320 ウゲゲッ!!もっと最悪じゃねぇかよ……

 俺の事で口喧嘩する素直とダッツ。

これを間近で見て居た俺は『こりゃあ、2人の世間体に良くないなぁ』っと感じ、怒ったフリをして、そんな2人を置き去りにしたまま教室を後にする。


ただそこには、元来真面目な性格の2人なら、反省して追い掛けて来るだろうと言う思惑込みでだ。


だが、それを成功させるには、クリアしなければならない大きな課題もあった。

それは……ダッツちゃんの元彼氏である広田君が『この状況を見た場合、変な方向に誤解しないか?』っと言う物。


さてさて、そんな状態の中、俺は、広田の居る教室の前を、アイツに見つからずに通り抜ける事が出来るのか?


……ってか、なんで俺が、こんな目に(;´д`)トホホ


***


 なんて余裕をブチかましながらヘコヘコと廊下を歩いていると、奴が居るであろうA組の前に差し掛かる。


勿論、そのまま、何も考えずに教室の前を通過しても良いんだが。

一応、保険を掛ける為にも、クラスに広田のアンポンタンが居るか、どうかだけは確認して置く必要性はありそうだな。


もし此処で、奴さえ教室に居なきゃ、不安要素は一切無くなる訳だしな。


これは、俺にとっては、なにより好都合な展開だ。


『キョロキョロ('ω'*=*'ω')』


俺は視線だけで、教室……いや、正確には、窓側を重点的に見回す事にした。


その理由はだな。

入学式から上級生に喧嘩を売る様な、あんなド不良のこった。

きっと窓側の一番後ろの席に陣取って、普段から勉強もせずにグゥスカ寝てるに決まってるからだ。


不良とは、得てしてそう言う生き物だ。


『キョロキョロ('ω'*=*'ω')』


くっ……くははははっははっは……


やった!!やったぜ!!

あの馬鹿、仕事かなんかが入ってるのかして、今日は学校を休んでやんの!!


ふははははははっはっは……これでもう不安要素は無しだ!!


まさに俺、完璧!!



「倉津、どうした?誰か探しているのか?」

「ぶっ!!」


ええぇぇ~~~!!うそ~~~ん!!

俺が安心しきった所に、何故か広田が、廊下側の席から声を掛けてきやがった!!


つぅかオマエ、なんで不良のクセに、廊下側の真ん中の席なんかに陣取ってやがんだよ?

不良なら、不良らしく、席替えしても『面倒臭ェ』とか言う自分勝手な理由で、昼寝に最も有用な窓側の後ろの席をキープしとけよな!!


簡単に、そんな安眠席を、他人になんかに譲るなよな!!


ホント……馬鹿じゃねぇのか?


それともなにか?

購買部とやらで、早くパンを買う為に、廊下側に席に陣取ってやがるのか?


まぁなんにしても、なんて意外性のある不良なんだオマエは。


不良の風上にも置けねぇ奴だがな。



「んっ、何故、そんなに動揺してるんだ?」

「いや、別に、動揺って訳じゃねぇんだけどよぉ」

「では、何をそんなに驚いている?」

「いや、あのよぉ……」

「倉津く~~ん!!」

「真琴君、待ってぇ~~~」

「ぶっ!!」


さっ……さっ……さっ……最悪のタイミングじゃねぇか!!

なんで、こんな見事なまでに、この最悪のタイミングで2人して俺に話し掛けるて来るかなぁ?


アカン言うてるやろ!!


マジでアカンわ、これ。

矢張り、今日も、いつもの例に漏れず、俺は『運に見放されている』様だ。



「ごッ、ごめんね。さっきは気分の悪い思いさせちゃって。あっ、あのね。あの後ね。有野さんとは、ちゃんと仲直りしたから、3人で一緒にご飯食べよ。ねっ、良いよね」

「あっ、いや、あのよぉ」

「・・・・・・」

「あっ!!……隆弘君……」


にゃあ~~~(奈緒さんの真似)


オイオイ、この悪循環、どこまで続く気なんだ?

