309 告白からの意外な展開
ダッツに、芸能人である奈緒さんが『ガチの彼女』である事がバレてしまった俺。
(原因は、奈緒さんの悪さで(笑))
それを他の生徒にバレたら、色々奈緒さんに迷惑が掛かると思い。
ダッツが要求した【学校外での昼食】を驕る羽目に成ってしまう。
そして2人は、校舎裏にある低い壁からの学校脱出を試みに行くんだが……
(;´д`)トホホなにやってんだ俺?
***
外食をする為にはまず学校の壁を乗り越えなきゃいけないんで、その壁が一番低い体育館裏に向いチンタラチンタラ歩いてると、津田が、突然、変な事を言い出した。
「ねぇ、倉津君。なんか2人で体育館裏とかに行くってさぁ、告白する前みたいだよね」
「うん?あぁそうだな。言われてみりゃあ、漫画とかじゃ良く見かける光景だよな。けどよぉ。実際に、あぁ言うのって、ホントに有るのか?」
「どうだろう?あぁ言うのに憧れを抱いてる子は沢山居るとは思うけど。実際の話となったら、どうかなぁ?多分、告白する子全体の1割にも満たないじゃないのかなぁ」
「だよな。あぁ言うのってのは、結構なレア体験だよな。普通、体育館裏に好きな相手を呼び出したりしねぇもんな」
そう……そんな奴は、ほぼ居ねぇ。
俺には、それを立証するだけの物的証拠がある。
……って言うのもな。
去年1年間の話なんだが。
この体育館裏で、よく崇秀と2人で煙草を吹かしていたんだけどな。
そんな漫画みたいなシュチュエーションの告白紛いの行為を見たのは、たったの1度きりなんだよ。
それ以外では見た事もない。
しかも、その一回きりの目撃も、校内でも屈指のブサイクな子に、オタク男子が告白するって酷い苛めみたいなシュチュエーション。
①『彼女欲しさに妥協して、せめてレア体験をしようと思った』
②『苛めの延長線上で、誰かが仕掛けた罰ゲーム』
のドチラかとしか思えない程の酷いシュチュエーションだったんだよ。
だからまぁ、結果的に言えばだな。
そんな事をする連中ってのは、間違いなく、悪戯の域を超えてないって事だな。
そう思っていると、津田が、また変な事を言い出した。
「ねぇ、倉津君。……試しに1回経験してみようよ。そのレア体験って奴」
「はぁ?なんで、そんな展開になるんだよ?」
いやはや、女子ってのは、何を考えてるのかサッパリ解らんな。
大体にしてだな。
津田は、広田と付き合ってんだし、俺は、奈緒さんと付き合ってる訳だろ。
だったら、こんなもん、ただの茶番でしかねぇじゃねぇかよ。
何故、そんな無意味な事をしたがるんだろうか?
「あぁっと、別に誰でも良いんだけど。1回ぐらいは、そう言うのを経験してみたいな……とかとか」
「なんだよ?あんな事を言ってた割に、オマエって、そんな体験したい類の人間なんだな」
「うん。……実は、ちょっと興味あったりして。そっ、それにさぁ、折角、こう言うシュチュエーションなんだし、お願いしたいな、とかとか」
「いや、別に良いけどよぉ。俺、なんて言やぁ良いんだよ?」
「あぁっと、えぇっと……自分で考えて」
「無茶振りするなぁ」
なんか知らんが、面白い展開と言えば、面白い展開だよな。
今回のこの件に関しては、お互い彼氏・彼女が居る状態でやる遊びだから、なんの後腐れも無いしな。
それに俺は、こう言う漫画的なシュチュエーションが大好物だ。
故に、今までやってきた『恋愛趣味レーションゲーム』や『エロゲー』のデータを総纏めにした様な告白をしてやる。
それに奈緒さんの悪乗りパターンを上乗せすりゃ……ハハハハハッ!!きっと、なんか面白い事になる筈だ。
伊達に俺は、奈緒さんに、毎回からかわれてる訳じゃねぇしな。
俺の恐ろしさを思い知れ。
「ダッツ。……急に、こんな所に呼び出して悪かったな」
「えっ?えっ?もぉ始まってるのかな?」
「はぁ?なんの話だよ?」
俺は死ぬほど真顔で受け答えをした。
「あっ、うん。いや、あの、その、あの……」
ぷっ!!津田の奴、自分で頼んでおいて動揺してやんの。
オモシレェ生き物なんだな、津田って。
あの堅物で融通が利かない広田が付き合うのも頷ける。
多分、この様子じゃ、自分に無いものを津田に見出して、ダッツと付き合おうと思ったんだろうな。
まぁよくは知らねぇけどよ……
「そんな事よりよぉ。こんな所に、オマエを呼び出したのは他でもねぇんだ。突然で悪いんだが、ダッツ、広田と別れてくんねぇかな?」
「えっ?えっ?なっ、なんで?」
「俺さぁ。自分でも解るぐらい、どうしようもない不良だけどよぉ。広田のせいで、里香が不幸になるのを、もう見てられないんだよ。……俺、なんて言うか……・本気だから」
「えっ?えっ?隆弘君、優しいよ。私、不幸なんかじゃないよ」
「無理すんなよ。オマエが、アイツの事で悩んでるのは知ってんだよ。朴念仁のアイツじゃ、里香を幸せには出来無いだろ。……だから、俺と付き合ってくれよ。俺なら、アイツみたいな真似はしないからよ」
クハハハ……こう言うのって、グッと来るんだろ。
でも、種明かしをしちまえばだな。
恋愛してりゃ、誰だって悩むだろうし、広田の馬鹿は朴念仁。
なら、尚更、ダッツも悩む事も多くなるだろうしよ。
そこを考慮すりゃあ、この程度の告白紛いの事なんざ簡単に出来ちまうって寸法なんだよな。
見たか!!これぞ!!神奈川・仲居間流『人の心に入り込んだ告白の術』って奴だ。
効果はどうよ?
