338 イケメン共からの依頼
女子のダイエット成果や、俺の現状を話しただけ(笑)
そして今回は、それ以外にも報告しなきゃいけねぇ事が有るから、それを話しますわ。
それがまた、今バタバタしてる俺にとっては(;´д`)トホホな話なんですわ。
***
まぁそんな訳でだ。
今現在、放課後の日課である、毎日の様にクラスの女子が嬉しそうに持ってくるデーターをパソコンに入力して、上島のオッサンに送る準備も整い終えてから、家路に着こうと思っていた。
その時だ、初めに言った、そのおかしな依頼はやってきたのは。
ハードケースと、ノートパソコンを抱えて帰宅準備が整い、立ち上がった瞬間、そこにソイツ等は、なにやら慌てて駆け寄ってきたんだよ。
「あっ、あれ、クラっさん。もぅ帰るのか?今日のデータ整理は、もう終わったのか?」
「あぁ?おぉ、なんだカジか。あぁ、今、データ整理が終わったから帰るところなんだが、なんか用か?」
「いや、実はさぁ。用ってほど、仰々しいもんじゃないんだがな。折り入って、クラっさんに相談が有るんだよな」
「相談?オマエが、俺に、なんの相談があんだよ?」
「その辺の詳しい事情は、グチから聞いてくれ」
「はぁ?」
誰かと思えば、話し掛けて来たのは、クラス1のイケメン仲良しコンビの梶原と山口。
しかも、コイツ等の様な人生舐めきったモテ男が、俺なんぞみたいなモテもしないヘコ大王に、なにか相談が有るらしい。
けど、なんの相談が有るってんだ?
頼むからオマエ等が恋愛相談があるとか生チョロイ事を間違っても言うなよ。
もし罷り間違って、そんな相談をした瞬間、顔面を潰れるまで永遠に殴り続けるかんな!!
ボコボコだかんな!!
(↑モテない奴の為のイケメン撲滅運動(俺含む))
「いや、相談と言うのは他でもないんだ。良かったらで良いんだが、俺等とバンド組んで、歌謡コンテストに出て貰いたいんだが」
「はぁ?なんだよ唐突に?それに歌謡コンテストだと?んで、また、そんな奇妙奇天烈なもんに出たいんだ?」
山口の奴は、なんの脈絡も無く、途轍もなく珍妙な事を言って来やがった。
まぁ、俺がベースを弾けるのが学校に知れ渡っている以上、バンドに誘って来るのは、別段、変な話ではねぇんだがよぉ。
しかしまぁ、なんでまた、ワザワザ寄りにも寄って地元主催のショボイ歌謡コンテストなんぞに出たがるのかが、皆目見当もつかねぇ。
そんなもんに出て、なにがしたいんだ?
ひょっとしてオマエ等、まだ女子達にモテ足りないのか?
「いや、非常に恥ずかしい話なんだが。優勝商品のテレビとDVDのセットが、どうしても欲しくてな。それで願い出たんだ」
「うん?んなもん貰って、どうすんだよ?自室でエロDVDの鑑賞にでも使うのか?」
「クラっさん違うって。そうじゃなくて。この間、山口ん家のテレビが盛大にぶっ壊れちまってな。家でテレビが見れないんだとさ。……んで、我が校きってのベーシスト、クラっさんに頼んで、優勝商品を掻っ攫おうって寸法なんだよ」
はぁ……まぁ、言いたい事は理解したが……
これって要するにあれか、物欲に駆られて歌謡コンクールなんぞに出場したいって事か?
もしそうなら、なんともまぁ俗っぽい話だな。
けど、まぁ良いか。
どうせ、文化祭までの2週間程、する事と言えば、ダイエットのデータ送信及び、女子の家にデータの配達ぐらいのもんだしな。
それになにより、此処1週間程『殆どベースを触ってない』ってのも気になってたし。
まぁ、クラスメイトのツマンネェ余興に付き合ってやるのも悪くねぇか。
それになによりだ。
文化祭当日、バンドの練習を口実にすりゃ、喫茶店の手伝いもサボれそうだしな。
考え方によっちゃあ、実に悪くねぇ提案だ。
「まぁ、状況はわかったがよぉ。別にテレビぐらいなら、わざわざコンテストに出なくても、電気屋か、家電量販店で買やぁ良いじゃねぇかよ?」
「それが出来れば一番良いんだがな。実を言うとだな。俺の家は、とてつもなく貧乏でな。テレビを買う余裕すらないんだ」
「つぅ事なんでさぁ。頼むよ、クラっさん」
俗っぽい話だと思っていたが、実は、中々の『浪花節』が盛り込まれてたんだな……
あぁでも、あれだな。
俺、意外と、こう言う、人情臭い話が嫌いじゃねぇんだよな。
他人の為に自分が頑張るって、なんかこう……グッと来るじゃんかよ。
それに、それを実行してる梶原の奴も中々泣かせるじゃねぇか。
普段はチャラチャラしてイケ好かねぇ野郎だけど、此処一番は、結構、友達想いみたいだしよ。
よっしゃ、よっしゃ、そう言う事情なら、此処は1つ、俺が一肌脱いでやろうじゃねぇか。
「ふ~ん。まぁ、そう言う事情なら、手を貸してやるのは吝かじゃねぇけどよ。オマエ等、なんか楽器が出来んのか?」
「俺、ヴォーカルしか出来ねぇ」
「俺は、ドラムが叩けるが、過度の期待をされても困る。一応程度と思ってくれた方が良い」
