Episode.3-2『災いの子と襲撃』


 自分とラナはミーアに自己紹介をする。




 「リオ・メサイアだ。」

 『ラナ・フォリアなの!』


 「ラナは不死を与える能力を持っている。」

 『私の能力は武器生成…って言いたいとこだけど武器の生成は得意じゃなくて…主に弾薬生成かな?』




 ミーアの能力はレイと似ているが銃の弾薬生成が得意なようで、セリカに使われた能力も聞き出すことにした。




 「さっきのセリカの能力は一体…?」

 『人間になんか教えないわ!』




 セリカは一瞬こちらを見て首を横に反らした。




 『もう…セリカ…。 セリカは相手を捕縛する能力を持ってるの。 効果は最大

10メートルくらいで近ければ近いほど効果が上がるよ。』




 セリカは慌ててミーアにしがみついて止めようとするがすべて喋ってしまう。




 『ちょ、ちょっと! なんでばらすのよ!!』




 セリカは人間の自分に聞かれるのが気に食わないようだった。

 そしてミーアは自分を信用してくれている様子だ。




 『いいじゃない、悪い人じゃなさそうだし。』


 『ミーアがそう思っても私は認めないわ!』




 ミーアに続きレイも信用してくれていた。




 『リオは悪い人じゃないよ。』


 『ご主人様は悪い人じゃないの…! ラナを助けてくれた命の恩人なの!』


 『――ふんっ! もう好きにして!』




 セリカは首を反らし不貞腐れ、レイは辺りを見渡し呟く。




 『ところで他の子達は…? 周りは大分壊れてぼろぼろになったようだけど…。』


 『…ごめんね。 二、三週間前に魔物の量が異常に増えて対処できなくて…私たち2人だけに…。 でもその後は通り過ぎてD区域に行ったみたい。』




 ミーアの言う通り、ミーアとセリカ以外他の災いの子は見当たらない。

 ラナの誕生日前に見た魔物の大群はC区域から来た魔物たちだったのだろう。




 『そっか…。 結界が解けた瞬間、かなりの量の魔物が襲ってきたのもそのせいかな…?』

 「…たしかに異常に多かったな。 まるで狙っていたかのように…。」




 不貞腐れていたセリカは話に混ざってくる。




 『私が異界のゲート横にあるE区域近くの橋からA区域近くまで渡った時は全くいなかったわ。 …ゲート付近にはめちゃくちゃいたけど。』




 レイも都市の島の地形については知っているようだった。

 自分もある程度、島全体は知っているものの細かい地形などは知らない。




 『ゲートを通るかその橋を通るかでしかE区域にはいけないからね。』

 「E区域からの物資はその橋を通っているとは聞いたことがあるが…。」




 D区域とE区域は真逆の位置にあり、E区域へ行くにはA区域近くにある橋か今現在異界のゲートとなっている場所を通らなければ行き来できない。

 しかし、異界のゲートを通り抜けれた者はいないと聞いている。

 レイは呟く。




 『ゲートの女王は本当に世界を滅ぼそうとしてるのかな。』

 「ゲートの女王…? そんなのがいるのか?」




 異界のゲートに女王がいるのだろうか。

 セリカはため息をつき、こちらへ喋りかける。




 『ほんっと何にも知らないのね人間。 特別に教えてあげるわ、異界のゲートから魔物がでてくるのはわかるわよね?』

 「まぁ…それぐらいなら。」


 『そのゲートを守るかのように女王が存在するわ。 私たち災いの子みたいな人がね。 その人物がこの滅んだ世界の元凶とも言われてるわ。』




 初めて知った――――――――。

 ゲートに女王が存在し、世界が滅んだ元凶であることに。




 「もし、だ…そいつを殺したらゲートから出てくる魔物は止まるのか?」

 『さぁね。 ただ女王に挑んで死んでいったものは数知れないわ。 ゲート付近に入った者はみんな帰ってこなかったって聞いたわ。』


 「殺すことは不可能なのか…?」




 レイは持っているリボルバーを見えやすいように上げ、シリンダーラッチを押すと、弾薬が入ったシリンダーごと外れて落ち、シリンダーが地面に触れると弾薬が抜け落ち転がった。

 リボルバーはシリンダーごと外して新しいシリンダーを入れて撃てる仕組みのようだ。




 『この世界の武器ならたぶん不可能だろうね。 …僕たちの兵器を除いて。』

 「レイの生成したそのリボルバーでなら…?」


 『まぁただの銃とあまり変わらないけどね。 …でもミーアが作った弾薬を込めれば違う。』


 『私は魔力を込めた弾薬が作れるよ。 相手に撃ち込めば体内で魔力が暴走を起こして炸裂や爆発が起きるの。 普通の銃だと耐えれなくて壊れちゃう。』




 ミーアは手のひらを少し前に出し、光が集まると同時に6発入りのシリンダーが生成され始め、徐々に形成されていく。

 弾薬が装填された状態の8角形のシリンダーが出来上がり、こちらに渡した。




 『これが赤の弾丸。 命中すれば大きな爆発が起きるよ。』

 「赤の弾丸…? 特に変わった感じがしないが…。」




 赤の弾丸と言われるが自分には弾丸とシリンダーは白色にしか見えなかった。

 レイは詳しく教えてくれる。




 『相手に撃ち込んだらほぼ確実に倒せるはず。 僕たちのリボルバー名はR&Mアール アンド エム。 詳細はRevolverリボルバー & Manaマナ。』


 『もしくはReiレイMierミーアだよ。』

 「R&Mアール アンド エム…。」



 リボルバーの名前はR&Mアール アンド エム

 2つの呼び名があり、レイとミーアの名前もある。

 マナは魔力の意味合いがありそうだ。

 魔力弾を撃つことができるリボルバーはこの世界で1つだけだろう。




 『ラナも見たいの!』




 すごく興味を示しているラナにシリンダーを見やすいように自分はしゃがみ、見せた。




 『すごくきれいなの…! 普通とは違うの!』

 「そうなのか…自分には全然わからない。」




 ラナにもわかるようだが、自分にはまったくわからない。

 ミーアは不思議そうにこちらを見る。




 『災いの子にしか分からないのかな? ちょっと変な気分ね。』


 『私たちのことなんて人間には到底理解できないわ。』




 自分はミーアにシリンダーを返そうとした瞬間不思議な感覚に陥る。

 元々自分の手元にあったような感覚だ。




 「ん? …気のせいか。」




 不思議な感覚に陥っている自分にレイは気にかけてくる。




 『リオ大丈夫かい…?』


 「ああ、なんだか懐かしいような感覚があった気がしただけだ。」

 『変な人間…。』




 セリカは引いたような目でこちらを見た。


 D区域から移動し大分時間が経ち、夕日が出始めている。

 学校とD区域の崩壊、魔物との戦闘、無法地帯の移動で自分は疲労していた。

 ラナとレイは疲れている様子はなく、ラナは夕日を眺めていた。




 「今日は色々あって疲れたな…。」

 『夕日がきれいなの。』


 「あぁ…そうだな…。」




 ラナと一緒に夕日を眺め、一日を思い返しながら無法地帯にいる自分は今でも信じられず不思議な感覚だった――。











 『To be continued――』

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