Episode.11-3『終わりの世界と歪んだ世界』


 レイは頷いてリボルバーを持ち上げ、俺は扉を蹴り飛ばして扉を開け、俺とレイは流れるように部屋に入り込んだ。


 右側は制御装置やモニターなど機械類が沢山あり、左側には棚があり本などが資料入っていて机には資料が散りばめられて置いてあり円柱形の注射器もある。


 中央には手足を鎖につながれた災いの子が居て黄色のショートヘアに青色の少しジトっとした目で狐耳の女の子だ。

 髪は赤いリボンで縛られてサイドテールになっている。

 身長は120㎝ほどでピンク色のフリルが付いたパジャマのような衣装を着ている。



 そしてレイが言ってた通り左には研究衣装を着た2人が震えながらハンドガンを持ち、こっちを狙っていた。

 右にはここの黒いスーツを着た管理者がハンドガンを持って構えている。


 研究衣装を着た2人を両手のハンドガンでそれぞれ1発ずつ撃ち、頭に命中させてレイはリボルバーで管理者の頭を撃ち抜き一瞬で終わった。




 「終わったな。」

 『うん…本当はあまり殺したくはなかったけど………。』




 鎖につながれた災いの子はこちらを見ている。

 何か思うことがあるのだろうか。




 『ルエ、ここから出よう。』


 『…別にこのままでもよかったのに。』




 来た方向から数人兵士が走ってきている音が聞こえる。

 休んでいる暇さえなさそうだ。




 「そっちは任せた急げ!!」


 『ルエ、行くよ。』


 『…わかった。』




 鎖につながれた災いの子の名前はルエのようだ。


 先に管理室の入り口付近に移動してこちらに来る兵士に向かいハンドガンを構えてけん制射撃を続けた。

 その間にレイは管理者から鍵を探し出してルエに繋がれた手足の鎖を1つずつ外していく。


 鎖を取り終えてルエはゆっくりと立ち上がり、レイは机にあった円柱形の注射器を手に取り、ポケットの中にしまってレイとルエはこっちに向かってくる。




 『行けるよ!!』

 「わかった!!」




 けん制で撃っていたハンドガンの弾が両方とも切れてスライドされた状態になり、マガジンリリースボタンを押してマガジンを落とし、弾薬ポーチの左右にあるマガジンにハンドガンを両方とも下げて押し入れてスライドを戻し、装填を行ってハンドガンを背中にしまいアサルトライフルに持ち替えた。




 「行くぞッ――――――――――!!」




 最後のグレネード弾を撃ち、爆発で兵士が吹き飛んだ隙にアサルトライフルを構えながら飛び出し、前進してレイとルエはついて来ている。

 兵士が曲がり角から度々出てくるがアサルトライフルを撃ちながら来た道を戻っていくが数が今までよりも多い。


 D区域全体の兵士が集まってきているのだろうか。

 このままだと押し切られてしまう。




 「D区域の全戦力が集まってきているかもしれない…このままだと厳しい!!」

 『…能力を解く。』




 ルエはそう呟いたが何も起きていない。


 ルエの能力がもし結界を張っているのだとしたら能力を解いて結界がなくなればこの銃声やサイレン音などの騒ぎを聞きつけて魔物が流れ込んでくる可能性がある。

 レイはルエの能力を知っているようだった。




 『リオ魔物侵入してくるよ!!』

 「正面入り口を出たら車に乗って駆け抜けるぞ!!」




 しばらく駆け足で中央施設の出入り口付近まで到着すると外から銃声と悲鳴が聞こえてくる。

 中央施設ならず地下シェルターにある指令室からD区域全体にも緊急事態のサイレンを鳴らしている。


 何かが起きている――――――。




 「これは………。」

 『今のうちに行こう!!』




 外に出ると兵士と魔物が戦っていた。

 魔物は多くないが倒れたデビルとデビルの槍が突き刺さって死んでいる兵士も見える。

 ブローダーやシャドウも奥に見えて兵士は戦っていた。


 やはり結界が無くなっている――――――。


 ルエの能力は結界で間違いなさそうだ。




 『これを使って!』




 レイはポケットから軍用車の鍵を取り出してこちらに渡してきた。


 レイから軍用車の鍵を受け取って近くにある軍用車に乗り、軍用車にレイから渡された鍵を刺して回し、エンジンを掛けた。

 それに続いてルエは助手席、レイは後ろの席に乗った。




 「動かすぞ――――――!!」

 『急いで!!』


 「ああ――――!!」




 軍用車のライトを付け、デビルがこちらの存在に気づいて槍を投げてくるが

 シフトレバーを1に入れてアクセルを急いで踏み、飛んでくる槍を回避した。

 シフトレバーを変えつつ加速し続けて急いで中央施設から離れていく。


 少し走り、魔物と兵士から追いかけられることなく離れるとみんなは落ち着き始める。




 『このままC区域に向かってくれると助かるよ。』

 「わかった。」




 アクセルを踏み続けて軍用車を走らせ、俺とレイ、ルエはD区域から抜け出した。


 ルエはこちらをじーっと見続けている。

 初めて会った時から様子を伺っているのだろうか。




 「ん………?」

 『あ、たぶん気になってるだけだと思う。』


 「何をだ?」

 『災いの子と仲良くできるかをね。』


 「………それはわからないな。」

 『…ふーん。』


 『あはは…リオなら仲良くできそうな気がするけどね。』

 「俺はもう人間を何人も殺してるんだぞ。」


 『それは僕も同じだよ。』

 『…変な人。』


 「まぁいい、とりあえずC区域まで向かうぞ。」

 『うん、ありがとう。』




 みんなで話し合いをしながら崩れて破壊された街、人の手が加わることがなくなった無法地帯の暗い夜道を軍用車のライト1つだけで走り続け、C区域へと向かい始めた。





 後戻りはもうできない――――――――――――――。











 『To be continued――』

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