324 本音を引き出す為に、ヤクザの息子として騙し討ち

 流石に校内じゃ、他の生徒の迷惑にも成ると考え。

ダッツの悩み解決の場所として、奈緒さんの家を借りる事にした俺。


そんでまずは、その悩みを解決する為にも、アルコールを広田君に薦め、奴の本音を引き出きだそうと企んでるんだが……これで上手く行くのかの?(。´・ω・)?


***


「……さて、これでもぉツマラネェ前置きはイラネェよな。早速で悪いんだが、さっきの件、どう言うつもりか教えて貰おうか?」

「里香との話だな」

「あぁ、今の状況で、それ以外に何がある」

「ふぅ……これは倉津に話す様な事でもないんだが。正直に言って、里香との関係は、既に終わっている。それに別れてから、急に仕事が忙しくなってきてな。今では、そんな事に『ウツツを抜かしてる』暇もない」

「なるほどなぁ。じゃあ、その言い様だったら、今となっては、オマエにとって、津田の存在は過去のもので有り。煩わしいものでしかないって判断で良いんだな」

「いや、そこまでは思ってないが」


はぁ~~~、面倒臭ぇな。

なんで、そう言う微妙なニュアンスで言葉を濁すかなぁ。

『仕事』だとか『忙しい』だとか『暇は無い』だとか、そう言う事をぬかして言い訳にするのは、くだらねぇ退屈な大人達だけで十分なんじゃねぇの?

幾ら仕事をしてるとは言え、俺等は、まだ中学生なんだから、もっと自分に正直に成って熱くなっても良いんじゃねぇの?


例えば、さっきの津田とオマエの口喧嘩みたいによぉ。


それによ、津田の事を『どうでもいい奴』だと思ってるなら、いつもみたいな鉄仮面ヅラで、俺の話を無視するなり、なんなりすりゃ良かったんじゃねぇのか?


オマエは、如何にもな事を言ってるつもりかもしれないがな。

やってる事と、言ってる事の辻褄が、なに1つ合ってねぇんだよ。


つぅ事でだ、此処は1つ、出来もしない駆け引きらしきものをしてみるか。


まぁ……この駆け引きで同じ様な解答をするなら、コイツはもぉ、津田とは付き合うべきじゃないんだろうけどな。


その時点で、コイツは、津田を愛していない。

(↑勝手な言い分な俺)



「あっそ。OKOK。そいつを聞いて安心した」

「安心?どういう意味だ?」

「関係ねぇじゃん」

「そうだな。確かに関係は無いが。俺も此処まで話をした以上、知る権利はあると思うんだが?」


ほらな、こんなチープな駆け引きの言葉に反応するぐらい、津田の事が気になってんじゃん。


本当にどうでも良いなら、此処は『あっそ』って言って、一切、反応しない所だぞ。



「権利なぁ。……まぁ良いっか。特別隠す様な話でもねぇしな」

「っで、なんなんだ?」

「いや、実はよぉ。他愛もない話なんだがな。最近よぉ、学校でHする相手ってのが居なくて、微妙に困ってたんだよな。そこにな、フリーになった津田が現れたんで、コイツを、どう料理するべきか考えてたんだが。まぁ一応、元彼って、オマエの手前も有るから、最低限、確認だけはしとかなきゃなって思ってた所だったんだよな」


なにも嘘は言って無いぞ。


学校でHする相手が居ない。……そんなもん最初から居ねぇ。

相手が居なくて困ってた。 ……そりゃHしたい時に、相手が居なきゃ困るわな。

津田が現れて、丁度良い。 ……前のバンドのメンバーがみんな忙しいから、話し相手に丁度良い。


なぁ、なにも嘘言ってねぇだろ。



「ちょっと待った!!オマエには確か、向井さんって彼女が居る筈だろうが」

「あぁ、奈緒さんな。奈緒さんは良いんだよ。あの人は、俺の浮気公認だし」

「何を言ってる!!彼女が浮気を公認するなんて聞いた事ないぞ!!」

「それがあるんだよ。ってか、そうやって自分の物差しで世間を計るな。現に、ウチの奈緒さんがそうなんだからよ」

「仮に、そうだとしても、何故、敢えて里香を狙う?」

「だってよ。処女とか面倒臭そうじゃねぇかよ。後からゴチャゴチャ言われんのは煩わしいからな。やるならやるで、非処女の方が後腐れがなくて、気兼ねもねぇんだよ」


取り敢えず驚け。


真相は知らん。



「んっ、何を言ってる?里香が非処女?そんな訳ないだろ」


あれ?驚かねぇのな。



「あれ?そう言うって事は、オマエ、まだ津田とやってなかったんだ?……って事は、津田は、まだ処女か。まぁけど、それも有りだな。初物食いってのも悪くはねぇ。後は、ドップリ俺の色に染めるだけだ」

