350 もぉ、なんでコイツと出逢うかなぁ……

 奈緒さんの手作りディナーを堪能する為に、彼女の家に向かう俺。


当然、勢いよく電車に飛び乗ったものの、そこには……(;´д`)トホホ


***


 まぁ……電車内で、なにを見つけたかと言うとだな。

世界に誇るウッザッ王子の山中大先生が、芸能人のクセに電車なんかに乗りやがって、何故か、俺のちょっと先に乗り合わせてやがったんだよ。


だから俺は、奴に見つからない様に、身を小さくして隠れたんだが……



「おい、マコ。なに、そんな所でコソコソしとんねん?それに、こんな時間からどこ行くねん?なんぞ、おもろい所に行くんか?」


っと、アッサリ発見される始末。


そう、この馬鹿も、言わずとして勘が良い。

望みもしないのに、世界一頭のおかしな関西人が、コチラにフラフラと寄って来やがったんだ。


オイオイ、チミ。

非常に申し訳ないんだが、俺は、チミに構ってる時間はない。

これから奈緒さんとの2人っきりの楽しいディナータイムを控えてんだから、変に絡むんじゃありませんよ。


だから、早々にあっち行け。


じゃなきゃ、適当にあしらうぞ。



「チッ!!見つけやがったよ」


自分の心理状態を映し出した様な、100万ドル以上の嫌な顔を向けてやった。



「なんやねんな、その嫌そうな顔は?オマエ、表情が露骨過ぎんぞ」

「心配するな。これは、決して嫌そうな顔じゃねぇ。心底、嫌な顔なんだよ」

「オマエなぁ。そんなに真正面から、あんま真正直に言葉を発するもんやないで。俺のピュアなハートが、ガラガラと音を立てて崩れ去るやんけな」

「なにがピュアなハートだ。そんな高級なもん、オマエには、最初から欠片も装備されてねぇよ。ド厚かましい」

「そんな褒めんなや……って!!なんも褒められてへんやんけ!!照れてメッチャ損したわ!!」

「マジで……アホなのか?」


ほんと、変んねぇ奴だな。

芸能人になったからって、コイツは、どこもなにも変ってない。

現に自分の立場を鼻に掛けた態度も取らないし、芸能人だからって粋がった雰囲気も一切見受けられない。


つぅか。

このアホが芸能人に成って変ったと言えば、以前よりボケ・ツッコミのタイミングが、早くなったぐらいのもんだ。


まぁ所詮『アホは、アホでしかない』って事が立証されたって事だな。



「まぁ、言わずと知れたアホやな。そんな事よりや、オマエ、ホンマどこ行くんや?この時間帯やったら深夜ライブにでも行くんか?」

「いや、ライブじゃねぇよ。……つっても、別に目的地がある訳でもねぇ。ただ単に、ちょっと電車に乗ってブラッとしたいかな、って思っただけだ。正に『一人ぶらり旅』だ」


教えねぇよ。


教えたら、オマエ、絶対に奈緒さん家までくっついて来るから100%教えねぇよ。



「な~んや、どこ行くんか思たら、奈緒ちゃん所かいな。しょうもな」

「しょうもなくねぇし!!」

「なっ、なんや、ホンマに奈緒ちゃんとこに行く予定やったんかいな」

「がっ!!」


は~い、みんなぁ~~~準備は整ったかなぁ~~~。

準備が整ったら、みんなで声を合わせて一斉に言うんだぞぉ~~~。


『脳~~タリン』ってな。


つぅか、今『脳タリン』って言った奴は、オマエ等の賢い脳細胞を俺に分けろ。

俺だって少しぐらい賢くなりてぇんだよ。


誰か助けちくり。



「ほんだら、俺も奈緒ちゃん家に行こ。今の時間帯やったら、遅めのディナータイム。奈緒ちゃんの手料理を、ご相伴に預かれそうやしな。あの子の飯、ムッチャ美味いもんな」

「いや、なにを言ってるんだ、オマエは?誘ってねぇし……絶対に来んな」

「なんでやねんな?俺にも、奈緒ちゃんの手料理食わさせろや。親友やんけ」


ウザイ!!この男だけは本格的にウザイ!!


