Episode.3-3『災いの子と襲撃』


 ミーア、そしてレイは動き始め、修復された建物の中に入ろうとする。




 『とりあえず明日になったら異界のゲートまで向かう予定。 元々それが私達の目的。』


 『ルエは助けられなかったけど…僕とミーアの目的は変わらないんだ。 僕は今から明日に向けて準備をする。 まぁこれは僕たちの目的だからここに3人残っていても構わないよ。』


 『元々ゲートの女王は倒す約束だったからね。』




 レイとミーアは異界のゲートに存在する女王を倒し世界に平和をもたらせようとしているようだ。

 壊され続ける世界はどうだっていい――――――。


 セリカはミーアとレイに近づき、一緒に修復された建物に入ろうとする。



 『私もついていくわ。』


 「ラナはどうする…?」

 『ご主人様にお任せするの。 ラナはずっとどこまでもついていくの!』


 「まぁしばらくここに居ようかとは思う。」



 防衛としては不安な点はあるが、住む分にはマシだろう。

 周りの崩れた建物から掘り起こせば物資は手に入るはずだ。


 ミーアは少し申し訳なさそうに喋る。

 周りの建物は崩壊していて目の前の家も半壊しているからだろう。




 『うん。 …大分崩壊しちゃって使いづらいかもしれないけど。』




 セリカはラナを連れて行きたいようだが異界のゲートの所へ行くとなると危険な為、セリカは半分諦めていた。




 『ラナちゃんも…って言いたいとこだけど危険にさらすわけにはいかないわ…。』


 『セリカ、もう諦めちゃった?』




 ミーアはセリカに対し、からかっているようだ。




 『べ、別に諦めてなんかないわ! …人間! もしラナちゃんに何かあったら許さないわよ!』

 「わかってる…。」




 セリカは何かを思い出したように目を逸らし、少し落ち込んだ。

 ミーアはその理由を知っているようだった。




 『…本当にいいの?』


 『もう決めたことよ。 …私がやらなきゃ。』


 『分かったよ。 じゃあ一緒に行こうね。』




 セリカは微笑み、レイとミーアはセリカと一緒に半壊した家に入って行った。




 「自分は休むことにする…。」




 疲れ切っていた自分はアサルトライフルと対戦車ライフルを立て掛けて瓦礫の上に座り込むとラナも隣に座りに来てこちらを見つめた。

 ラナを見つめ返すと目を瞑り、肩に頭を寄せてきた。



 このまま過ごせるのなら、それでいい――――。

 ラナと居られるのであれば、それで――――――――――。



 考え事をしている間、レイが出てくると驚いた表情で喋る。




 『まって…D区域に流れ込んだ魔物達がこっちに来てる――――――!!』




 立ち上がり、D区域がある北西側を見ると小さな大群がこちらに近づいてきているのが見える――――――。

 この様子だと30分もしないうちにC区域に到達するであろう。


 セリカとミーアは家から飛び出てきた。

 ミーアの手には腰に着けていたウェストポーチが握られており、セリカの服の内側にナイフがちらっと見える。

 ミーアは北西側の魔物の大群を見ると慌てて喋る――。




 『――――――っ! セリカ! ひとまずリオとラナを連れてB区域まで案内してあげて!!』


 『ええ!? なんで私なのよ!! 私もここに残るわ!!』


 「自分も加勢する! 死んだら目的も何もないじゃないか!!」

 『ラナもご主人様と戦うの!』




 レイとミーアは駆け足でこちらへ来た。




 『僕たちは大丈夫! これを持って行って!!』




 レイからリボルバーを渡された――。

 左手で受け取り、初めて持つがリボルバーから感じるのは懐かしい感覚だ。




 「これ…レイの銃じゃないか! 自分なんかに扱えるのか…!?」

 『リオ…勝手なお願いでごめん、僕は君にならできると信じてる。 …確信とか何にもないけど感じるんだ。 この世界を終わらせる力があるって。 だからもし僕たちがだめなら…僕たちの代わりにこの世界を終わらせて!』




 何故、自分に?

