第一章 第五話 ある意味、企画って怖いな

347 悪戯な妖精の思惑

第一章・第五話『ある意味、企画って怖いな』が始まるよぉ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


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 005【ある意味企画って怖いな】


 毎度毎度の事だが、事態は常に深刻な方向へと……そして、悪化の一途を辿って行くもの。


高々中学校の文化祭と侮って、気楽に事を構えていたのも数日前までの話。

1日1日が過ぎる毎に、刻一刻と話の肥大化が進み、ドンドンと悪い方向に膨張していく様な感覚に陥るのは……一体、何故だろうか?


何所で、こんな歯車の狂い方をしたら、こんな大それた展開になってしまうのだろうか……


全てに置いて、全く謎だ。


いやな……大層な御託をズラズラと並べてはいるんだが、実は、そんな大層な話じゃないんだ。

(↑大袈裟に言う、いつもの『あれ』)


カジとグチを音楽室に残して去った後。

その学校の帰り道を奈緒さんと一緒にチャリを押しながら、仲良く家路に着いたんだけどな。

この人、他愛もない話を楽しくしてる途中で、何気に、こんな事を聞いてきたんだよ。


それが、今回の事の発端だ。


***


「ねぇねぇクラ。クラは、文化祭で、バンド以外には、何もやらないの?」


ってな。


中々の不意打ち的な話だったんだが。

奈緒さんと楽しく会話をしていた俺としては、この時点では完全に腑抜け。

奈緒さんに逢えた事に只管喜びを感じてしまい。

無駄にテンションが上がっちまってて、浮かれポンチと言える状態。


故に、馬鹿正直かつ、無警戒に、奈緒さん質問に答えてしまった。



「あぁ、バンド以外には、ウチのクラスの出し物の手伝いをしてますね」

「なんの手伝いをしてるの?」

「メイド喫茶ッスね」


なんて何気ない会話から上手い誘導尋問に引っ掛って、報告すべきではない事を『ポロッ』と言っちまったんだよ。


そしたら奈緒さん、水を得た魚の様な表情をして、俺にこう言ってきたんだ。



「ふ~ん。メイド喫茶かぁ……ふふっ、なんか面白そうな企画だね」


ってな。

明らかなまでに目を輝かせた上に、悪戯でも思い付いた様な不敵な笑みを浮かべて『クスッ』って笑うんだよな。


この時になって、初めて自分の愚かさを思い知り。

今更ながら『ヤバイ!!』と咄嗟に危険を察知した俺は、保険を掛ける為にも奈緒さんには念を押す様にこう言い返したんだよ。



「あぁ、絶対ダメっすよ。バンドみたいに一般参加は出来無い出し物ッスから、奈緒さんは参加出来無いッスよ。あくまで、このメイド喫茶は、クラスでやる文化祭の出し物なんッスから」

「ぶぅ。なにがダメなのよ?私、これでも、れっきとした神奈川県民だよ。『市民・県民は自由参加』って項目がある以上。私にも、その権利は有る筈なんだけど……違った?」

「へっ?……なっ、何故に、そんな重要な事を知ってるんッスか?どこから流出した情報ッスか?」

「うん?要から全部聞いたよ」


グハッ!!思わぬ伏兵の登場に、思わず噴出してしまった。

つぅか、あのアホだきゃあ、寄りにも寄って、なんでA級危険人物の奈緒さんに、そんな重要かつ、危険な情報を与えるかな?


オマエは自殺志願者か!!


あのなぁ、良いか要!!

この人に、そんな面白おかしい情報を提供するって事はな。

『人が満員に入った毒ガス室のスィッチを、ファミコンの壊れたペコペコスィッチに変えて、大量の猫を部屋に放し飼いにする』のと同じ様な行為なんだぞ。


猫が『にゃあ~』って遊びだせば、全員死亡。


こんなもん、悪質なアメリカンジョークより性質が悪いわ!!


人に話す前に、言って良い事と、悪い事ぐらいの判断はしろつぅの!!


ボケ!!



「いやいやいやいや、奈緒さんがクラスの出し物に参加なんかしたら大事になるから、そう言うのだけはマジで辞めて下さい」

「ヤダ。芸能界の友達一杯連れて行ってやるも~ん。それで、クラのクラスのメイド喫茶を、みんなで手伝ってやるんだもんね」


にゃあぁあぁぁ~~~!!(←気に入ってる)

なんと言う、恐ろしくも、大胆な『企画』を立案してくれるんッスか。

中学生の文化祭如きに、そんな誰もが驚く様な『ビッグ・サプライズ』をする必要ありませんから!!

