Episode.8-2『終焉の地と異界ゲートの女王』
エステルは左手で鋭い鉄を持ち、ラナの腹部に刺した――。
『うッ――――――!!』
「やめろッ――――――!!」
力を振り絞り立ち上がろうとするも体に重力が圧し掛かり、びくともしない。
重い………体が重すぎて動けない。
ラナの腹部から鋭い鉄に血がゆっくりと流れていき血が滴り落ちる。
『焦るな………まだ始まったばかりだろう?』
エステルはまた同じく鋭い鉄を左手に取り、ラナの右腕に刺した。
刺された衝撃でラナの右手からナイフが落ちる。
『いっぁ――――――!!』
俺は抵抗を続けて立ち上がろうともがき、食いしばり続ける。
このままだとラナが能力の限界で気絶して死んでしまうかもしれない――――。
それだけは――絶対に嫌だ――――――――――――。
エステルはラナに三本目の鋭い鉄を左腕、四本目を右足、五本目を左足に、次々と刺していく――――――。
『ぁぁッぅ――――――――――――――!!』
『あははははは!! 泣き叫べ!!』
「や…めろッ………!!」
重力に押しつぶされながら少しずつ這いずりながら前進する。
ラナの刺された箇所から血が鋭い鉄を伝い、ぽたぽたと血が落ちて血まだりができていく。
エステルは六本目の鋭い鉄を手に持ち、ラナの心臓に突き刺した――――。
『うぅぁっ――――――!!!』
「くっ………そ……………!!」
ラナは激痛が走っているのだろう、息も荒い――――――。
ラナの血は止まらず、全身血だらけだ。
少しずつ前進しているものの、たどり着ける気がしない。
嫌だ――――――。
『遊びはここまでにしておこうではないか。』
「な…に………?」
エステルは左手でラナの首をつかんだ。
ラナは首を絞められて苦しそうに息を漏らす――。
このまま目の前で殺されるのは――――――――――。
「ラナっぁ――――――――――!!」
ラナはかすれた声で名前を呼ぶ。
『ご………しゅ…じん……………。』
『今度は魂ではなく、魔力をいただくぞ…!』
白い靄がラナから発せられ、エステルに吸収されていく。
ラナの抵抗が徐々になくなっていく――――――。
近づくにつれて重力が重くなっていく。
俺は重力に押しつぶされながらも必死に体を捻らせながら暴れまわるがラナのところにはたどり着けない。
嫌だ――――――――――!!
また失うのはもう見たくない――――――――――!!!
弱々しく発せられるラナの声。
『ぅ………っぁ……………。』
体に力がなくなり動かなくなるラナ。
怒りだ――。
何もできない怒り――――――。
そして、目の前で壊される怒り――――――――――。
「エステルッー!! 何をしたあああぁぁぁぁぁッ!!!」
『魔力吸収だ。 あははは!! 魔力を全て吸われたものはただの屍!!』
壊れる………。
エステルはラナを重力で左側に吹き飛ばし、浮いている壁に激突して血が辺り一面に散らばり、突き刺さったまま動かない――――――――――。
「ラナああああぁぁぁぁぁぁッ――――――――――!!」
壊れる――――――――――。
『あははは!! どうだ先に壊された気分は!!』
壊れる――――――――――――――――――!!
小さく呟く。
「………………………壊す。」
『ん………?』
「――――――――――――――壊してやるッッッ!!!!!」
C区域でレイとミーアがやったように爆発を足元に起こした。
レイとミーアほどの大爆発は起きないが大きな1軒家を吹き飛ばすほどの爆発が起きた。
爆発の勢いでふとももから下の両足は吹き飛んで体は勢いよく前世の幼いリオの元に飛んだ。
『血迷ったか!? 自滅とはな!!』
飛んだ勢いのまま右手を差し伸ばし、自身の時間が止まることはないまま前世の幼いリオの体に右手が触れた。
そして手を触れた瞬間、前世の幼いリオは塵となって消えていった――――――。
エステルは身動きが取れるようになり、こちらとの距離を置き、自由になる。
『時間の捕縛が消えた………? まぁよい、これで我も自由の身!!』
前世のリオに触れたことで、前世の力を体に感じる――――――。
「そうだ――。」
フィーナの力で体が再生していき足が元に戻り立ち上がる。
「壊されるぐらいなら――――。」
前世の幼いリオの能力。
時間操作だ――――――。
「俺が――――――。」
自身を能力で加速させていく。
「俺がッ――――――――――――――!!!」
持っていた最後の青の弾薬入りシリンダーをウェストポーチから取り出すと同時に真上に投げて右手に二丁目のリボルバーを生成する。
生成されたリボルバーはレイが作った、全く同じなリボルバー。
リボルバーの色はシルバーではなく、ブラック。
