349 人間、諦めも肝心だな
文化祭の企画に、奈緒さんがドンドンと恐ろしい様な企画を放り込んで来た!!
そして、その壮大さに、諦めムードの俺。
奈緒さんは言い出したら聞かないからのぉ(;´д`)トホホ
***
「あぁ……なるほど。そりゃあ、そこまで行っちまったら、今更、どうにもなんないッスね」
「あれ?やけにアッサリ引き下がったね」
「いや、だってもぉ、この状態だと、企業だけじゃなく、政治家も動いてるんしょ」
「鋭いね。それに理解力も高い」
「そりゃまぁ、ウチの組が動いてる時点で、連動的に政治家も動くのは必須ッスからね。その辺は理解したくなくても、理解しちまうってもんですよ」
「あぁ、なるほどね。そこがクラの解答への切り口だったんだ」
「まぁ、そう言う事ッスね……はぁ~~~~」
ホント……色んな意味で諦めは付いたものの。
俺なんかじゃ、とてもとても収拾がつかない事態になってきたのも事実だな。
本当に、どうなっちまうんだろうな?
しかしまぁ、馬鹿秀の悪影響が、此処まで奈緒さん達に浸透してるとはな。
恐れ入る。
「あぁ、それはそうと、今日、ウチに来るよねクラ。夜ご飯、なにが食べたい?」
「あぁっと、行く事だけは間違いないんッスけど。ちょっと遅くなるッスよ」
「うん?遅くなっても構わないけど、なんか用事でもあるの?」
「いや、さっき言った例のあれッスよ」
「『例のあれ』?」
「あぁっと、うちのクラスの女子にダイエットデータを届けるって作業が残ってるんッスよ」
「ふふっ、君は相変わらずのフェミニストだねぇ。マメだねぇ」
「あぁっと、先に言っときますけど。アイツ等に『下心』なんか全然ないッスからね」
「くすっ。イチイチ言わなくてもわかってるって。意外と野暮な事を言うんだね。クラって」
「保険ッスよ保険。奈緒さんに、そんな風に誤解されたくないッスからね」
「誤解なんてしないちゅう~の」
だよな。
そんなチンケな嫉妬する訳ないよな。
「……っで、結局、ご飯どうするの?」
「あぁっと、待っててくれるんッスか?」
「モチモチ。クラと一緒に食べれるなら、いつまででも待ってるよ」
「嬉しいッスけど。体の方は大丈夫ッスか?結構、疲れが溜まってるんじゃないッスか?」
「う~ん。まぁ疲れてるって言えば、疲れてるんだろうけどね。……そんなぎゃあぎゃあ言う程は疲れてないよ。大丈夫、大丈夫」
そう言ってくれるのは、非常に有り難いんッスけど……奈緒さんって、自分が疲れてても、平静を装って無理する所があるからなぁ。
どうしたもんかな?
先に食べて貰った方がなにかと良い様な気がするけど、それは、それで違う様な気もするな。
ホント、この人の出す選択肢は、いつも判断に困るんだよな。
「あのねぇクラ。なに悩んでるのか知らないけど。私は、一緒に食べたいのか?食べたくないのか?って聞いてるだけなんだよ。変に悩まず素直に言ってみ」
読まれたよ。
気を使うつもりが、気を使わせてどうすんだよな。
これじゃあ、なんの意味もねぇし。
アホだ。
「なら、100%一緒に食べたいッス。……けど、食べるなら奈緒さんの手料理を希望ッス」
「うわっ!!急に、贅沢な事を言ってきたよ」
「だって、奈緒さんが『正直に言え』って言ったじゃないッスか」
「くすっ、ホントだね。もぉしょうがないなぁクラは。一杯作って待っててあげるから、出来るだけ、早く来るんだよ」
「ウッス……あぁ、けど、鰻と梅干だけは、マジ勘弁ッスよ。あの組み合わせだけは二度と御免ッスからね」
「ちぇ、バレたか」
ったく、この人だけは……
この後、奈緒さんを最寄の駅まで送り。
そこで一旦別れた。
俺は、そこから家にとんぼ返りをして。
クラスの女子達のデータを持って、大急ぎで各家庭に配りに走った。
***
うわぁ~~~い、なんてこったい。
俺の想定した時間をオーバーして、思いの他、時間が掛かっちまったい。
おかしいなぁ。
予定じゃ、こんな筈じゃあなかったんだけどなぁ……
だってよぉ。
まずは、あの後、家に帰ってから早速パソを立ち上げて、直ぐ様、上島のおっさんから送られて来たデータを整理整頓。
そこから女子全員の家に出向き、データを渡すまでの作業までは順風満帆に行ってた。
此処までの行動は、予定通り100%、俺の行動には狂いは無かった筈だ。
なのに、事態は、此処から急転直下を起す。
どこで、どう聞き違えたのか。
明日に返事をしてくれりゃあ良いって言った筈の『バンドの件』についての電話が、さっき梶原から掛かってきたんだよな。
そぅ……これこそが、時間のロスさせた最大の原因だ。
って言うのもアイツな。
用件だけを簡潔に話してサッサと電話を切れば良いものを、無駄なまでに熱く語ってきやがったんだよ。
しかも、1時間以上も、熱気ムンムンにベラベラ喋って来やがんのな。
まぁ結果的にはカジが、グチと話し合って『バンドをしたい』って言う覚悟を決めた電話だったから、俺の立てた『企画』としては上々の結果と言えば上々の結果なんだが……俺、何回アイツに『おっ、おっ、わかった。じゃあ、その件に関しては、明日にでもシッカリ詰めて行こうぜ』って言ったと思ってやがんだよ。
それを聞く耳もたずに、いつまでもべらべらべらべらと喋りやがって。
そうやって無駄にヤル気を前面に押し出すのは良いけど、ちょっとは『空気読め』って話だ。
奈緒さんじゃねぇんだから、ちょっとは俺の話にも聞く耳を持てつぅのな。
……っと、流石に、そんなどうでもいい説明を、呑気にしてる場合じゃないな。
早く、奈緒さん所に行こ。
時間が21時廻ってるし……ちょっとぐらい怒ってるだろうな。
ごめんな奈緒さん。
***
いつもの電車の乗り継ぎを使って『上星川』に向う。
この間、特になにも予定のない俺は、電車の中でノヘ~~~ッとする気だったんだが……
矢張りと言うか、当然と言うか、俺の運命を司る悪い神様が、そう簡単には俺に安住の地に向かわさせてはくれない。
このダメな必然性と悪循環、これこそが俺の人生の基本と言えるだろうからな。
しかしまぁ、まさか、こんな時に奴に遭遇してしまうなんて……
もぉマジで……悲しすぎる現実だな。
どこまで不幸なんだよ、俺は。
(↑既に自覚済みな俺)
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君の言う通り、人間諦めも大事ですね(笑)
ある程度、水面下で決まってしまってる事を覆そうとしたら、それ以上の労力が必要になりますので。
それならもぉ一層の事、その企画に乗っかって楽しんでしまう方が賢明と言う物です。
まぁ、ただの公立中学の文化祭が、とんでもない事に成ってるのだけは間違いないでしょうが……(笑)
さてさて、そんな中。
そんな倉津君の諦めムードに、拍車がかかる様な人物と遭遇しそうな雰囲気ですね。
誰と遭遇したのやら(笑)
そこは次回の講釈。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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