「なっ、悩んでないもん!!」
「へっ?」
えっ?いや、ちょっと待ってくれダッツ。
オイオイオイオイ、なんでオマエさんは、そんな風に涙をポロポロ流してるんですかい?
えっ?えっ?なにこれ?
いっ、いや、まっ、まさかとは思うが。
此処で、マジで神妙な悩みが有るとか言わねぇよな!!
ならヤバイ!!ヤバイ!!ヤバイ!!こりゃあ、完全にやり過ぎたか!!
「まっ、待て!!落ち着けダッツ!!冗談だろ冗談。って言うか、此処で遊びの告白をするんじゃなかったのかよ?」
「えっ?あぁっと、えぇっと、ごっ、ごめん。つい、感情が昂ぶっちゃって」
「オイオイ、それ、どういうこったよ?まさか、広田の馬鹿と、なんか有ったのか?」
「ちょっとね。……此処一年で色々有ってね。正直隠すのも、もぅ辛かったのかも」
「オイ、ちょっと本気で待てくれ。それって、悪い方向の話しでか?」
「……うん」
足を吹き飛ばされる勢いで、見事に地雷を踏んだらしい。
……にしても、変だな。
広田と、津田って、割かし上手く行ってるイメージが高いんだがなぁ。
それによぉ、アイツは救い用の無い朴念仁だが、女を泣かす様な真似をする奴じゃない筈。
友達とか、家族とか、比較的、大事にする奴だと思ってたんだがな。
なら、一体、この2人に、なにが有ったんだ?
「はぁ、そっか。まぁ、俺で良かったら、相談にぐらいなら乗るぞ。……但し、良い回答が出来るとは限らねぇけどな」
「こんな話を聞いて貰って良いのかなぁ?」
「まぁ、今の現状じゃ、聞かねぇ訳にも行くまいて」
「ごっ、ごめんね」
「あぁ、別に気にしなくて良いけどよぉ。あんま腹に溜め込むのは良くねぇぞ」
「うん……そうだよね」
『ぐぅぅぅぅぅぅうぅぅ~~~』
そんな折、津田の腹が鳴った。
「えっ?嘘?もぉ……こんな時に信じられない。もぉやだぁ」
相当、恥ずかしかったのか、体育座りなってしまい。
そのまま、顔を隠して丸まってしまった。
「ぷっ」
「ちょ!!もぉ笑わないでよ。恥ずかしいんだから」
「いや、別に笑っちゃ居ねぇよ。腹が鳴るのは自然現象なんだから、しょうがねぇだろ」
「うぅ~~~、でもヤダ」
「そう怒んなって、別に彼氏に聞かれた訳じゃねぇんだからよ」
「そうだけど……やっぱり、恥ずかしいよ」
だよな。
赤の他人でも、ハズイものはハズイよな。
特に女子だったら、腹の鳴る音なんて、あんまり誰かに聞かれたいもんじゃないだろうしな。
そりゃあ嫌だわ。
「はぁ、ダッツ。取り敢えず、俺、飯を買って来てやるから、此処で、ちょっと待ってろ」
「えっ?でも、そっ、そんなの悪いよ」
「アホ。俺の飯の序に、オマエの飯を買って来るだけだ。厚かましい事を言ってんじゃねぇぞ」
「あっ、そっか、そっか……あぁじゃあ、お金」
「いらねぇよ。今日の飯を奢んのが約束だろ。此処で出しとかねぇと、後々、高く付きそうだしな」
「あぁでも」
「るせぇよ。ゴチャゴチャ言ってねぇで、そこで待ってろ」
「あっ、うん」
「うっしゃ!!んじゃあ、ちょっくらコンビニまで行ってくらぁ」
「あっ、うん。……優しいね」
??
返事の後に、なんかダッツが言ったが、よく聞き取れなかったな。
コイツ、一体なに言ったんだ?
「うん?なんか言ったか?」
「なんでもない、なんでもない。お腹空いたから、早く行って欲しいな……とかとか」
津田は、何故かコチラに向かって微笑んだ。
なんのこっちゃ、サッパリ意味が解らんぞ?
まぁ良いか。
津田の悩んで、苦しんでる顔を見るよりかは数倍マッシだ。
ヤッパ、女子は笑顔が一番だよな。
「ほんじゃま、ちょっくら行って来るな」
「あっ、うん」
そう言い残して、俺はコンビニ走って行った。
「ヤッパ、倉津君は優しいよね」
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
なんか豪い事に成りましたね(笑)
まさかのダッツちゃんの地雷を踏んで、あの倉津君が恋愛相談を受ける羽目に。
大丈夫なんかな?
まぁそうは言っても。
序章で散々、色んな女の子と接してきたのですから、上手く行く事だってあるかもしれません。
なので、次回は、その辺りを……いや、これは違う方向か(笑)
まぁ、そんな感じで、なにがあるかは、次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(*'ω'*)ノ
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