Episode.11-2『終わりの世界と歪んだ世界』


 即座に入り口の左側へ隠れて銃弾を避けた。

 複数の弾丸は開いた大きな扉を抜けて飛んでいき、こちら側の壁に弾丸が当たって弾痕ができる。


 二人の兵士は左右それぞれの柱に隠れて銃を構えている。

 右側に隠れている兵士は無線機を取り出して喋りだした。




 『侵入者あり! 迎撃態勢へ入るッ――――――!!』


 「俺は………絶対にやってやる…ッ!!」




 左側の柱で銃を構えている兵士に素早くアサルトライフルのグレネードランチャーを構えて左指でトリガーを引き、発射した――――――。

 グレネード弾は柱に向かって飛んでいき爆発と同時に兵士が叫んだ。




 『ぐああああぁぁぁッ――――――――――!!!』




 柱に命中したグレネード弾は柱を削るように破壊が起きて兵士の両腕ごと吹き飛ばしていた――――――。

 腕が吹き飛んだ兵士は苦しみながら倒れているが生きているようだ。


 無線で連絡を終えた右側の柱に隠れている兵士がこちらに向けて銃を撃ち続けている。

 その隙にグレネードランチャー部分をスライドさせて空のグレネード弾を落として右側のコートの中から取り出し、グレネードランチャーに装填を行いスライドを戻した。


 兵士は弾を撃ち切り銃をリロードしている隙にしゃがみながら入り口の壁から体を傾けて顔を出し、右側の柱の方にアサルトライフルを構え続けて集中する。


 リロードを終えた兵士は壁から頭を出して再び構えてこちらに撃とうとしてきたが先にトリガーを引いてアサルトライフルの弾が発射され、兵士の構えている銃口に命中した。

 兵士が持っているアサルトライフルの銃口にこちらが撃った弾丸が入り込みアサルトライフルは壊れ、衝撃で兵士のアサルトライフルが吹き飛んで仰け反り、体が柱から少し離れて兵士のほぼ全体が見える。




