Episode.%'$#!"&『クリリア・ネーヴェ』
2067年(10年前)、B区域にて――――――――――。
B区域は高さ5mの分厚い外壁に守られ、警備隊員が入れ替わりで出入口を守り防衛体制があった。
出入口は東と西のみ。
街は所々崩れ落ちて崩壊しているけど、修復されてきれいな建物も沢山ある。
私は普通の人間とは違う、災いの子として生まれた――――――。
私の名前はクリリア・ネーヴェ。
まだ10歳で子供の時。
Tシャツと短パンの服は一部破れていて、ご飯もまともに与えられず私は痩せこけていた――。
私の両親は冷たかった。
両親からの暴力は当然のようにあった。
そう、私は災いの子だからだ――――――。
一部は板を貼られているけどひび割れ、少し崩れていてぼろぼろな家に居た。
テーブルなどの家具は使い古されていて今にも壊れそうだった。
父に顔を殴り飛ばされて私は床に倒れ込んだ。
父と母に暴力と罵声を浴びされる日々――。
「痛い…痛いよぉ………。」
『お前のせいでまた仕事を失ったじゃねえか!!』
『災いの子なんて生まれて来なければ私だって平和に暮らせたのに!!』
周りからは冷たい視線と批判の声。
外を歩けば人気がある場所、ない場所関係なく――――――。
そして、物を投げ使られることも多かった。
瓦礫や石などの硬いものを投げられることもあって怪我をすることもあった。
『災いの子め!』
『出ていけー!』
『近寄るな!』
『死んでしまえ!』
冷たい――――。
みんな冷たい――――――――――――――――。
ある日、私は外を歩いていると人気のない薄暗く狭い路地から手が伸びて私は引っ張られ、引きずり込まれた。
引っ張られている中で私は過去の記憶が蘇り、頭の中は過去の記憶で溢れた。
『こっちよ。』
16歳ぐらいの身長で大きめな黒いローブに頭のフードを深く被っている子に私は引っ張られながら人気のない隠れ家のような場所の扉を開け、中に入れられた。
中は1つのランタンで照らされてた。
壁は傷だらけでひび割れもあってテーブルや椅子も半分以上壊れてる。
酒場だった場所のようでカウンターにはお酒がまだ何個か残ってた。
フードを被った子は扉を閉めて頭のフードだけ脱ぎ喋り出した。
『噂は聞いていたわ。』
私は驚いた――――――――――。
フードを被っていた子は黄色髪ショートヘアでオレンジ色の目で赤いメガネ眼鏡をかけたパンダ耳の災いの子だった。
私と同じ、災いの子…。
「災いの子………。」
『そうよ、私は災いの子よ。』
「どうして私を………?」
『外にいてもひどい目に合うから見ていられなくて…。』
「私は……………。」
気持ちが沈んでいる私に優しく抱きついてきた。
暖かい…。
私の心に一つの暖かさを感じた。
『大丈夫。 もうつらい思いはしなくても。』
「うん………。」
『………よかったらここに住みましょう。』
「いいの…?」
『いいのよ、私はレーネ・ベリタス。 よろしくね。』
「クリリア…ネーヴェ……………。」
レーネは優しく微笑んでくれた。
酒場の隠れ家に住み始めて1ヵ月の間、レーネはどこからか食料を調達していた。
レーネは人間を上手く避けて食料を盗んでいたのかもしれない。
平和だった。
冷たい視線も批判の声も聞くこともなく――――――。
レーネとの日々は私の心に暖かさをくれた。
『私ね、能力があるのよ。 過去の記憶を見る能力。』
「能力…?」
『災いの子には能力を持つ者も持たない者もいるのよ。』
「私は何にもない………。」
『ふふ、でも私は並外れた力はないの。』
「災いの子は力も強いの?」
『人によって差はあるわよ? 私は目もあまり良くないのと力も人間以下かもしれないの。』
「そうなんだ…。」
レーネは物知りで私の知らないことをたくさん知っていた。
『それでね、記憶の能力でクリリアの過去が見えちゃったの。』
「私の過去なんて………。」
私の記憶には殴られたり蹴られたり、罵声を受けたり物を投げつけられたりする記憶しか存在しない。
だからレーネとの時間はとても楽しくて安心する。
『ごめんなさいね…頭同士に触れない限りは全部は見えないの。 でも、ここに連れ込むときに手が触れたでしょう?』
「うん…あの時に見えたの?」
