313 奈緒さんの名言

 恋愛相談を俺に持ちかけるダッツ。

そんな中、まだまだ感情が上手くコントロール出来ないダッツに、俺と、芸能人である奈緒さんが上手く交際出来ている理由を話すが、矢張り、理解出来なかった。


なので話は、自身と同姓である奈緒さんの話に流れて行くんだが……


俺なんかに、奈緒さんの事を上手く話せるかな?(。´・ω・)?


***


「多分、聞いても解らんと思うぞ」

「そっ、それでも良いから、教えて欲しいかな」

「そっか。じゃあ教えてやるけどよぉ」

「うっ、うん。お願い」

「いやな、奈緒さんが言うにはな。どちらかが相手を傷つけても、片一方だけ傷付く事なんてねぇんだとよ。その場合は、両方が傷付いて、お互いが必要の無い嫌な気持ちになるんだって。それでな、その上で、お互いが、その傷を糧にして成長すれば良いんだとさ。……まぁ俺も、これを聞いた時は、流石に吃驚したがな」

「へっ?へっ?だっ、だよね。なんか凄い考えだね」

「あぁ、でもな。直ぐに理解出来た事が1つだけあってな。それが解れば、浮気なんてクダラネェ真似はしようとも思わなくなったな」

「えぇっと、それはなにかな?」

「そうやって、相手を思い遣る気持ちだよ」

「えっ?えっ?」


解り難いか。



「わかんねぇか?要はな。奈緒さんは、俺に浮気をさせた自分にも非が有るって言ってんだよ。だから、俺を一方的に責めるのは、お門違いだとも言ってんだよ……有り得ないだろ?」

「すっ、凄い。凄い考え方だね。でもでも、それって、凄い自分に自信が有るって事の裏返しでもあるよね」

「まぁな。つぅか、自信以前の問題として、あの人は、人間ビックリ箱みたいな人なんだよ。だから、付き合ってて退屈なんて絶対しないし、一緒に居て、兎に角、楽しい。それに彼女は、自分を磨く事も忘れない人だからよ。俺なんかには勿体無い人なんだよ。けど、それだけに、俺は彼女から目が離せないって訳だ」

「あぁそっか。そう言う理屈かぁ。……けど、凄い人が居るもんなんだね」

「だろ」

「けど、話を聞いてて思ったんだけど、奈緒さんがそんな感じの人なんだったら、私なんか全然ダメダメなんだね。私には、奈緒さんみたいには考えられないよ」


案の定凹んだよ。


まぁ、奈緒さんを対象にして話すのは、これだから難しいんだよな。

あの人は、普通じゃないからな。


つってもな。

奈緒さん自身も、過去には色々な過ちを犯した上で今に至った訳だから、最初からナンデモカンデモ出来た訳じゃない。


なら今度は、その辺を使って上手く話してみるか。



「オイオイ、ダッツ、此処で変に勘違いするなよ」

「へっ?」

「奈緒さんだってな。最初から、そう言う風に考えれた訳じゃねぇぞ。色々な体験をして、自分で自分自身を変えていったからこそ、そう言う発想になったんだぞ。……だからよぉ。ダッツも、そんな理由で、広田の事を諦めない方が良いんじゃねぇか?広田だって、少しづつ変わって来てんだからよ」

「うん、そうだよね。私、少し諦めるのが早かったのかな?」

「まぁ、そんな奈緒さんを見てきた俺から言わせりゃ、そうだな。自分の好きな奴を疑ったり、構ってくれない事を拗ねてたりしてる様じゃ、それは恋愛オママゴトの域なんじゃねぇか?相手が進歩しねぇなら、自分の手で進歩させてみろよ。それも男女関係の楽しさの1つだと思うぞ」


まぁあれだ。

これ自身は、崇秀の受け売りっぽい話なんだがな。


こう言う考えも有るんじゃねぇのか?



「それって、相手を自分の色に染めるって事?」

「あぁ。若しくは、相手を良く理解して、相手の色に染まるってこったな」

「そっか、そっかそっか……だったら私、もぅ1回だけ頑張ってみようかな」

「だな。折角、恋愛をするんなら、悔いは一欠片たりとも残さねぇ方が良いからな」

「うん、そうだよね。倉津君に相談して良かったよ。倉津君のお陰で一杯元気出たよ♪」


おぉぉ~~、なんかスゲェな俺!!