「ふざけるな!!オマエの言っている事は、人として最低最悪な事だぞ。それを理解して言ってるのか!!」

「『人して最低最悪』っと来たか……確かに俺は、人として最低最悪だな。だがな、ヤクザの息子にモラルなんぞ求めるなよな。モラルなんぞあるなら、ヤクザになんかなんねぇよ」

「ほぉ、ヤクザなら、何をしたって言うんだな?」

「当然だ。俺はなぁ、関東を仕切ってる組長の息子だぞ。高々、女が1人が、どうなろうと知ったこっちゃねぇの。俺は、奈緒さんさえ幸せなら、他の女が傷付こうが、なにしようが関係ねぇ。それに、さっき、オマエには『津田と別れてるかどうか?』の確認はした筈だぞ。彼氏・彼女の関係じゃねぇんなら、文句を言われる筋合いは無いな」

「何故、そこまでする?里香の気持ちは、全く無視するって事なんだな?」

「しょうがねぇだろ。俺が気に入ったんだからよ。まぁアイツが、俺の言う事を聞くって言うなら、将来、愛人にでもしてやるよ。これなら文句はねぇだろ」

「きっ……」


オマエが怒る前に、津田の苦しみを少しは思い知れ、このバカタレ!!


オマエは知らねぇかも知らねぇがな。

津田は、オマエと別れた後も『写真の勉強』や『料理の勉強』を1日たりとも欠かしてねぇんだぞ。

それに、オマエん所の弟や、妹の事も心配してる。

特に、のぞみって子の事は、殊更心配してる様だったぞ。


オマエ……それ、わかってのか?



「んだよ?愛人って言っても、なにも悪い事バッカリでも無いぞ」

「きっ……」

「どっかの、しがないカメラマンモドキと違って、俺の家は金持ちだ。月に何回かHするだけで、一生、金に苦労しねぇんだから、ある意味、それも幸せなんじゃねぇの」

「きっ、貴様……それは、本気で言ってるのか?正気の沙汰じゃないぞ!!」

「あほか?」

「なに!!」

「そんなもん、嘘に決まってんだろうが」

「んっ?なに?……嘘…だと?」


今の話は、オマエの気持ちを、仲居間流で確かめただけだ。


まぁ、この効果が有るのは、俺同様のドン臭い奴だけだけどな。

つぅ事で、オマエは、俺と同様『ドン臭い男』認定だ。


残念じゃったのぉ。



「オイオイ、幾ら、俺がヤクザの息子とは言え。あんな良い奴に、んな酷い真似する訳ないだろうに。……んな事より、オマエさぁ、いい加減、正直になったらどうなんだよ?」

「・・・・・・」

「それによぉ。そんだけ津田の事で怒ってるって言うのに、まだ津田の事は、どうでも良いとか言うつもりのか?」

「そんな事は……ない。そんな事はないんだが……」

「あんなぁ広田よぉ。オマエが何を言うつもりかは知らねぇがな。津田は、未だにオマエの事が好きなんだよ。オマエが、そんな津田に何をしたのかまではシラネェがよ。津田を受け入れる体勢が、まだ出来てねぇのか?」

「……そう言う訳でもないんだ。里香を受け入れるとか、そう言う事ではなく。俺では里香を不幸にしてしまう。だから、そんな俺には、里香の好意を受ける資格など無い。ただ、それだけなんだ……」


おぉ~おっ、どこかで聞いた様な話だな。

その昔、コレとまったく同じ様な事を言ってたアホが居たな。


……ってか、それって俺じゃん!!


う~~む、どうやら俺達朴念仁と言う人種は、必ずしも同じ過ちを犯す傾向があるらしいな。


こりゃあ、マジで笑えない事象だな。



「オイオイ、その考えは危険だぞ」

「何故だ?」

「いやよぉ。俺も以前に、今のオマエと同じ様な考えに陥った時期が有ったんだがよぉ。結局、よく考えたら、女の子にとっちゃあ、自分の好きな奴と付き合えないのが一番不幸なんじゃねぇの?なんつぅかさぁ。好きな奴とは、いつまで経っても付き合えないわ。ソイツには心を縛られたままになるわ。これじゃあ、なんも良い事なんか無くね?」

「確かにな。けど、俺は、倉津が思っているより遥かに朴念仁だ。里香を笑わせてやれる訳でもないし、仕事も疎かに出来ない。仲居間や、倉津とは違い、器用には出来てないんだ」


なになに?

