316 全てが上手く行くか……行く訳ねぇ(泣)

 屋上の高い位置から先に降りた俺。

そんでその後、梯子から降りるダッツのパンツを見ていたら……それに気付かれて、ダッツが、お尻から落ちて来た。


そして、その衝撃でコンタクトが外れてしまったダッツは、俺に顔面騎乗したまま(*'ω'*=*'ω'*)キョロキョロ。


それに対して死を感じた俺は。

以前、素直に対してやった【ペロッ】を実行して脱出しようと試みるのだが……


ってか、なんで俺は、こんな目に遭ってんだ?(´;ω;`)ブワッ


***


「ひゃああぁ~~~っ!!なになに?お尻の下で、なんか動いた」


予想に反する事無く、津田は思いっ切り飛び上がった。


当然俺は、その隙を縫って、顔を津田の尻から遠のけて、事なきを得る。


けど、危なかったな。

後一瞬でも遅かったら、再度、津田の尻の下敷きになるところだった。


危ねぇ、危ねぇ。



「ぷはぁぁ~~~っ。あぁ、死ぬかと思った」

「えっ?えっ?なになに?ひょ、ひょっとして、私、倉津君の上に乗ってたの?」

「えっ?あっ、あぁ、まっ、まぁな」


お互いの為にも、それ以上は聞くな。

これ以上、話を聞いた所で、なにも良い事なんてないんだぞ。


わかったな?聞くなよ。



「あっ、あの、あの、まさかとは思うけど、倉津君の顔の上じゃないよね」

「いや、まぁ、その、なんだ……事故だ」

「って事は、あっ、あれかな。ひょ、ひょっとして、今の感覚って……『舐めた』とかとか言う?」

「いや、あのな、いやまぁ、その、すまん。……あぁしなきゃ、どうやっても俺が死んでた。それにオマエも、自分の尻で人を殺したくはないだろ」

「あっ、あぁ……ぐすっ……舐められたぁ……」


泣いちゃったよ。


いやまぁ、そうだよなぁ。

普通に考えても、そうなるのは必然だよな。

好きでもない男に、そんな事をされて、何も感じない女子なんている訳ないよな。



「あぁ、あのよぉ。今のはどう考えても事故だよ事故。ほっ、ほら、あの犬とかよぉ。よく女の人の股座を舐めたりするじゃねぇか。今の現象は、あっ、あれと同じだよ」

「ぐすっ……でも、倉津君、犬じゃないもん」


まぁ、巷では『奈緒さんの犬』とは、よく言われてるけどな。


確かに、実際の話で言えば、

一応は、国で認められてる以上、人間ではあるから、犬ではないわな。



「だっ、だから、だからよぉ。あれだよあれ……えっと……すまん、なんも言い訳が思い付かん」

「ぐすっ……ぐすっ……うわぁ~~~ん」


本格的に泣いちまったよ。


どうすんだよ、これ?



「オイオイ、ダッツ。頼むから泣き止んでくれよ。俺が全面的に悪かったからよ」

「だって、だって、舐められたんだよ。濡れたパンツの上から、あそこ舐められたんだよ。もぉ恥ずかしいよぉ」


えっ?そっち?


そこなのか?