2ヶ月間も、全然知らねぇバンドのヘルプを行き来して、コミュニケーションを取ってたから、少しはコミュニケーション能力が成長してたみたいだな。


それに、こう言うのって中々面白いもんだな。

こうやって、誰かの心の傷を少しでも癒せてる訳だしな。



「まぁ、兎に角だ。ダッツが笑顔になって良かったよ。ヤッパ、女子は笑顔が一番だよな」

「うぅうぅ、それって、なんか歯が浮く様なセリフだね」

「がっ!!」


あぁ~~~あっ、いつも通り、余計な事を言わなきゃ良かったな。


なんで此処まで来て、最後の最後でしくじるかな。


まぁそれも、俺らしいと言えば、俺らしいがな。



「でもね、でもね。倉津君には凄く感謝してるんだよ。まさか、こんなに親身なって話を聞いてくれるなんて、これっぽっちも思わなかったもん」

「オイ、ダッツ……それって、どういう意味だよ?」

「えっ?あっ、あぁいや、なんて言いますか。もっと感情的なのかな……とかとか」

「オイ、コラ、それって、俺が感情馬鹿だって言いたい訳か?」

「えっ?いや、あの……ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ」


コイツ嫌いだ。

折角、出来もしねぇ親切をして相談に乗ってやったってのに、流石に、この扱いはねぇだろうよ。


あぁ腹立つ。



「あぁっそ。そう言う事を言うんなら、オマエの相談なんか、金輪際2度とのらねぇからな」

「あぁ、嘘嘘。そんな事は全然思ってないって」

「嘘の下手な奴だな。顔に『全部本当です』って書いてあるぞ」

「えっ?あっ、あの、でも、でもね。倉津君と話してからは、全然イメージ違ってたの。これ、本当ね本当。なんて言うか、優しいって言うか、親切って言うか。兎に角、全然馬鹿じゃなかった……だから、馬鹿だとか思ってて、ごめんなさい」

「いやまぁ、別に良いけどよ。どうせ、俺が馬鹿なのは事実だしな」

「あぅ」


しかしまぁ、1度付いた認識ってのは怖いもんだな。



「あっ、あの~ですね。あの、突然なんですけど、今回のお礼とかをしたいな……とかとか」

「なに誤魔化してんだよ」

「ははっ……誤魔化してないよ。本気で、そう思ってるんだけどなぁ」

「あぁ、だったら、別に良いぞ。俺も退屈凌ぎにはなったからな」

「まぁまぁ、そう言わずに。私に、なにか出来る事ないかな……とかとか」

「ねぇよ」

「うぅ~~~、断言って。困ったなぁ。なにも無いとか言われたら困っちゃうよ」

「ねぇもんはねぇし」

「あぁ、じゃあさぁ、じゃあさぁ。1つ提案なんだけど、倉津君が、全然怖くないって言うのを、女子に教えても良い?」

「今更か?そんなの今更無駄じゃね」


俺に付いた馬鹿と、不良って認識は、なにがあっても一生消えねぇと思うが……


これぞまさしく、俺の背負った十字架だな。



「うぅん、そんな事ないよ。だってさぁ。仲居間さんが居なくなって、女子が積極的に話す男子が居なくなってるのね。倉津君だったら、きっと適役だと思う」

「崇秀の代わりに俺をなぁ。まぁ、ダッツがそうしたいなら、勝手にそうしてくれ。但し、責任とんねぇぞ」


この不用意な一言が、また俺の漫画人生の1ページを飾る事になるが……その話は、今は伏せておこう。



「うん♪じゃあ、みんなに言っとく。倉津君、滅茶苦茶良い人だよって」

「いや、流石にそれは違うと思うぞ」

「違わないもん♪倉津君は良い人だもん♪」

「あぁ、そうでゲスかい。だったら、もぉ好きにしてくれ」

「うん、好きにするね」


『キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン』


丁度、その時、6時限目終了のチャイムが鳴った。

この事実から言って、どうやら俺は、津田と2時間以上も屋上で喋っていたらしい。


それに、日が翳り始めてきたから、秋特有の心地良さもなくなってきたな。



なら、話も一段落ついた事だし、寒くなる前にサッサと此処からオサラバするか……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


なんか倉津君……結構、上手く恋愛相談に乗れたみたいですね。


ただこれは、序章での経験が無ければ出来なかった事。

こうやって少しづつでも、彼が成長が見える様に成ってきましたね。


さてさて、そんな中。

ダッツちゃんの悩み相談も一段落した所で、帰路に就こうとするのですが……


そう簡単に上手く行くものでしょうか?


彼の漫画みたいな人生を鑑みれば、これで綺麗に終わるとは……(笑)


そんな風に、なにが起こるか気に成った方は。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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