348 奈緒さん流・崇秀討伐方法
この文化祭を使って、崇秀討伐をしようとする奈緒さん。
果たして、その概要とは……
嫌な予感しかしねぇ(;´д`)トホホ
***
「私は『仲居間さんを倒したい』とは言ったけど。『音楽で』なんて限定した憶えは無いよ。クラとバンド組んだ時、ちゃ~~~んと、そう言ったもんね」
「がっ!!」
やっぱり、そう来ますか。
確かに、間違いなくアナタはそう言ってますね(序章・第十二話参照)。
ハイ、言われる通りで、間違いないッスよ。
けど……
あの状況じゃあ、普通、そうは捕らえないと思うんッスけどねぇ……違いますかねぇ?
それに話自体も、戦う姿勢の話だった様な気もするんですが……これは気のせいですかね?
「いやいや、いやいや、確かに奈緒さんは、そう言ったかも知れませんけど。……だからって、なにする気なんッスか?」
「うん?聞きたいの?」
「そりゃあまぁ、保険の為にも聞いておきたいッスね」
「保険とか言わないの」
「すんません」
「謝んなくても良いんだけどね。じゃあ、概要だけは教えてあげるよ」
この言い様……絶対に、誰も考えない様な規格外の事を言う時の言い草だ。
けど、それは俺自身もわかってるんだ。
だからこそ、その企画が『俺自身の保険を打てる範囲のもの』か『全然、手の打ち様の無いもの』なのかだけでも最低限は知っておきたいんだよな。
このまま、なにも解らない状態で文化祭を迎えるには、この人の『企画』は強烈過ぎるしな。
そして、俺がそんな不安を抱える中、奈緒さんは口を開き始めた。
「えぇっとねぇ。まず、クラのお家に頼んで、出店を徹底的に強化するでしょ。そんで、各クラスの出し物も同じく強化する。この辺に関しては、テレビ局を巻き込んで、大道具さんを連れて来れば、クオリティーの高い物が出来る筈だから問題なしでしょ。そんでね、そんでね。全体的に、プロ・アマ問わず、スポンサーを募って、校庭内に出し物のブースを大量に作るの。そしたらね、そしたらね。多分、県内で一番有名な中学生の文化祭になると思うのよね……そんな感じでどぉ?」
・・・・・・
言ってる事が、俺の予想の範疇を超えて、既に無茶苦茶だよこの人。
どこをどう考えたら、そんな無茶苦茶な発想が出て来るのか、全く持って謎だ。
どんな脳味噌してんだ、この人?
「まっ、まぁ、全体的に面白そうな『企画』では有りますけど。……今からだと、それはちょっと無理があるんじゃないッスかね?」
「なんでよ?」
「いや、文化祭まで、後、たった2週間ちょっとッスよ。そんな、急に『スポンサー集め』とか言っても、中々集まらないのが現状じゃないッスかね?」
「あぁ、なんだ、クラ知らないんだ」
うん?あれ?なんッスかねぇ。
この一抹の不安しか過ぎらない言葉は?
まるで俺一人だけが、なにも知らされず、取り残されてる様な気がするんッスけど。
気のせいッスよね。
「なっ、なにがッスかね?まっ、まさかとは思うんッスけど、またロクでもない事が、勝手に動き出してるんじゃないでしょうね」
「別にロクでも無くは無いと思うけど。動いてるのは確かだね」
「なにが動いてるんッスか?平然とした顔で、あんま怖い事ばっかり言わないで下さいよ」
「別に、なにも怖く無いよ。ただ単に、要が色々と裏で動いてくれてるだけなんだからさ」
「なっ、なんですと!!」
おいおい、マジかよ……奈緒さんに教えるだけでは飽き足らず、オマエ自身も動いてるのかよ!!
あぁ……そう言えば、今考えてみれば、前回逢った時に、思い当たる節が無くも無いな。
アイツ、この間、逢った時『スポンサー契約』がどうとか『全面的の協力してやる』とか、矢鱈と、そう言う言葉を言ってやがったな。
何気に聞き流してたけど『あれ』って、そう言う意味だったんだな。
最悪だよ。
何かしてるならしてるで、せめて、詳しい事情ぐらい説明しろっての!!
「あっ、あの、具体的にアイツは、なにやってるんッスか?」
「うん、要?要はねぇ。県内の美容関係の会社に、今回の件の話を持って行ってるみたいだよ。あと、なんだっけなぁ……あぁ、確か、上島教授とか言う人に『ダイエット・ブース』の出店を依頼してたね。あとは、一葉も、なんか宣伝をしてるみたい。あぁ、それと序に、氷村雅斗が動いてるって噂も聞くね」
ウゲッ!!見事なまでに、ガチの動きじゃないかよ。
なにがロクでも無くないだ。
なにが怖く無いだ。
滅茶苦茶怖いわ!!
それに氷村雅斗って言やぁ、あのクソガキの親父じゃねぇか。
あぁ~~~、だからか!!
あの餓鬼が、やけに素直に、俺の依頼を受けやがると思ったら、そんな裏事情が動いてたんだな。
あの餓鬼だきゃあ!!
(↑前々回の話を、漸く、気付く俺)
うん?それにしてもだな、一葉って、誰だ?