『そうよ…でも、過去を逆に見せることもできるわよ?』
「そうなの…? ずっと気になってたけどレーネはずっと一人だったの?」
『14歳の時に母と父は人間によって殺されちゃったの。 私が災いの子だからね。』
「それから2年ずっとここにいたの…?」
『そう。 でも今はクリリアと一緒よ。 それだけで私は幸せよ。』
「私も…レーネと一緒で幸せ………。」
『うふふ。 嬉しいわ。』
災いの子であるレーネもつらい過去があるはずなのにレーネは暗いところを一切見せなかった。
いつも明るく接してくれる。
私にはできない――――――――――。
家を出てから2ヵ月がたった頃。
幸せは長く続かなかった――――――――。
父に居場所を暴かれた。
レーネが食料を手に入れるため出かけている中、私の両親が隠れ家の扉を開けて入ってきた。
『最近帰ってこねえと思ったらこんなとこに住んでたのか。』
「ひっ……………。」
私は衝撃と恐怖のあまり、後ろに倒れて後ずさってしまう。
『ここで殺しまえば誰にもばれなさそうだな。』
「やめて………。」
私は壁に追いやられて父に首を絞められた。
息ができない――――――――――。
「くる……し…ぃ………………。」
扉が勢い良く開くとレーネは突進し、私の父を吹き飛ばした。
私は首を絞められていた苦しさから解放され咳き込んだ――――。
『だめよッ――! クリリア逃げて――――――!!』
私の母が隠れ家に入ってきてナイフを取り出し、レーネはそれに気づいて抵抗するも母に押し倒され首元にナイフが今にも突き刺さりそうだった。
レーネは聞いていた通り力がなかった。
このままだとレーネが押し負けてしまう――――――。
『あんたも死になさい!!』
『クリリアだけ…でもにげ………て…!!』
レーネは必死に抵抗しているけど力は人間に押し負けている――。
そんな中、私は動けなかった――――――。
レーネに対しても両親は冷たいんだ――――――――――。
どうせみんな災いの子には冷たいだ――――――――――。
そして私は再び父に首を絞められた。
『邪魔が入ったがこのまま二人とも殺してやる!』
壊される――――。
私もレーネも――――――――――――。
『クリリアッ――だめよッ――! お願いクリリアだけでも…助けてッ――。』
レーネは自身を犠牲に、私のことだけを助けようとした。
でもレーネだけが私をこの冷たさから解放してくれる――――――。
だから、私はレーネの為なら――――――――――。
冷たくなってもいいッ――――――――――――――――――――!!
気づいたときには私の右手に氷のナイフが握られていた。
この時初めて私は能力が使えるようになった。
私は首を絞められている中、氷のナイフを父の横腹に刺した。
「殺してやる……………。」
『ぐあぁぁッ――――――――――!!』
父は刺された衝撃で怯み、横腹を押さえながら後ろに倒れて座り込んでいた。
父の横腹は血が溢れ、私が持っている氷のナイフからは血が滴った。
『災いの子の癖にッ――――――!』
母は押さえ込みナイフを突き立てていたレーネを無視して私の所へナイフを振りかざした。
氷のナイフで防いだまま母の持っているナイフの先端から徐々に凍らせていった。
『あぁァァァ――――――――――――!!』
母は全身が凍り付いた――――――。
私は父を蹴り飛ばして氷のナイフを何度も刺した。
『や、やめろっぉぁぁ――――――――――!!』
何度も、何度も――――――――――――――――――――。
『クリリア……………。』
レーネは涙を流しながら私の後ろから抱き着いた。
「………………………。」
『もう、もういいのよ………。』
「私は…。」
『ごめんなさい…私が弱いせいで…こんな苦しませちゃうなんて…。』
「レーネは悪くない…。」
『また新しい場所を探しましょ…。』
「わかった………。」
私はレーネに連れられて新しい隠れ家を探す為、酒場の隠れ家から出た。
これからは私がレーネを………守る――――――――。
冷たき者として――――――――――――――――――――――――。
『To be continued――』
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