落ちてきた青の弾薬入りシリンダーを新しく生成した黒色のリボルバーに左から右に大きく振り、殴り入れた――――――。
能力の自身を加速した影響で髪がほんの少し伸びている。
時間を加速した分、魔力を補充できる。
逆に極限まで遅くすることもできるが止めることや巻き戻すことはできない。
加速していればほぼ無限に能力が使えるだろう。
俺は鋭くエステルを睨みつけ、リボルバーを構えた――――――――。
「全部ぶっ壊すんだッッ――――――――――――――――――!!」
『何をしたのか知らんが………もうよい、あとは貴様を閉じ込めるだけぞ!』
エステルはこちらに手をかざすが何も起きない。
『重力が効かぬだと? 貴様まさか…時間の流れが加速しているな!?』
「終わりの時間だ――――――!!」
自身を加速させて一瞬にしてエステルの視界から消えて背後に回り込んだ――。
相手から感じる速さはマッハを超えている。
『なっ――――――!?』
エステルに右手の黒いリボルバーのトリガーを引いて青の弾丸を3発撃ち込んだ。
3発の弾丸は青い軌道を描きながらエステルに飛んでいく。
『早いッ――!!』
エステルの目の前で弾丸は減速してゆっくりと進むが重力で3発とも1つずつ右、左方向に飛ばすも最後の1発は目の前で当たる寸前、上方向に飛んでいきエステルは1歩後ずさった。
対応が遅れたのもあるが力を使ってでも止められないリボルバーの弾丸は連続で別方向に飛ばすのはきついようだ。
「次で…終わらせる――――――。」
『舐めるなァァッ――――――――――――――!!』
エステルは周りのH形鋼、コンクリート、コンテナなどを引き寄せ、重力でこちらに飛ばしてくる。
俺は加速しながら前進する――――――。
飛んで来るものを右、左、回避しながらエステルの右隣を飛んで通り抜け、エステルの背後を取って、空中で体を回転させながらエステルの頭に狙いをつけて右手のリボルバーを構え、さらに青の弾丸を3発撃った。
『小癪なッ――――――!!』
エステルは先に頭をこちらに向けてから、エステルの目の前にいく青の弾丸は減速しているがその隙に俺は後ろに地面を滑りながら土埃と共に着地して左手に持っている赤の弾丸が入った二丁目のリボルバーを構えて撃った――――――。
エステルは体をこちらに向けて、後退しながら青の弾丸を3発とも1つずつ違う方向に飛ばした後、赤い軌道を描きながら飛んでいく弾丸をエステルは当たる寸前で真上に飛ばすもエステルの近くで一軒家を吹き飛ばすほどの爆発が起きる――――。
エステルは爆発で体勢が後ろに崩れる。
『くっ――――――!!』
左手のリボルバーをホルスターにしまい、エリナから受け継いだセリカのナイフを背中から左手で逆手に持ち取り出して黒いリボルバーを背中にしまった。
「終わらせてやるッ――――――!!」
『来るなッ――――――――――――!!』
エステルは崩れた体勢を直して周りからH形鋼、コンクリート、コンテナ、鉄パイプ、色んな物を飛ばしてくる――――――。
俺はさらに加速して飛んで来る物を全て左右に避けながら前進してエステルに急接近し、エステルに飛び込んだ。
「これでッ――――――!!」
『来るなああぁぁぁぁッ――――――!!!』
エステルは右手で鋭い鉄を引き寄せて右手に持ち、飛びついた俺の心臓に鋭い鉄を貫き、大量に血が出る――――――。
「終わりだああああぁぁぁぁッ――――――――――――――――!!!」
セリカの捕縛の能力でエステルの動きを止め、エステルの胸元の中心にセリカのナイフを突き刺す――――――。
『そんなもので死んでたまるかあぁぁッ――――――――!!』
逆手で持って刺しているナイフを右手でさらに押し込みながらディーナの破壊の能力をナイフに乗せていく。
魔力を供給する為、1日分の魔力、1週間分、1ヵ月分と自身を能力で加速させていき髪が伸びていく――――――。
『やめろッ――やめろおおおぉぉぉぉッ――――――!!』
「全部ぶっ壊れてしまええぇぇぇぇぇッッ――――――――――――――!!」
ディーナの破壊の力がナイフに溜まっていき、ナイフは金色に光を放ち、辺りを眩し照らしていく――――――。
エステルの体にナイフを刺した箇所から徐々に赤く光るひびが全身に広がりながら出来ていく。
『ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ――――――――――――――!!』
ナイフから放たれる光により、周りは光に包まれた――――――――――。
『To be continued――』
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