 『くッ――――――!!』




 兵士は咄嗟に右足にあるハンドガンを取り出して撃ち返してこようとするがアサルトライフルのトリガーを引き続けて兵士の体に5発ほど弾丸を撃ち込んだ。

 弾丸はボディーアーマーを貫通して兵士は撃たれた反動で倒れこむが息はまだある。


 入り口からゆっくりと歩いて中央施設の中に入り、右側の兵士にアサルトライフルを頭に撃って止めを刺すと両腕を失った兵士が喋り始めた。




 『た、頼む助けてくれ………。』




 両腕を失った兵士の方に振り向いて左側にいた兵士の方にゆっくりと近づいた。




 『こ、殺さないでくれぇ……………。』




 命乞いをしている兵士の頭にアサルトライフルを構えて災いの子がいる場所を聞き出す。




 「ここの災いの子はどこにいる?」


 『左側から行ける武器製造場と中央の管理室にいる………!』


 「そうか。」




 兵士に構えていたアサルトライフルをそのままトリガーを引いて撃ち、弾丸が頭に命中した兵士は血を流しながら倒れ込んだ――――――。


 心の奥底から湧き出る感情はあるものの自身の顔には表情がなかった。



 殺してもなにも抵抗がない――――――。


 俺は壊れているのだろうか――――――。



 アサルトライフルのマガジンリリースボタンを押してマガジンを落とし、コートの中の左側からマガジンを取り出してアサルトライフルに装填した。


 中央施設から大きなサイレンの音が周りに鳴り響く――――――。

 無線で連絡した兵士から異常事態を察知して警報を鳴らしたのだろう。


 このままゆっくりとしているのは危険だ。

 急いで左側の通路から中央施設の管理室に駆け足で向かった。




 左側の奥に突き進んで行く――――――。

 進んでいくと左右には使われているものと使われていない部屋の扉や通路多々ある。

 前方の壁は最後の左右曲がり角になっている。


 前方の左右から足音が聞こえて曲がり角から出てきた4人の兵士にアサルトライフル撃たれた。




 「来たかッ――――――!」




 すぐ側にあった左の扉に突進して扉を突き破り、衝撃で扉は外れて部屋に入り込んだ。

 部屋の中は古い薬品などが色々置いてある小さな部屋だ。

 あまり使われていないような部屋だった。


 こちらに向かってくる足音が聞こえる――――――2人来ている足音だ。


 アサルトライフルを肩に掛けて、ハンドガンを2丁背中から取り出して入り口の方に構えた。

 兵士が部屋に入ってくる手前で兵士が出てきた左右の曲がり角から銃声が鳴り響き兵士が誰かにやられた悲鳴が聞こえる。




 「今だッ――――――――――!!」



 その隙を逃さず部屋から飛び出して手前まで来ていた二人の兵士を両手のハンドガンを3発ずつ撃ち、弾丸は二人の体や頭に命中して兵士は倒れた。


 奥の曲がり角付近で二人の兵士が倒れている。



 誰かに殺された後だ――――――。

 しかし、兵士が裏切ることはないはずだ。



 ハンドガンを構えながら左右の曲がり角の方へ慎重に進んでいく。


 すると左側の方からこちらの存在に気が付いた声が聞こえる。




 『誰??』




 兵士でないのは感じられる。

 初めて聞く声、しかしどこか懐かしい感じもする――――――。




 「そこにいるのは兵士じゃないな?」

 『うん、君こそ兵士じゃないね?』


 「そうだが、お前の目的はなんだ?」

 『僕? ルエの救出と脱出だけど…。 邪魔をするなら君を殺さなきゃいけない。』


 「ルエ………? 災いの子か?」

 『そうだよ。 まぁ…僕もだけど。』


 「なら聞きたいことがある。 E区域について何か知らないか?」

 『E区域? ごめん、僕が知っているのは魔力増強剤のことしか知らない。』


 「魔力増強剤………?」

 『手伝ってもらえるなら詳しい話は後でするよ。』




 後方から兵士が走ってくる音が聞こえる。

 ここで話し合うのは危険だろう。

 後に話が聞けるのであれば協力して脱出を考えたほうがよさそうだ。




 「長居はできそうにない。 わかった。」

 『じゃあ、こっち!』




 ハンドガンを背中にしまってアサルトライフルに持ち替え、左右の曲がり角に駆け足で近づく。

 すると左側から会話をしていた災いの子が姿を現して右側まで駆け足で進んでいく。


 研究衣装を着たオレンジ色のショートヘアに青い目で猫耳の男の子だ。

 横髪は肩より下にあり、身長は165㎝ぐらいの災いの子だ。

 手には変わったリボルバーを持っているが懐かしく感じる。

 シリンダーは八角形でリボルバーの先端は少し長く、先端のバレルの下側には何かを装着可能な長方形の穴が空いている。



 そのまま同じく右側に進み災いの子を追いかけて進んでいく。




 「災いの子………。」

 『あ、ごめん。 僕の名前はレイ・アイリア。』


 「俺はリオ・メサイアだ。」

 『よろしくリオ。 それでリオはなんで侵入してきたの?』


 「E区域について知りたくてな。」

 『………それだけ?』


 「いや、ほかにもあるが………。」

 『まぁいいけど。』




 感情は消えないままだ――――――。

 この感情の意味を知るためにも来ているが言ったところで理解してもらえないだろう。



 答えを見つけるまで俺は――――――――――壊し続ける。




 『こっち!!』




 途中様々な通路を通るがその度にレイは管理室に続く通路の方に指し示した。


 左右の道を左に曲がろうとすると手前でレイは何かに気づいて足を止め、それに続いて俺も足を止めた。




 『まって! 7人待ち構えてる!』

 「………わかるのか?」


 『感じ取れる。』

 「向こうはどうなってる?」


 『管理室手前の扉で銃を構えてると思う。』

 「任せるんだ。」




 壁からアサルトライフルを構えながら体を傾けて顔を出した。


 兵士が手前に4人、奥に3人こちらを監視していた。

 こちらの存在に気づいて銃を撃とうとするが先にアサルトライフルのグレネードランチャーに指をかけてトリガーを引き、瞬時に撃った――――――。

 グレネード弾が飛んでいき手前にいる4人の中心で爆発が起きて兵士は吹き飛び、同時にレイは壁から自分よりも飛び出してリボルバーを3発撃った。

 レイが撃ったリボルバーの弾丸は奥にいた3人それぞれの頭に命中して血を流しながら倒れた――――――。


 一瞬で7人の兵士を倒した。

 アサルトライフルのグレネードランチャー部分をスライドさせて空のグレネード弾を落とし、黒いコートの中の右側からグレネード弾を取り出して装填をしながらレイと俺は前進をして管理室手前の扉にたどり着いた。




 『………中に3人いるよ。』




 アサルトライフルを肩に掛けて背中からハンドガン2丁を取り出して持ち替えた。

 レイは中に居る気配を感じ取ることができるようだ。




 『右に一人、左に2人。 中央にいるルエは狙っちゃだめだよ。』

 「わかった。 左をやる………行くぞッ――――――!!」











 『To be continued――』

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