ふむ、ド素人3人組の3ピースバンドか……
しかも、ギターやシンセ無しのベース・ドラムのリズム隊のみのバンド。
初期のThe Misfitsの構成と類似してるな。
(↑因みにだが、The Misfitsは、ベース・シンセ・ボーカルだったと記憶する)
まぁ俺としては、ギターや、シンセのメロディーラインが無いのが少々気になるバンド構成だが……逆に言っちまえば、それによって新しい表現方法を思い付くかもしれない。
それに所詮は、地元主催の歌謡コンテスト。
ちょっと詰め込みゃ、なんとか成る可能性も無くは無いな。
ただなぁ……この学区って、おかしな能力者みたいな奴が無駄にゾロゾロ集まってくる地域だから、そんな歌謡コンテスト程度でも、とんでもない奴が出て来る可能性が無きにしも非ずなんだよな。
そこだけが、最大の不安要素だな。
「そう言う理由ならOKだ。まぁ流石に、確実に優勝できるとまでは断言出来ねぇが、なんとかなんだろ」
「おっ!!クラっさん、やってくれんのか?」
「あぁ、但し、さっきも言ったが、優勝の保証はしねぇぞ」
「サンキュー、クラっさん。クラっさんが居てくれりゃあ、鬼に金棒だぜ」
「言い過ぎだつぅの」
「そんな事はない。倉津君が手伝ってくれれば、優勝の確率は飛躍的に上がる」
「オイ、山口。倉津で良い。変に『君付け』なんかすんな」
「すまない」
山口は、丁寧に頭を下げてきた。
しかし、なんだな。
チャラチャラした梶原と、やや古風な雰囲気の山口。
こうも正反対の性格の人間が、なんでこんなに仲が良いんだ?
どうしょうもない馬鹿の崇秀と、天才の俺みたいに幼馴染とか言う因縁めいた関係か?
わかんねぇから、早速、聞こ。
「ところでよぉ。少し気になったんだが。なんでオマエ等、そんなに仲が良いんだ?」
「そりゃあ、あれだ。コイツとは、昔からの腐れ縁って奴でさぁ。小学校の頃から、女子から貰うバレンタインのチョコの数を争った仲なんだよな。モテる奴同士の共感って奴じゃね」
オイオイ、聞くからに嫌な野郎共&嫌な関係だな。
俺なんてよぉ、若い奴からバレンタイン・チョコなんぞ貰ったって言えば、妹の真菜か、お袋の友美さんからしか貰った事ねぇんだぞ。
オマエ等みたいな糞下衆な奴等が居るから、俺みたいなモテない奴がシクシクと泣きを見るんだ。
だからオマエ等は、背後から自転車のスポークで、脳髄刺されて死んじまえ!!
地獄に落ちろ!!
「オイオイ、カジ。俺は、チョコの数を競った記憶なんて1度も無い。折角、心の篭ったチョコを貰ったのに、そんな風に考えるもんじゃないぞ」
「はいはい、なに言ってんだかな。いつもオマエの方が2~3個多く貰って満足そうだったじゃねぇかよ」
「違う。違う。あれはだな。妹におやつをあげれるから喜んでいただけだ」
「オイオイ、何気に、オマエの方がヒデェよ」
「そんな事はないだろ。俺は、貰ったチョコを、全部ちゃんと一口づつは口をつけたんだからな。オマエの様に『誰々の手作りチョコ買わないか』なんて非道な真似を、俺はして無いぞ」
うん、ドッチもドッチだからな。
心配しなくても、オマエ等2人共最低だ。
そんなイケメン諸君な君達は、早く死んじまえ。
なんなら、必殺仕事人に出てた和田アキコの様に、顔面殴って撲殺してやるぞ。
勿論、一片の容赦も無しにだ。
「はぁ、なるほどな。そりゃあ、とんでもねぇ腐れ縁だ」
「うん?クラっさん、今の話で、一体、なにを納得したんだ?」
「自慢話を聞かされて『お2人さんはモテてよござんすね』って、嫌な気分で納得したんだよ」
「オイオイ、クラっさん、そりゃあねぇんじゃねぇの?方向性を間違ってないか?」
「なにがだよ?なんも間違ってねぇつぅの」
「天然かよ。あんなぁクラっさん。近年、仲居間さんと、クラっさんが登場したお陰で、コッチに廻ってくるチョコが激減してんだぜ。それを『モテますねぇ』って言われてもなぁ……嫌味にしか聞こえねぇ」
「確かに言えた事だな。中学に入ってから、女子から貰うチョコが減ったのは事実だな」
はぁ?なに言っとんじゃ、コイツ等は?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
倉津君の受けた新しい依頼は。
イケメンコンビ・カジ&グチ君とバンドを組んで、歌謡コンテストで優勝する事だったみたいですね(笑)
まぁ、本編に入ってからと言う物。
恋愛相談や、文化祭の出し物の下準備などで動いていても『音楽活動』らしき物が無かったので。
これで漸く、音楽ものらしくなってきた感じですね(笑)
さてさて、この依頼、見事に完遂する事が出来るのか?
そして最後にカジ君から語られた『倉津君、実はモテる説』とは一体何なのか?
次回は、その辺について語って行きたいと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます