Episode.6-1『死と真の力』

 『Episode06.死と真の力』





 意識が完全に戻る――――――――――。


 自分は驚きを隠せなかったがレーネも同じだった。

 罪悪感と冷や汗が止まらない――――――。




 「そ、そんな……………。」

 『嘘よね…始まりの原因…見つけたわ………。』




 土管に座っていたクリリアも驚きのあまり立ち上がる。




 『ほう! 犯人を見つけたのか!』


 『ラナ…あなたもなのね………?』




 レーネはラナの元へ駆け寄り、ラナの手を握り、頭同士を密着させ前世を見始めた。

 ラナは驚いた表情のまま涙を流しだし、同じく前世の記憶を見たようだ。




 『やっぱり…そうみたいね…。 でも更に遡って別世界にいた時までは見えない…私の能力の限界ね………。』


 『ご主人………。』

 「俺の…せいだ……………。」




 自分は膝をつき、下にうつむいた。

 ラナから自分の呼び名はご主人様からご主人に変わっていた――――――。

 前世のラナはうさぎのペットで、自分がご主人だったからだろう。

 ご主人様という呼び名に違和感を感じなかったのは前世でも似たように呼ばれていたからだったのかもしれない。

 前世からも似ていたことが未だに信じられない――――――。


 置いてけぼり状態のクリリアはレーネに近寄る。




 『どういうことだ?!』


 『ちょっと待ってね………。』




 レーネはクリリアに頭同士を密着させるとクリリアは納得した。




 『そういうことか………。』




 セリカはレーネに能力について聞いた。




 『見た記憶も見せることができのかしら?』


 『そう、見ることも見せることもできるのよ。』


 『なるほどね。』




 レーネの能力は過去の記憶や前世の記憶に加え、相手にもその記憶を見せることができるらしい。




 『原因は分かったけれども本当の悪はエステル・サースト。 あとは轢き逃げしたあの犯人も…でも、流石に魔物に殺されて死んでると思うわね。』


 『そうだな………。』




 クリリアは落ち着きを取り戻し、土管に座り、腕を組んだ。


 あの惨状では轢き逃げした犯人もまず生き残れないだろう。

 生きていたとしても60、70代以上だ。

 自分は少し落ち着きを取り戻し、立ち上がってエステルについて聞くことにした。




 「エステルは何者なんだ………?」

 『異界のゲートに存在し、始まりの犯人だとされてたわ。 そして能力も新たに分かったわ…能力の重力操作は前々から分かっていたけれども新たに分かったのは魂操作ね。』




 異界のゲートにいる女王、それはエステル・サーストで間違いないだろう。

 セリカはレーネに異界のゲートにいる存在を知ろうとする。




 『魂操作はどんな能力なのかしら?』


 『魂、それは人本来の形にもなるわ…それを入れ替えたのを見たのよ。 変えられた者は別人…記憶はどうなるかはわからないけれどもね………。』


 『それがゲートの女王…エステルの能力なのね………?』




 自分は決意した――――――。

 すべての始まりのきっかけである自分がこの世界を終わらせる為に。




 「………終わらせに行く。」

 『ちっぽけな人間がか?』




 クリリアは何の能力を持たない人間には不可能と感じているのだろう。

 セリカが近づいてくるとセリカも何かを決心したように喋る。




 『………ついていくわ。』

 「危険だぞ…? それにラナも…できれば巻き込みたくはない。」


 『ラナもご主人について行くの…!!』




 ラナも近づいて来て、自分の右手を握ってきた。




 『勘違いしないで、その時が来たと思ったからのことよ。』

 「………わかった。 すまないがクリリア、武器を少し貰うが構わないか…?」


 『好きにするがいい。 ただついて行くことはできん。 ディーナやフィーナがいるからな。』


 『あら、私はー?』




 レーネはクリリアの前で腰を少し曲げ、前かがみになりながら首を傾げ、クリリアを見て人差し指を自身の口元に当てている。

 クリリアは少し目を逸らしながら答えた。




 『も、もちろんレーネもだ。』


 『うふふ、恥ずかしいのかしら?』


 『う、うるさい。 ………武器は向こうの倉庫にある。』




 クリリアは多少照れるも、クリリアが指を指した方向の少し奥にはシャッターが閉まった倉庫があった。




 「わかった、助かる。」




 自分とラナとセリカは倉庫の方に歩き向かった。




 「ここか。」




 シャッターの下には南京錠があったが、南京錠は粉々に粉砕されている。

 ディーナが能力で壊したような粉砕跡だ。


 自分はシャッターを両手で持ち上げて開けると中には様々な銃器や弾薬、ナイフなどの武器が沢山並べられて置かれてあり、点検、修理する道具、カスタマイズができる作業テーブルもある。


 元々B区域にあった物や無法地帯から集めたものだろうか。

 セリカは率先して準備し始めた。




 『やっと補充出来るわね。』


 『ラナもナイフがもっと欲しいの。』


 「使っていた銃があるな。」




 セリカは腰にベルトを装備し弾薬マガジン4つと、太ももにホルスターをつけ、ハンドガンをしまった。




 『これだけあれば十分ね。』




 自分は再び同じグレネードランチャーがカスタマイズされたアサルトライフルを手に取り、グレネードランチャー部分をスライドして開き、グレネード弾を入れ、スライドを戻して装填し、弾薬が入ったマガジンをアサルトライフルに装填、コッキングしてリロードを行った。




 「問題なさそうだ。 こっちの銃も持って行こう。」




 装填されたアサルトライフルを作業テーブルに置き、上下二連式ショットガンとショットガンの弾が入った箱を手に取り、作業テーブルに箱を置き、開いた。

 10発入りのショットガンの弾は貫通に特化したスラグ弾だがスラグ弾はこれしかない。

 対ブローダー用として使えるかもしれない。


 ショットガンのトップレバーを右に動かし、ショットガンはバレルとストックの間が縦に折れて開き、スラグ弾を手に取り、上下に弾を入れた後、開いたショットガン戻してリロードし、確認もかねて一度構えて作業テーブルに置いた。

 ショットシェルホルダーを右肩から左腰に掛け、ショットシェルホルダーに残りのショットガンの弾薬8発を装着した。


 腰にベルトを装着してグレネード弾を前に4つ、アサルトライフルのマガジンを2つ入れて左のホルダーにリボルバーをしまった。




 『ナイフもたくさんあるの!』




 ラナはナイフホルダーを増やし、腰に一つと左側に一つ、両足の太ももに一つずつナイフホルダーをつけてナイフをしまった。

 セリカはラナに銃を持ってきてラナに銃を勧めた。




 『流石に銃を持った方がいいと思うけど………。』

 「すまない、ラナは銃が扱えないんだ…。」


 『教えてないの!?』

 「いや、教えたが苦手みたいだ。」


 『銃は難しいの………。』


 『変わってるわね…。』


 『ラナはこれだけで十分なの!』


 『遠い敵とか空中の敵はどうするのかしら?』

 「そういえばそうだな…。 投げナイフとかはどうだ?」


 『どうやるの………?』




 自分はナイフを手に取り、構えて外の瓦礫の上にあった空き缶に目掛けて勢いよく投げた。

 しかし、外れてしまう――――――。

 投げナイフはあまり練習したことがない為、上手くできない。




 「むずいな………。」

 『やってみるの…!』




 ラナも同じくナイフを手に取り、構えて投げた――――――。

 投げる勢いは凄まじく、風を切り裂きながら弾丸と同じぐらいの速度で飛んでいき、空き缶に命中する。

 命中した空き缶は刺さったまま、奥に飛んでいきコンクリートの建物に空き缶とごと突き刺さる。

 突き刺さった部分はひび割れている。


 それを見た自分とセリカは驚きを隠せなかった。




 『ら、ラナちゃんって意外と馬鹿力なのね…あはは………。』

 「すごいな………。」


 『私でもあんな力、不可能よ…。』


 『そうなの………?』


 『まぁ、これなら銃は必要ないかもしれないわね。』

 「これだけの精度と威力なら問題ないな。」


 『えへへ! よかったの!』




 肩に掛けれるようにベルトをアサルトライフルにつけてアサルトライフルとショットガンを肩に掛け、ラナ、セリカを見て最終チェックをして倉庫から出た。




 「よし…行こう、異界のゲートへ。」




 倉庫から出るとクリリア、レーネ、ディーナ、フィーナがこちらの方へ来て、ディーナとフィーナが一足先に近づいてくる。




 『人間、もーいっしゃうのー?』


 『あ、あの…気を付けて………。』

 「ああ、ありがとうな。」


 『終わったら戻ってきていいですからね。』


 『人間だけはずっと居させる気はないがな。 補充ぐらいなら好きにするがいい。』


 「わかった。 すまないがまた何かあったら頼む。」




 セリカは東側の出入り口に一歩進みこちらに声をかける。




 『色々助かったわ…行くわよ、ゲートへ。』

 「ああ。 終わらせて来る。」


 『行ってくるの!』




 自分とラナ、セリカは異界のゲート付近のA区域へと向かった――――――。













 『To be continued――』

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