「オイオイ、ダッツ……俺に舐められた事より、パンツが濡れてた事の方を恥ずかしがったのかよ?」

「言わないでよ。……パンツが濡れてたら、なんかヤラシイ女みたいじゃない。倉津君に、そんな風に思われるの嫌だよ」

「いや、それ、ただの生理現象だからな。こんなもんは、男の勃起と一緒だから、特に、おかしくはねぇぞ」

「そんなんじゃあ、納得出来無い」

「じゃあよぉ。あれじゃね?思い出し濡れとか?」

「……なにそれ?」

「いや、あのよぉ。男なんかには、よくある現象なんだけどよぉ。女のさぁ、何気ない仕草を思い出して勃起しちまう事があるんだよな。……そんな感じ」

「なんかわかんない。それに、結局は、それじゃあヤラシイ感じじゃない……それにそれじゃあ、妄想女みたいだし」

「まぁ、そう言っちまえば、そうなんだけどよぉ。男でも、女でも、無意識にそう言うのを意識する事って有るじゃん。きっと津田も、それだったんだよ」

「うぅぅ~~~」


納得したとは、とても思えない程の状況だが、津田も納得した方が得だと感じた様だ。


まぁしかしだ、これで納得して貰うのもなんだよな。

なら、漫画の定番のあれでもして、ダッツを納得させるとするか。



「よぉ、津田」

「なに?……( ;ω;)」

「まぁ、こんなんじゃあ、なにも納得出来ねぇかもしれねぇけどな。取り敢えず、俺を思いっ切り一発殴っとけよ。そうすりゃ、少しぐらい気が晴れるだろ」

「えっ?でも、倉津君、なにも悪い事してないよ」

「いや、まぁ、そうなんだけどよぉ。あれだよ、あれ。今のままで納得出来ねぇってのもなんだろ。それに俺が舐めたのも事実だしな。謝罪の意味も込めてるから、俺を思いっ切り殴っとけよ」

「ホントに……叩いちゃって良いの?」

「まぁ、しゃあねぇだろ。俺も、全然、悪くない訳じゃねぇしな」

「じゃあ、叩いちゃうね。ホントに叩いちゃうよ」

「あぁ、思い切っり、遠慮なく叩いて良いぞ」

「うっ、うん」


『ペチッ』



「うん?」

「ごっ、ごめん。痛かった?凄く痛かったんじゃない?」

「へっ?なんだ?今ので叩いたのか?」

「うん、ごめん。思いっ切り叩いちゃった」


はぁ~~~、叩いたんだ。


いや、なんつぅか。

最近、凶暴な女子(ステラ)に思いっ切り殴られて、白目剥いてKOされた処だから、なんて可愛らしいパンチだとしか思わなかったな。


これがステラだったら、きっと今頃は、俺、あの世に旅立ってた筈だからな。


いやいや、普通、女子のパンチなら、こんなもんなんだろうな。


津田のパンチ力は正しい。



「こんなんしか出来なくて悪いんだが。取り敢えず、これで納得してくれな」

「うん。実際、倉津君が悪い訳じゃないから、叩くのも変な話なんだけどね」

「いやいや、悪ぃな、ホント」

「うぅん、とんでもない」


どうやら、これで納得してくれたらしい。


けど津田は、此処でまた、おかしな事を言い出す。


これ、俺の物語での定番。



「もぉなんかさぁ。倉津君って、ホント優しいよね、……なんで私、倉津君の事を好きにならなかったんだろ?なんか損した気分」


これですよ、これ。

この女子特有の謎の好意を持つ行為。


いやまぁ、そりゃあな。

確かに、この好意を持って貰える事自体には、決して悪い気はしないんだけどな。


これ……絶対に、ダッツの気持ちが変な方向に行くルートじゃんかよ。

だから、好意を持ってくれるのは嬉しいが、絶対に、おかしな方向に思考を持って行くんじゃないぞ。


マジでヤメテくれよ。

俺、優柔不断な所があるからよ。



「おいおい……此処に来てややこしい事を言うなよ。俺は、女難の相だけは、もぉ懲り懲りなんだからよ」

「うぅ……女難とか言われちゃったよ」

「悪ぃ。別に悪気があって、こんな事を言ってる訳じゃねぇんだけどよぉ。此処最近な。なんかモテ期とか言う、ややこしいもんに引っ掛ってよ。4月から、結構、女関係で災難続きだったんだよな」

「そうなんだ。まぁ倉津君、元々モテそうだもんね」


またそう言う事を言うだろ。


俺は、基本的にはモテねぇの。

モテない俺に対して、悪戯好きな神様が、そう仕向けて楽しんでるだけの話でしかないの。


あの糞神だけは、マジで嫌な性格をしてやがるからな。


まさに糞神ならぬ、糞紙だ。



「いや、俺のモテ期ってのは、オマエが考える様な、そんな甘いもんじゃねぇんだよ。次から、次に、綺麗や可愛い女の子が登場してよ。それが、なんでかしらねぇんだけど、俺の事を妙に気に入ってくれる。ホンで、ちょっとフラ付きゃあ災難が巻き起こって、彼女である奈緒さんに迷惑を掛ける。そんな事ならよ、実際、モテ期なんてイラネェんじゃねぇかなって思うぐらい強烈な奴なんだよ」