大体にして、下手にそんな真似をしたら、秋葉原方面から困った大人の方々が大量に流れ込んで来て、町中がパニックになっちまいますから、辞めなさいって言うの。

それに付け加えて、そんな事をしたら学校内が人で溢れかえって、ドンだけ警備員を雇わなきゃいけない、と思ってるんッスか。


自治会、及び各種方面から多大な苦情が来そうなんで、お願いだから自重して下さい。


心から、切に願います。



「いや、ホント、そう言うの不味いッスよ」

「なんでよ?」

「『なんでよ?』って……そりゃあ奈緒さん、今、ウチのクラスの女子が、メイド服を着る為に必死にダイエットまでやってんッスよ。そこに奈緒さん達みたいな芸能人の綺麗な人が乱入したら、彼女達の立つ瀬が無いじゃなないッスか。アイツらの面目を潰しちゃいますよ」

「じゃあ、なに?その言い分だと、私には、絶対に来るなって事?」

「いや、そうじゃなくってッスね。出来れば、お忍びの方向で……」

「ふむ。クラは我儘だなぁ」


どっちがですか?

ドッチが我儘なのですか?

こればかりは、明らかに奈緒さんの方がですよね?



「じゃあさ、じゃあさ。クラスの出し物の手伝いは諦めるから、他の方面で手伝うってのは有り?」

「いやいや奈緒さん、なにする気ッスか?公立中学校の文化祭なんッスから、あんまり派手なのはダメっすよ」

「それぐらい、別に良いじゃない。どうせ仲居間さんが居たら、私がなにもしなくても、きっと、もっと、もぉ~っと派手になってたんだからさ。君達の文化祭がこうなるのは、きっと必然なんだよ必然」

「うっ!!言われて見れば、そんな気がしないでもないッスね。寧ろ、十分にするッスね……」


そぅ……今のこの奈緒さんの言葉で思い出したんだが、去年の文化祭は、それはそれは無茶苦茶なものだった。

当初、あの馬鹿の正体を知らなかった俺にとっては、見るもの全てが不思議な光景だったんだが、この学校の糞クダラナイ文化祭に、何故か大量の芸能人が、お忍びで来ていたんだよな。


あの時、俺は、詳しい事情もわからず、矢鱈滅多ら、はしゃいだもんだが。

今にして思えば、全てが、あの馬鹿がやらかした事だったんだろうなと思える。


何故ならアイツは、その時点でも既に、そう言ったロクでもない様な『コネ』を沢山抱えていたからだ。


結果からして言えばだな。

この中学生の文化祭が、こんな大掛かりな県民参加の文化祭になったのは、アイツのせいだったって事だ。


そう考えたら……ほんとアイツだけは、どこまでも傍迷惑な男だな。


今度帰ってきやがったら、タップリと文句を言ってやる。


まぁ、俺が憶えてたらだがな……

(↑葉緑体の俺には、記憶すると言った高級な機能は無い)



「だったらさ『四の五の言わず、ド派手にブチかましちゃおうよ』って話なのよ」

「いや、奈緒さん。これって名目上は、ただの中坊の文化祭ッスよ、そんなに気合入れなくても良くないッスか?」

「ふふ~ん、やだも~ん。今年の文化祭はね。仲居間さんが盛り上げたんじゃなくて。クラのせいで最大級に盛り上がった事にするんだも~ん。これ、決定事項ね」

「はい?何故に?何故に、そこまで奇行をしたがるんッスか?」

「だって、折角、仲居間さんに勝てるチャンスが巡って来たんだよ。このチャンスを生かさない手は無いんじゃないかな?去年より盛り上がったら、クラの圧勝なんだからさ」

「いやいやいやいや、こんな事、バンドも、音楽も、全然関係ないじゃないッスか」

「うん?なにを奇妙な勘違いしてるのかな、君は?」

「なっ……なにがッスか?」


また変な事を言うぞ。

奈緒さんは、絶対にこう言う時、おかしな理屈しか言わないからな。


でも、それが奈緒さんの魅力でもあるんだよな。


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【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


第四話では上手く纏めた倉津君でしたが。

第五話に入った途端、急に不穏な空気が流れて来ましたね。


そして、その不穏な空気の根源は……アッケラカンと恐ろしい事をしだす奈緒さん( ´,_ゝ`)プッ


彼女は一体、何をやらかす気なのでしょうか?


次回は、その真相が明らかに成って行きますので。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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