。俺がやりたくてやっただけ、それだけだ。」
ハデス「そうだ、怪我が治ったらの話をするね…サヤさん、僕とデートしてくれませんか?」
サヤの手を取りそっとキスをする。
サヤ「ひゃわぁぁぁあ!?なななんで手にキス!?デート!?」
ハデス「ふふ…考えておいてね。僕も治療を受けなきゃだから、その間に。」
そういうとハデスは部屋を去っていった。
サヤの頭の中でハデスの声が何度も繰り返される。
サヤ「デ…デート?嘘だよね?からかってるだけだよね…?まるでハデスが私のこと…いやいやそんなわけない!ポセイドンに聞かないと!」
立ち上がり、千鳥足で治療院を歩き回る。
サヤ「ポセイドン!どこにいるのー?あ、ここにいないかな…どうだろ…」
しばらく歩き回っていると…
ポセイドン「やだサヤちゃん!なんで歩き回ってんの!戻りなさい!」
急いでサヤを抱えて治療室に戻した。
ポセイドン「もう…あたしならサヤのところに行くと思わない!?待ちなさいよ!」
サヤ「待つのは嫌いなんだもん!ていうか治療院で素だして大丈夫?」
ポセイドン「そんなのどうでもいい。怪我は?痛いでしょ…お腹貫通してたのよ?」
サヤ「そうなのか…それよりポセイドン聞いて!ハデスが…ハデスがぁ…」
事のいったんを話すと…
ポセイドン「あいつもやり手ねぇ!これ、脈ありなんじゃないの?」
そういってサヤの頬をつんつんする。
サヤ「そんなわけないよ…助けられたのが気まずくて誘っただけだ…」
ポセイドン「もー!もっと自信持ちなさいよ!恋する乙女なんだから!」
サヤ「だって…俺以外にも女神はいっぱいいる…ハデスを好いている奴も多いよ…」
ポセイドン「……わかったわよ。もう話はしません!アザゼルのことなんだけど…」
サヤ「!?あいつどうなったんだ?」
ポセイドン「ゼウスさんとかが話し合って決めたらしいけど…人間として地球に追放…らしいわ。あんなやつ処刑がお似合いだけどね!」
サヤ「そうか…今まだここに天界にいるって言われたらぶん殴ってやったのにな…!」
アザゼルはというと…
アザゼル「離せゼウス!俺を人間界に追放したら取り巻きが黙っちゃいねぇぞ!神のほとんどは俺の味方だ!てめぇは終わりだぞ!」
ゼウス「神々はそうじゃないようだがな?」
そういうと後ろからたくさんの神々がでてくる。
オーディン「勝ち負けを決められる私がいることをお忘れかい?」
オーディンは勝敗の神。その力は強大で、その名の通り勝敗を決められる…
いわゆるチートってやつだ。
アザゼル「くそ爺ぃ!強者の面見せやがって!お前みたいなやつが俺は一番嫌ぇなんだよ!」
オーディン「それではゼウス殿…処罰を…」
ゼウス「それでは地上の暮らしを満喫するがいい。アザゼル…」
アザゼル「くそがぁぁぁぁぁ!!」
一方、冥界では…
「ハデス様!もうお戻りになるなんて早すぎます!もう少しお休みに…」
ハデス「いい。僕の責任だから。生き残った囚人たちはまた牢に入れておけ。僕が作った特注の牢にね。」
特注の牢とは永遠に出られず苦しみ続けるアザゼルの脅しに使っていた牢だ。
ハデス「これから忙しくなるよ。牢の修復と強化、住民たちへの呼びかけとかいろいろあるからね。」
「はい!わかりました!」
冥界が慌ただしい中、ハデスは一人笑っていた。
ハデス「彼女の返事が楽しみだ…」
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