 わからない――――――――。


 仮に異界のゲートにたどり着いたとして女王を倒せるのだろうか。

 人間の自分には不可能だと感じる。




 「自分は特別な力もないただの人間だぞ――!?」




 ミーアからも弾薬入りのシリンダーが2つ入ったウェストポーチを渡され、右手に弾薬ポーチを持たされた。




 「何故…自分なんだ…!?」

 『レイの言った通り私も感じるよ…だからお願い。 身勝手でごめんね。』




 レイは少しにっこりとしたが、レイの表情には裏の考えを感じた。




 『安心して任せられるからかな…? それに僕たちは魔物を倒すのが得意なんだ。 だから大丈夫。』

 「自分は…。」




 何故自分にここまで頼まれるのかが理解できなかった。

 そのお願いを達成する自信もなかった――――――。


 ミーアは少し悲しい表情でセリカにお願いをした。




 『セリカッ! お願い二人をB区域まで連れて行って!』


 『どうして…私が!!』


 『…軍用車は二台あるからもし行けたら後で打ち会おうね。』


 『嫌よ! 私も戦うわ!』


 『セリカ…お願い急いで――――――――。』




 確かに残された時間はあまりない。

 軍用車に乗れれば逃げ切れる可能性はあるが、この先の道が悪ければスピードが出せず追いつかれる――。

 セリカはミーアの本気のお願いを感じ取りセリカは動き出す。




 『…わかったわよ。 行くわよ人間。』


 「…ラナ行こう!」

 『わかったの!』




 自分は腰にウェストポーチを付け、リボルバーを背中のウェストポーチのベルトの隙間にしまい、アサルトライフルのベルトを肩に掛け、対戦車ライフルを左手で持ち上げ担いだ。


 自分とラナはセリカについて行き、修復された家の裏側の車庫に軍用車が2台あった。

 軍用車はオープン状態で窓もない。

 2台ともメンテナンスされているがもう1台の方はボンネットが開いた状態だ。



 ボンネットの開いていない方の後ろの座席にアサルトライフルと対戦車ライフルを乗せ、ラナは助手席、セリカは後ろの座席に乗った――。

 そして自分は運転席に乗り、鍵が刺さったままの鍵を回すと、エンジンが掛かった。




 「よし、行くぞ!」

 『B区域はあっちの方角よ!』




 シフトレバーを1に入れ、アクセルを踏み、セリカが指差した方向、東側へさらに進んだ――――――。











 僕とミーアはリオ達がC区域から出て行き離れていくのを眺めた。

 そしてミーアは少し暗い表情で喋り出す。




 『ああは言っちゃったけど…実はもう1台は動かないの。』


 「…知ってた。」


 『あはは…バレバレだった。』




 気づいていた僕にミーアは苦笑いをした。

 ミーアはわかりやすい。




 「この量倒せる?」


 『本当は無理なの知ってるでしょ。』


 「はは…。 でも最後にミーアと会えてよかった。」


 『そうね。 私もレイにまた会えてよかったよ。』




 僕とミーアの二人は意を決し、お互い顔を見つめミーアは笑顔を見せた。




 「本当はゲートの女王との戦いで最終手段として使うつもりだったけど…。」


 『しょうがないよ。 でもリオならきっとやってくれるよ。』


 「そうだね。」




 魔物の大群が接近してくると攻撃態勢に入り、デビルは槍を生成し始めた。




 『私たち二人の生成魔力を融合させて…。』


 「暴走させて大爆発を…。」




 デビルが攻撃する瞬間、僕とミーアは抱き合った。



 ミーアと再開できてよかった――――。

 最後に見れたミーアの笑顔。


 僕はそれだけでも十分――――――――――。






 幸せだ――――――――――――――――――――――――。






 辺りは一瞬にして光り輝き、光はC区域を全てを飲み込むとC区域以上の大きさの大爆発が起き、きのこ雲が起きる。

 辺り一面に膨大な音と共に爆風が全ての物を飲み込んでいく。


 見えない位置にいるリオ達にも流れ込んでいった。











 自分、ラナ、セリカの3人は車で移動していると爆発音と共に凄まじい爆風がこちらにきて、車体は大きく揺れる。




 「何だ――――――!?」

 『危ないの!』




 大きく揺れた反動で道から外れそうになるがラナが支えてくれた――。

 揺れが収まり、車のミラーでセリカを見るとセリカは歯を食いしばっており、声を荒げた。




 『――――――嘘つき。 …嘘つきッ!!』

 「一体、何があったんだ!?」


 『…魔力融合による大爆発よ。』

 「じゃあ…レイたちは!!」




 セリカは頭を下げ、両手を顔に当てた――。




 『――――――もうそれ以上、言わないで。』

 「すまない…。」




 沈黙が続いたまま自分達はB区域に向けて走り続けた――――――――――――。














 『To be continued――』

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