Episode.7-2『家族と安息』
周りにいた人間や魔物の死体が立ち上がり動き出し、死体はナイフや尖った鉄、瓦礫の物を持っている。
死体は力なく立っていて、まるでゾンビのようだ。
辺り一面、人間と魔物の死体で包囲され、約300体以上はいる。
ルルの能力だろう。
『ご主人! 囲まれてるの!』
「っ――――――――!!」
構えていたアサルトライフルのトリガーを引き、ルルに10発ほど撃ち込むがデビルの死体がルルを塞ぐように動き、デビルに弾丸が命中してルルを防いだ。
弾丸が命中したデビルは少し怯む程度でびくともしない――――――。
『パパ、ママ…今度は私が守るからね……………。』
ルルは近くにある2人分の骨に話しかけている。
父と母の骨なのだろうか。
この子に何があったかはわからないが悲惨なことがあったのは感じられる。
ゆっくりと近づいてくる人間の死体にアサルトライフルを3発頭に撃ち込むが、頭が上に怯む程度で動きは止まらない――――――。
「普通の弾丸じゃ駄目か………。」
ラナはナイフを右手で取り出し、目の前に迫ってきた人間の死体の首をナイフで吹き飛ばした。
しかし、首が無くなった死体は歩き続けている――。
ゾンビ以上に厄介だ。
『ナイフでも駄目なの………!』
ルルはにっこりしながら喋る。
『無意味だよ?』
「体ごと完全に破壊しない限り動いてくるようだな…。 あまり使いたくないが赤い弾丸を使うしかないか…。 ラナ、一定距離まで切り開けそうか?」
『わかったの――――――!!』
ラナは二本目のナイフを左手で逆手に取り出して持ち、左手のナイフで死体の攻撃を防ぎながら一気に右手のナイフで死体になっているデビル、シャドウ、人間の腕や足、首を次々に切り落としていく。
後ろから近づいてくる魔物や人間の死体をアサルトライフルで撃ち続けてラナの援護をした――――――。
『どうして抵抗するの? 私と一緒の家族になろうよ。』
「断る。 俺にはラナがいる、それだけで十分だ!」
『じゃあ………一瞬で終わらせてあげるよ! あはは!!』
ルルの精神は完全に壊れている。
ルルを無視して進むことも可能かもしれないが終わらせなければ犠牲者が増えるだろう。
周りの死体が一斉に動き出し、襲い掛かってくる。
7体の死体はラナへ、5体の死体はこちらに向かって襲い掛かってきた――。
「防ぎきれない………!」
『ご主人、危ないの――――――!!』
ラナは強く踏み込んで飛びながら戻ってくる――――――。
右に空中で回転しながら右手のナイフを大きく右に振り、こちらに襲いかかってきた5体の首を一気に切り落としたが、ラナの方に来ていた7体の死体がラナの体、腕、足など尖った物やナイフで複数刺されてしまい、辺り一面にラナの血が飛び散った――――。
『がぁっ!!』
「ラナッ――――――!!」
右に大きくナイフを振った勢いが残っていたラナは再び右に一回転して左手のナイフで7体の首を吹き飛ばした。
俺は左の手のひらに手榴弾を生成して手榴弾を握って口でピンを噛り、左に大きく動かしてピン外し、死体が多い場所に投げると3秒後に爆発が起きた。
爆発して粉砕された腕や足、体だけ吹き飛んだものはびくびくと動くものの、立ち上がることはない。
爆発して広がった場所へラナを抱えて運んだ――――――。
『あはは! おもちゃが出てきたよ!』
「大丈夫か! あまり無茶はしちゃだめだ………!」
『平気…なの……………。』
ラナの様子が少し変だ――――――。
ラナ自体の傷は不死の能力で治りかけているが、フィーナの力を使いラナの傷を治した。
意識が少しかすむ――――――――――。
フィーナの能力は消費が大きい気がする。
能力も使いすぎると気絶してしまう為、控えなければ危険だ。
『あなたたちは死なないの? ますます私の家族になってほしくなっちゃったよ!』
「ここで死ぬわけにはいかない!」
