五の神話 囚人の反乱

ハデス「サヤ…君のことが好きだ。愛している…だから僕と結婚してくれ…」



サヤ「うん…ハデスのこと好き…!」



ハデス「キスしてもいいかい…?」



サヤ「いいよ…」



ハデスがサヤの頬に触れ、二人の距離が縮まっていく…



「サ…ヤ!サヤ!」



サヤ「んー誰!?邪魔すん…な…!」



ポセイドン「サヤ!起きなさい!大変よ!」



サヤ「ほえ?ポセイドン…夢かちくしょー!!」



悶えるサヤをよそにポセイドンが話す。



ポセイドン「大変なの!冥界の囚人が反乱をおこしたみたいで…ハデスが抑えてるところだって!だから助けに…」



そう言われた時にはもうサヤは冥界へと走っていた。



サヤ(囚人の脱走…?ハデスが治める場所で?何者かが仕組んだ?今はそんなことどうでもいい!早く…早く…!)



全速力で走り冥界への扉へとたどり着く。



息が上がりながらも重い扉をこじ開ける。すると中から声がする…



囚人「冥界の扉を開けろハデス!でないと殺すぞ!」



ハデス「それは聞けないね。ハァ…ハァ…君たちを閉じ込めるのが僕の仕事だ…!」



ハデスは負傷しているようで息が上がり苦しそうに言った。



囚人「これでさよならだな!冥界の王!!」



振り上げられた武器が下ろされることはなかった…



なぜなら…



サヤ「喧嘩の女神、助太刀に参る!!てめぇら耳かっぽじってよく聞けよ!

俺に歯向かうやつは殺す!ハデスを殺そうとしても殺す!」



「け、喧嘩の女神がなんだぁ!やっちまぇえぇえ!!」



一斉に囚人たちが押し寄せる…



サヤ「神にも譲れねぇもんがあるんだよ…!」



拳を地面に叩きつける。



ところで…神はそれぞれ神器たるものを持っており、ポセイドンは槍、ハデスは杖など神によりその神器はわかれる。



サヤの神器はめったに見られない。なぜなら、彼女は負けることがない。



それがお目にかかれる囚人たちは幸運だろう。



囚人「あ、あれが…神器…!なんだありゃあ!?まるで…」



ハデス「ナックル…サック…?」



サヤ「んだよ…そんなに珍しいもんじゃねえぞ?」



いや、神器がナックルサックの神はおそらくお前しかおらん。



サヤ「使いやすいぜ?この神器…こうやって…な!!」



再び拳を地面に叩きつけ、波動を起こす。



その波動で囚人たちの七割が失神する。残ったのは強きもののみ。



ハデス「…すごい!ア…グッッ…」



サヤ「傷にさわる。お前はただ見てろハデス。」



囚人「なんとか耐えたぞ…今だ、あの女を殺せ!!」



サヤ「雑魚が何体集まったって…雑魚のままなんだよ!!」



少しも怯まずにサヤは囚人軍団の中心に飛ぶ。



一人の首をひっつかみ他の囚人にぶつける。



サヤ「次はどいつだぁ!?」



ナックルサック付きの拳で囚人たちの顔面を殴りまくる。



それでだいぶ数が減っただろうか。残るは最初の二割になった。



サヤ「最後はあれで決めるか…」



そういうとなにかを唱え始める。



サヤ「猛る闘気…高鳴る鼓動…全てが俺の味方となる…獅子よ…来い!」



そう叫ぶと、地面から孤高なる獅子が現れる。



サヤ「にゃんこ、やれ。」



その言葉を合図に獅子は囚人たちを襲い始める。



獅子「グルァァァァァア!!」



それはまさに強者による蹂躙といえる光景だった。



その間にサヤはハデスのもとへかけよる。



サヤ「どんだけ無茶したんだよおめぇ?あの数だけじゃねぇだろ。少なすぎるからな。あの数の三倍はいてもおかしくねぇよな?」



ハデス「はは…その通りだよ。三倍ぐらいはいたね。それだけは倒せたんだけど…君みたいにはいかない…や…」



そういうとハデスは意識を失ってしまった。



サヤ「腹の傷が深いな…早く処置をしねぇと…」



サヤは自分の服の裾をちぎりハデスの腹に巻いて応急処置をして、冥界の扉を開けた。



そこには何百という神々が集まっていて、皆戦闘体制をとっていた。



ポセイドン「サヤ!無事だったか!囚人は?」



サヤ「獅子がなんとかしてる。それよりハデスだ!早く医療班を呼べ!このままじゃ死ぬ!」



ポセイドン「早く医療班を呼べ!」



アザゼル「させるかボケェ!ハデスは俺が殺す!!」



剣を握りアザゼルが走ってくる。誰も反応できぬまま剣はハデスに…刺さらなかった。



サヤ「……っっ!!」



ハデスを庇いサヤが刺されたからだ。



ポセイドン「血迷ったかアザゼル!よくも…!」



ポセイドンが槍でアザゼルのを貫き、事なきを得た。



しかし…



サヤ「これは…ちょっとまずい…な…死んだ…か…?」



倒れるサヤをポセイドンが支える。



ポセイドン「しっかりしてサヤ!ハデスにまだ何も言ってないでしょ!」



薄れゆく意識の中…ハデスの横顔が見えた…

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