こんな泥沼な演出をかましてまで、俺を、どの地獄に突き落としたいんだ、神様よぉ?


出来れば、その辺を明確に教えてくれ。

そうすりゃあ、盆暗な俺でも、多少なりとも対応は出来る筈だからよ。


『ドロドロの恋愛地獄』


……ん?

なんか今、非常に生々しいヤナ声が脳内に響いた様な気がするけど……これはきっと気のせいだろうな。


うんうん、気のせいだ。


つぅか、この状況自体が既に、そのドロドロの恋愛地獄とか言う奴に落ちてねぇか?



「どっ、どうしたの、真琴君?」


素直が、津田と広田両名の様子を見て何かおかしいと違和感を感じたのか、俺の耳元に小声で囁いてきた。


こう言った恋愛事に関して素直は、やや鼻が効く。



「いや、見ての通り、なんの捻りもない修羅場だ」

「えっ?修羅場……ですか?それって、どういう事なんですか?」

「いやな。実を言うとだな。津田と、広田って、以前に付き合ってた経歴が有ってな。んで津田は、あんな態度を取ってはいるんだが、まだ広田に未練がタラタラに残ってるんだよな……これが」

「えっ?えっ?じゃあ、この状況って、凄く不味いんじゃないんですか?」

「そうなんだよな。言うまでもなく不味い状況だな。いや寧ろ、不味い処か、非常に不味い状況だな」

「でしたら。早く、なんとかしてあげないと」

「おぉ、確かに、このままにして置く訳にもいかねぇからな。俺が、なんとかするしかねぇわな」

「まっ、真琴君、がっ、頑張って」

「おっ、おぉ」


小さくガッツポーズをして、俺の応援をしてくれている素直に、そんな風に耳打ちをして、ダッツたちの現状を説明し終えると、もう1回確認の為に2人の状況を確認してみたところ……


……あぁ、もぉマジで辞めてくれ。


最悪だぁ。

言うまでもなく、最悪な状況は継続中だ。

しかも、なんの進歩もないどころか、ちょっと目を離した隙に事態が悪化してんじゃねぇかよ。


お互い、完全にソッポ向いて顔も見てねぇ様な状況でやんの。


ってか!!拗ねた小学生か、オマエ等は!!


まぁまぁまぁまぁ、待て待て。

此処は、取り敢えず、まずは俺が冷静に成って、一旦は落ち着こう。

ホント冷静に見れば、この状態は、なにも悪い事バッカリでもない訳だしな。


だってそうだろ。

実際、津田は、今はあんな素っ気ない態度を取ってるが、最終的には、広田との復縁を強く望んでる訳なんだしな。

それに、広田の心境としても、きっと津田とそんなに変わらない心境の筈だ。


要するにだ、この悪循環さえ断ち切ってやれば、好転する可能性すら出てくる。

だったら、なにか切欠さえ作ってやれば、この場も上手く纏まっていく筈だ……多分。


……なんの保証もねぇけど。


ってかもぉ、これに賭けるしかねぇんだよ(;´д`)トホホ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


広田君……居ましたね。

倉津君曰く『不良の風上にも置けない様な席に陣取って』広田君は居ましたね(笑)


( ´,_ゝ`)プッ


まぁ、そうは言いましても。

この本編第一章に入ってからの倉津君は。

悪事をしなくなってる処か、一生懸命自分也に頑張ってるので、少々可哀想な所もあるのですが。


これもまた人生経験。


この試練を乗り越えて、自身の糧にして欲しい所ですね(笑)



オイ、殴公、オマエ、絶対楽しんでんだろ!!( ゚Д゚) ('ω'*)やだなぁ、気のせい、気のせいですよ♪


なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~((((((੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾ニゲロ!!


逃げるなぁ!!誤魔化すなぁ!!( ゚Д゚)

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