ラナを後ろに立たせてアサルトライフルのマガジンリリースボタンを押し、最後のマガジンを腰のベルトから取り出し、マガジンをアサルトライフルに装填してリロードを済ませ、ホルスターからリボルバーを左手で取り出してルルがいる方向にリボルバーを構えた――――――――――。
ルルのいる方向に死体が集まり、ルルを塞ぐ。
「大人しくしてろよっ………!!」
爆発をある程度食らう覚悟でリボルバーの引き金を引き、大きな衝撃波と凄まじい銃声が鳴り響き、赤い軌道を描きながら弾丸が発射された。
ルルのところまでは届かなかったが、弾丸は死体を貫通して一定距離離れた場所から大きな一軒家を吹き飛ばすほどの爆発を起こし、約50体ほどの死体を粉々に吹き飛ばした――――――。
リボルバーを撃って、爆発を食らう距離では爆発しない弾丸のようだ。
赤の弾薬は残り3発だ――――――――――。
リボルバーをホルスターにしまい、爆発で多数の死体が吹き飛んだ場所に前進して近づいてくる様々な死体にアサルトライフルを15発ほど撃ち、死体を怯ませながらルルの手前まで走り続けた――――――。
『わあ、すごい!』
「あともう少しだ――――――――――!!」
アサルトライフルのグレネードランチャーに左手の指を掛けてトリガーを引き、グレネード弾が飛んでいくが今度はブローダーの死体によって爆発は防がれた――。
ブローダーは爆発でも怯む程度だ。
「ラナ! ブローダーをどかしてくれ!!」
『わかったの………!!』
アサルトライフルのグレネードランチャー部分をスライドして腰からグレネード弾を取り出しリロードしている間に、ラナは飛んで前に出ると右足でブローダーの死体を左へ蹴り飛ばし凄まじい打撃音と共に吹き飛んだブローダーは他の死体を数体巻き込んで崩れさせた。
開けた隙にアサルトライフルをルルへ構えた。
「今だッ――――――!!」
アサルトライフルのトリガー引く寸前、ラナはルルの目の前で立ち防いでいてトリガーに掛けていた指が止まる――――――――――。
俺は構えていた姿勢が緩んだ。
「ラ…ナ………?」
『体が………いうこと…聞かないの…………………。』
『私の近くにいればいるほど力が強くなるんだよ…? あなたは1回死んだんだよ。 わかる………? この意味。』
ラナがルルの元へ歩み寄り、ルルはラナの頬を優しく撫でた――――――。
『可愛い……………私のお人形さんになってね!』
心の奥底から怒りが湧いてくる――――。
なんだ――この怒りは?
止まらない――――――――――――――――――――――。
「やめろ…今すぐッ――――――――!!」
銃を強く握りしめ、殺意に満ちた目でルルを睨みつけた――――――――――。
『ご主人っ――!! 撃ってなの!! ラナのこと気にしないでなの!!』
「できない…そんなことできるわけない………!!」
過去に似たようなことがあったようなデジャブを感じる――――。
しかしそんな記憶はない。
『そんなことしても無駄だよ? この子ごと私に撃とうとも周りにはまだ沢山家族がいるもの。』
「くそっ……………!!」
『さぁ、あなたも私の家族になるの! あはは!!』
周囲から死体が一斉に攻撃してくるが防ぎきることができない。
全身にナイフや鉄の鋭い物が刺され、激痛が全身に走り血が飛び散る――。
「くッ――――――!!」
『ご主人ッ――――――!!』
『あはは!! 刺されたよ! 刺されたよー!!』
「体がっ……………。」
『おしまいだよ? あはは!!』
体が思うように動かせない――――――。
『さぁ‥こっちへおいで………。』
ルルの元へ体が勝手に歩み寄る――――――――――――――――――。
『To be continued――』
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