「じゃあ、その言い分だったら倉津君は、奈緒さんさえ居れば、他には誰もいらないって事?」

「まぁ、手っ取り早く言っちまえば、そういうこったな。漫画や、エロゲーじゃあるまいし。俺は、あぁ言った類の女誑しにゃなりたくねぇからな」

「そうなんだ。じゃあさ、普通の女友達とかは?」

「あぁまぁ、一人だけ、そう言う特別な奴が居たんだがな。崇秀と一緒にアメリカに行っちまったよ」

「うん?仲居間さんと一緒にアメリカに?……あぁっと、ひょっとして、その子って、ステラって言う人の事?」

「あぁ、そうだけどよぉ。なんでダッツがステラの事なんぞ知ってんだ?」


うわ~~~……また、あの2人、なんかロクデモナイ事を仕出かしてやがるな。


山中が居ねぇから、そう言った情報が殆ど入って来ねぇんだけど。

ダッツが、ステラの事を知ってるぐらいだから、相当、ロクデモナイ事をしてやがるな。


ってか、今度は、なにをしやがった?



「私の勘違いじゃなきゃ。ステラって言えば、今、アメリカのインディーズチャートを一番騒がせてるギターリストの子だよ。しかも、仲居間さんプロデュースだったと思う」

「ちょ、なんで、オマエが、そんな事を知ってるんだ?」

「えっ?だって、今度11月に来日するとか雑誌に書いてあったもん」

「うぇ」


アイツ等マジかよ?

なに微妙な部分で、アメリカを騒然とさせてやがんだ。


それに、なんでアイツが、ステラだけを指名したかの様にアメリカに連れて行くのか不信に思ってたんだが……これで謎が解けたぞ。


あの馬鹿秀野郎、ステラを隠れ蓑にして、自分は裏で何かやらかす気だな。


ほんと、アイツだけはロクデモネェな。



「あぁ、ごめん。なんか嫌な情報を言っちゃったかな?」

「あぁ、気にすんな。アイツ等がロクでもねぇのは、いつもの事だ」

「そうなんだ」

「だな。まぁそんな事よりもだ。ホント、そろそろ帰ろうぜ。なんか今日は、なにもする気が無くなったしよ」

「そう……なんだ」

「つぅかな、ダッツよ。俺のアホな事より、広田の件、もう1回、きちんと考慮してやってくれな。俺自身は、アイツの事が嫌いだが、決して、悪い奴では無いと思うからな」

「うん。最後まで、ありがとう……頑張ってみるね」

「あぁ」


こうして今回、ダッツの相談を受けた俺との会話は終了していくんだが……


おぉ!!なんだよ、これ?

なんか取り敢えずではあるが、これで、最後の最後で格好だけは付いた感じだな。


だったら、この調子で、コイツ等の関係も上手く修復してくれると良いんだがな。


それと、もう1つの不安要素だった、津田の知る【奈緒さんの件】も問題無さそうだな。

この様子だと、どうやら津田は、俺と奈緒さんの味方になってくれそうだから、学校じゃ、おかしな事を触れ回る事もないだろう。


なら、いやはや、いやはや、第1部は中々好調な滑り出しだと言え様ぞ♪



……な訳が無い。


世の中、そんなに上手く行く筈もなく。

次回、味方だと思っていた津田のせいで、とんでもない事態に陥れらる羽目になる。


はぁ……まぁどうせ、そんなこったろうと思ってたよ。


はいはい、解ってた、解ってた。


どうせ俺は、ドSな糞神様を喜ばすだけの哀れなピエロなのさ……(;´д`)トホホ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて、第一章【1 俺って……】はお仕舞に成るのですが。


倉津君が大ボケな部分は、序章の時と、あまり変わりがありませんが。

人間的な成長だけは、かなり良い方向に行ってるみたいですね。


まぁ、この後も順調にいけば良いのですが。

世の中、そんなに甘くないのは、本人も言ってる通り。


次回、色々な災難が降りかかってきます♪


さぁ頑張れ、我がピエロよ!!


やかましいわ!!この糞紙が!!( ゚Д゚)=○))з`)ぐぎゃ!!

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