それ以前になぁ『オマエに食わせる奈緒さんの手料理はねぇ!!』



「来んなつぅの。つぅかオマエ、ガッポリ儲けてんだから、その辺の高級レストランとかにでも行って、1人で外食しろよな」

「冷たいのぉ。こんなに腹減って、泣きそうな男を見捨てて行くんか?オマエ、鬼やな」

「あぁ、鬼にでも、なんにでもなってやる。奈緒さんの飯は、俺だけのもんだ」

「ちっちゃ!!人間ちっちゃ過ぎやぞ!!ケチケチすんなやぁ。俺にも『奈緒飯』喰わせろやぁ」


人の彼女の飯を、勝手に『奈緒飯』とか略すな!!



「断る。オマエは、哀しく1人で飯でも喰ってろ」

「ケッチやのぉ~。オマエなぁ、そんな『1人で喰え』とか言うけどなぁ。一人飯なんぞ、一番美味ないねんぞ」


まぁ、美味くは無いな。


それはわかる。


けど、それらを重々承知の上で、もう1度言ってやる。

『オマエに恵んでやる奈緒さんの飯はねぇ!!』


故に、諦めろ。


それか……



「一人飯が嫌なら、家で喰うか、素直を誘うかしろよ。若しくは、アイツに作って貰うとかよ」

「うぅ~わっ。此処に来て、一番言うたらアカン事を、平気な顔して言いよった。マジでオマエ鬼糞やな」

「なんでだよ?俺が、奈緒さん所で飯を喰う様に、オマエも、素直に作って貰えば良いじゃねぇかよ。それで万事解決ってもんだろ」

「あのなぁ、それが出来んねやったら、誰も苦労せぇへんわ。出来とんねやったら、オマエなんぞに飯たかるかぁ。今頃ラブラブデートじゃ」


この様子じゃ、素直との進展は一切無いみたいだな……


芸能活動中、俺と言う障害が一切無いと言うのに、なんとも無様な話だな。


ぷっぷっぷっダサッ!!



「なんだよ、なんだよ。山中ともあろうお方が情けねぇなぁ。まだ、なんも手付かずのままかよ」

「うっわっ、なんか偉そうな事を言い出しよった。この間まで、自分の彼女に遠慮しとったヘタレが講釈たれとる。ウッザッ!!」

「やかましいわ。けど、今じゃ立場は逆転だな。今やヘタレの代名詞は俺じゃねぇ。オマエだ」

「ぐっ!!中々的を得とるやないか。上手いこと言いよる」

「だろ」


ザマアねぇな!!


恋愛と、SEXを、ちゃんと分けて考えないから、そう言う哀しい目に合うんだよ。


良いか?恋愛とは、2人が歩み寄り、どれだけ共存出来るかが重要ポイントだ。

それに対してSEXは、子作りや、愛を確かめ合う為のものであって、オマエの様に快楽を貪る為の行為じゃない。


故にだ、Hする事バッカリ考えてるオマエや、崇秀は、そう簡単には幸せには成れねぇ仕組みになってんだよ。

寧ろ、そこを吐き違えてる時点で、オマエ等は、マトモな恋愛すら出来無い。

まさに、性欲塗れに生きて来た人生に、ツケが廻って来たって事だ。


スペシャル自業自得だな。


この性欲魔神。



「なにが『だろ』じゃ。奈緒ちゃんとしか、やった事ないくせに」

「だからぁ、それがダメだって気付けよな。良いか山中?恋愛とはだな。基本的に『純愛』であるべきなんだぞ。解るか?お喋りエロ河童」

「さよか、ご高説痛み入るわ」

「高説じゃねぇよ。常識だっつぅの」

「ほぉ、流石に言い切りよったな。……あぁそやそや、急に話しを変えて悪いねんけどなぁ、この間、豪いおもろい話しを耳にしたで」

「急に、なんの話だよ?」

「オマエ、噂じゃ、最近、女子の恋愛相談役に就任したらしいやないか」


ぐぇ!!なんで、この馬鹿がそんな事を知ってやがる?


この馬鹿に、一体、誰が教えやがったんだ?

(↑答え:素直)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


完全に山中君に捕まりましたね(笑)

そしてまたピンチに陥ったまま、今回は終了。


倉津君は、この試練を跳ねのけて、山中君を追い払う事が出来るのでしょうか?


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る