今オマエ、俺に向かってなんて言った?


……なんか、俺が器用だって言った様な気がするんだが。


ヤッホォ~~~!!

もし、それが事実なら、他人から生まれて初めて『器用だ』って言われたぞ。


こりゃあ、奇跡だ奇跡!!

奇跡体験アンビリーバボォー!!



「じゃあよ。その回答を、崇秀の言葉を借りて言ってやるよ。『オマエ、それをやろうとしてないだけじゃねぇのか?』……多分、アイツなら100%そう言うと思うぞ」

「しかし、それは『言うは安し、やるは難し』と言う奴で。俺は、仲居間の様には上手くは振舞えない」

「はぁ……もぉしょうがねぇ奴だな。じゃあよぉ。最後の手段だ……」

「なんだ。その最後の手段って?」

「オマエさぁ。もぉゴチャゴチャ言わずにな。手っ取り早く、津田とHしたらどうだよ?」

「あぁ?一体、何を言っている?」


理屈の話だ。


この理屈、オマエにはわかるか?

和製クルーグマンの高貴な屁理屈が、オマエにわかるか?


解らない様だったら、噛み砕いて説明してやってもいいぞ。

(↑器用と言われて、調子に乗る俺)



「いやよぉ、なにを言ってるもなにも。今の現状のオマエってな、津田に対しての責任感が無いから、いつまでも、そうやってフラフラしてんだろ?なら、一層の事、その責任感を持つ為にも、津田とHすりゃ良いんじゃねぇの?って言ってんの。そうすりゃあ、幾ら朴念仁のオマエでも、少しは『アイツを大切にしてやろう』って気持ちにもなんだろ。だったら、さっさとHすりゃ良いじゃねぇかよ」

「りっ、理屈は理解出来るが……それは、少し思考が飛躍しすぎではないか?」

「そうかぁ?そんな風に『女を幸せにしてやろう』って気持ちは滅茶苦茶か?」

「いや、そうは思わないが。その場合、責任というより『倫理的』な問題が出るだろう」


倫理ねぇ……まぁ確かに、倫理的な面で言えば、OUTと言えばOUTだろうな。

けど、そんな倫理なんて無視するぐらい相手が好きなら、男女関係なんてもんは、自然とそう言う行為に移っちまうもんなんだけどな。


それが恋愛ってもんじゃねぇの?



「まぁなぁ、言いたい事は解る。だが、オマエの一番の勘違いしてるのは、多分そこだぞ」

「なにがだ?」


しかしまぁ広田君、君は、僕の思い通りに話を進めてくれる良い子だね。


そんな良い子には、和製クルーグマンが、キッチリ解るまで解説してやろうじゃないかね。

(↑本当はヘチョイのに、偉そうな俺)



「よぉ~~~く考えろよ。オマエ『責任が取れない』って言ってたけどよぉ。実はオマエ、結構、責任取れる立場に有るんだぞ」

「何故?どうしてそう思える?俺は完全な朴念仁で、仕事と恋愛も両立出来無い様な不器用な男。そんな俺の、どこに責任なんて物が取れると言い切れる?……それに俺は、里香の事を裏切った……」


おっ?なんか此処に来て、やけに引っ掛る言葉が出てきたもんだな。


最後に言った『裏切る』ってなんだよ?


普通に考えたら、朴念仁のするこった『期待を裏切った』って線が濃いんだが……それにしては、どうにも様子が変だ。

かと言ってだ、このド朴念仁が『浮気』なんて、俺みたいなアホな真似をするとは思えん。


なんだ?こいつら2人の間に、一体なにがあった?


けど取り敢えずは、俺自身も現状が把握し切れてねぇから。

今はまだ、奴の話をメインにするのではなく、まずは自分が進めてきた話を、前に進めるしかなさそうだな。


……にしても『裏切り』とは、なんとも厄介な臭いしかしないな。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


倉津君、自分の立場を上手く使って、広田君の本音を引き出しましたね。

これについては、中々上手いやり方だと思います♪


しかも、今までに自分も同じ様な経験をして来ただけに、比較的的確な助言も出来てる様ですしね。


さてさて、そんな好調な中。

広田君から、なんとも言えない様な『裏切り』っと言う言葉が出てきました。


果たしてこれは、一体、如何なる事なのか?


次回はその辺を詳しく書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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