Episode.2-3『崩壊と力』
気配の方を見ると、崩れかけた一軒家の建物はあるが姿は見えない。
全員警戒態勢に入り、自分はアサルトライフル、レイはリボルバー、ラナはナイフを構えた。
『…そこに何かいるの――――――!!』
ラナが喋り終えた寸前、2mほどの鬼のような顔をした全身筋肉質の魔物が一軒家の壁を突き破り、壁は粉々に飛び散らせながら出てきた。
通称、ブローダーだ――。
魔物の中で一番遅い方だが、普通の人間よりは素早く、殴る威力は戦車の装甲を破壊するほどの力がある。
全身筋肉質の為、防御面もかなり高いと聞いたことがある。
レイは即座にリボルバーを撃ち、ブローダーの右腕に命中するも弾丸はめり込む程度で、レイはブローダーにタックルで突進攻撃され、近くにある廃墟のブロック塀を貫通し吹き飛ばされ壁が崩れて見えなくなる――。
『ぐっぁ――――――!!』
「レイ――!! くそっ――――――!!」
アサルトライフルを10発ほど撃つがブローダーは腕で防御しながら突進してきた。
弾丸はめり込む程度ですべて防がれ、ブローダーにタックルで突進され、レイと同じように廃家まで吹き飛び、激突した壁に大きなひびが入った。
全身に激痛が走る――――――。
「がぁッ――――――!!」
『ご主人様――――――!!』
普通なら骨も内臓もぐちゃぐちゃになってしまうであろうダメージを受けても自分は平気だった――。
痛みで苦しみながらもラナに喋りかける。
「ッ――!! ラナ離れるんだ!!」
ブローダーにラナとの距離を詰められる。
ラナは助けたそうにしていて、どうしたらいいかわからない状態だ――。
ブローダーはその間にラナへ一気に距離を詰め、右腕で殴り飛ばす瞬間、ラナはナイフで防いだがナイフは粉々になり吹き飛ばされた。
「ラナッ――――――――!!」
ブローダーに向け、アサルトライフルのグレネードランチャーのトリガーに指をかけ、トリガーを引くとブローダーにグレネード弾が飛んで行き、爆発と土煙が出る。
ブローダーは右腕を大きく振り払い土煙を一瞬にして吹き飛ばした。
グレネードの爆発を受けたブローダーは軽くやけどした程度で、全く効果がないようだった――――――。
「効いてない…!!」
ブローダーはこちらを向く。
「どうすれば――!!」
レイは瓦礫を這いずりながら抜け出すが、レイの頭からは血が流れており、腕には擦り傷も見える。
苦しみながらレイは喋った。
『リオ!! これを使って――!!』
レイが喋り終え、手をかざすと自分の目の前に武器が生成され始めた――。
小さな光が集まっていき後ろから先端にかけ、対戦車ライフルを形成していく。
生成を終えるとレイは徐々に意識を失い、最後に声を発した。
『弾は5発しか…入って…ない…。』
レイは言葉を残し崩れるように倒れた――――――。
完成した対戦車ライフルを急いで手にするが、突進してきたブローダーに殴りこまれ、廃家を一つ貫通し吹き飛ばされる。
全身が砕けるような痛みが走り、痛みのあまり気絶しそうだ――。
「ぐッ――――――!!」
ラナは少しふらつきながら立ち上がった。
『こっちなの…!!』
ラナはブローダーに向かい飛び蹴りをし、ブローダーは両腕で防御するがラナの右足から繰り出された飛び蹴りをブローダーは食らい、仰け反った――。
「今だッ――――――!!」
激痛を噛み締めながら貫通した廃家の穴からブローダーに向けて対戦車ライフルを構え、トリガーを指で引いた――。
対戦車ライフルの弾丸が発射され、大きな銃声が鳴り響き、弾丸は仰け反っていたブローダーの頭部に命中し、血を噴き出すと共に貫通した――。
ブローダーはゆっくりと倒れこみ地面に血だまりができる。
「ラナ! 大丈夫か!?」
急いでラナに駆け寄った。
『平気なの…!』
ラナの服は少し破れいるがナイフで防いだおかげか傷を負っていない。
自分も死んでいてもおかしくないほどの打撃を食らっていたが体には何の問題もなかった。
「大丈夫そうだな…レイは!?」
自分とラナはレイの様子を見に行くが、聞いていた魔力の使い過ぎにより倒れていた。
能力を使いすぎると気絶したように眠ってしまうようだ。
「ラナ、すまないがこの銃…持てそうか?」
『わかったの。』
対戦車ライフルをラナに持たせた。
大きくて持ちずらそうにしたがラナは軽々しく持った。
自分はレイを担ぎ、近くのあまり崩れていない1階建ての廃家にラナと一緒に入り込んだ。
部屋は2つあるが中は荒らされており、小汚い感じはあるが休憩するには十分そうだった。
レイを降ろし、壁に座らせた。
「ひとまずここでレイが目を覚ますのを待とう…。」
『うん!』
ラナは頷き、自分は家の中を探索し始める。
「だいたいの家には物が残されているはずだが…。」
隣の部屋の収納棚などを開け、塗り薬と包帯を見つけ、包帯を手に取りレイの所へ戻った。
塗り薬を開け、レイの頭の傷に塗り、包帯を巻いた。
ラナは手当しているのをじっと見つめる。
『今度ご主人様が怪我をしたらしてあげるの!』
「怪我をしても治るが…。」
『うー…。』
自分は苦笑いをし、ラナは少し悲しそうに頬を膨らました。
レイに簡単な手当てを施し、頭と腕に塗り薬と包帯を巻き終え、アサルトライフルの弾薬の確認や対戦車ライフルの点検を済ませた。
弾薬はアサルトライフル残り20発と対戦車ライフル4発だ。
1時間が経ちレイはゆっくりと目を開け、目を覚ます。
『ううん…。』
『レイ、大丈夫なの…?』
『ん…あぁ…魔力の使い過ぎで倒れただけだから平気だよ。』
レイは完全に目を覚まし辺りを見渡した。
問題はなさそうだった。
「C区域に向かえそうか?」
『うん、行けるよ。 …それと治療ありがとう。』
「よし、向かおう。」
アサルトライフルのベルトを肩に掛け対戦車ライフルを手に持ち、3人は廃家を出て再び出発する。
歩き始め、少しした後ラナはレイに問いかけた。
『あとどれぐらい距離あるの…?』
『2時間ぐらいは…かかるかな。』
「乗り物があればすぐなんだけどな…。」
『さすがに乗り物の生成は厳しいかな…武器ぐらいしか…。』
「いや、そこまでしなくても大丈夫だ。」
『でもC区域にはあったよ。 …今動くかは知らないけど。』
ラナはとても興味を示し喋る。
『ラナ、乗り物に1度でいいから乗ってみたいの!』
「まぁ機会があったら乗ろう。」
『うん!』
話しながら2時間ほど歩き、C区域手前に到着する。
周りの建物は全て崩壊しており、簡易的な防護壁と使い捨てられた銃器や壊れた戦車、軍用車などが沢山ある。
しかし簡易的な防護壁はすべて壊れている。
中央には多少修復された建物があり、何とか入れる程度の家だが半壊している小さな1階建ての家だ。
家の前には機関銃もある。
修復された建物に近づくと一人の少女の声が建物の暗闇から聞こえる――――。
『――――――お兄ちゃん!?』
『To be continued――』
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