知り合い連中や、有名人では聞かねぇ名前だな。
「奈緒さん、一葉って、誰ッスか?」
「うん?要と仲居間さんの知り合いのシステム・エンジニア。あぁっと、解り易く言うとね。モジャモジャの子」
あぁアイツか……
そう言えば、アイツも金銭感覚のおかしな奴だったよな。
イキナリ、殆ど面識の無い俺に、ノートパソコンを平然とくれる様な奴だもんな。
ヤバイな。
こりゃあ、本格的に頭のイカレタ連中が集まって来てるみたいだな。
「っで、宣伝って、なにやってるんッスか?なんの宣伝してるんッスか?」
「うん?『芸能人が大量に来校する』って告知を全国に向けてしてるね。……しかも、芸能人の名前付きで。あぁでもね、でもね、一葉がやってるのは、所詮、宣伝だから安心して。最終的には、これ、全部、クラのせいになるから」
「がぁっ!!」
オイオイ、そんな破天荒な真似をして、どうなるんだウチの文化祭?
マジでもぉ収拾つかねぇぞ!!
しかも、これが全部俺のせいになるってどういう事だよ?
殆ど、武藤や、奈緒さんの仕業じゃないですか。
俺、なんもしてねぇのにA級戦犯扱いを受けるのか?
嫌過ぎる。
でも、どうせ動き出した『企画』は、なにがあっても、絶対止まらないんだろうな。
ホント、嫌過ぎるな。
「あっ、あの、奈緒さん」
「うん?なに?」
「因みにッスけど、あと、なにか変った変更点はあるんッスか?」
「あぁっと、1つだけあるよ」
「なんっすかね、それ?」
「うん?文化祭の基本コンセプトの変更……まぁ、正確に言うと、付け加えだね」
やな予感は、長期に渡って継続。
いや、限度を越えたヤナ予感がする。
いやいや、ヤナ予感が蓄積して、もう既に大爆発しそうな勢いだ。
もぉ、や~め~てぇ~~~!!
俺のヒットポイントは0よぉ~~~~!!
「なっ、なんッスかねぇ、それ?」
「項目の付け足しだよ。①~⑥までの基本コンセプトに『⑦地域企業とのふれあい&助け合い&会社体験』それと『⑧芸能人オークションの開催』。この2つを付け足しただけの事だよ」
まぁ、この際だ。
今更止めても、どうしようもないから⑧は良しとしよう。
けど、⑦には多大な問題がないッスか?
当初から、この文化祭は、かなり異形なものだとは感じていたんッスけど。
だが果たして、此処まで悪い方向に変化する必要が有るのだろうか?
どう考えても⑦だけは、納得出来ねぇ様な、大人の都合が満載に乗ってるだけじゃないッスか。
なにが?かって言うとだな。
この『企画』
3話の最初で言った様に、政治家の有権者からの票を取るって目的がメインになってる。
そこに奈緒さんの話をプラスするとだな。
今の段階で、そこの部分が更にパワーアップしてる事になるんだよな。
『何故?』っと聞く前に、良く考えてくれよ。
まずにして『ふれあい』『助け合い』なんて綺麗事を名目に上げてるが、これは明らかに、地元企業を売り出す企業戦略。
地域貢献や、学校に協力をする事によって、世間的な好感度が上がる。
これは、地元企業にとっては非常に有り難い話だ。
しかも『体験』って言う、社会見学にも似た行為をする事によって、会社が行なう『良い人材確保』の名目にもなる。
自社の製品を、学生達に興味を持たせ、会社自体を学生達に売り込むのが企業の腹積もりだ。
そうやって企業は、早くから新しい芽を探し、人材を確保するつもりでもある筈だ。
そんでこれらを=関係に、政治家を持って来た場合。
この様な安上がりで、企業アピ-ルを出来る場を提供してくれる『市長』
若しくは『県庁の係員』なら、企業側は、こぞって票を入れたくもなるってもんだ。
なんてたって、所詮は、公立中学の文化祭『ブース代金が無料なんだからな』
その上で芸能人が大量に押し寄せて来るなら、企業にとっても、政治家にとっても、自分達をアピールする場としては、これほど美味しいシュチュエーションは無い。
兎に角、話題が大きいだけに、世間的な注目度が高いからな。
これ等を総称的に見るとだ。
正に、企業にとっては都合が良く、芸能人は、知名度及び、企業とのタイアップを狙うチャンス。
そして、最後に政治家達は、恰好の票集めの場を得る事になる。
ニントモ・カントモ、子供達の無邪気な文化祭が、豪く邪悪な方向に流れて行ったもんだな。
これ、既に、学生の文化祭なのかすら危ういぞ。
まぁ、そうは言ってもだな。
所詮は、それが、浮世の世界。
世界の流れってもんだから、此処まで来たら⑦も有りなのかもな。
もぉダメだこりゃ(;´д`)トホホ
(↑心で文句を言ってる割りに、結局、大人の事情を受け入れて納得する俺……←屑人間)
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
奈緒さん……かなり無茶苦茶な企画をぶち込んで攻勢に出て来ましたね。
なんか、やる事、成す事が、段々崇秀に似て来たような気がします(笑)
そして、それを聞き、呆気にとられながらも……諦める倉津君。
まぁ、奈緒さんは自分の彼女なんだから、こんな無茶な企画でも動き出してしまってる以上、なんとかするしかありませんね(笑)
さてさて、そんな中。
倉津君は、この奈緒さんの無茶苦茶な行動を上手く纏める事が出来るのか?
その辺を、次回は書いて行きたいと思いますので。
また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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