336 武藤さんが協力してくれる訳

 ドンドンと提示されていく文化祭に向けてのアイディア。

そして、それに付随して人員の確保の方も早くも纏まって行く。


そんな中、武藤からこの場での最後の説明がなされる。


此処はシッカリ聞かねばな( ..)φメモメモ


***


「オイ、デカブツ。いつまで待たせやがんだ。操作説明ッスから、早く来やがれ」

「おっ、おぉ、すまんな」


俺が着くや否や、なんの前触れもなく、突然、説明が開始された。


そんでまず、最初に説明を始めたのは、ハゲ栄養士事、上島次郎(ウエシマ・ジロウ)と呼ばれるオッサン。


なんでも武藤によれば、このオッサン。

栄養学の権威で、今までに何千人ものダイエットを成功させた実績を持っているらしい。

そんな彼が、女子達の食生活の改善方法、及び食事メニューを提示してくれた。

しかもそれは、全て一人一人個人向けに作られており、期間が短いだけに多少の無茶はあるものの、このメニューに従って食事さえすれば、短期間で必ず理想の体型になるとの事だ。


それとあと一点、追加で付け加えられた言葉があって、オッサンによって作られたダイエットメニューは、体質が似ている母親にも効果が有る可能性が高いとの事だ。


その説明を終えると、彼は忙しいのか帰って行った。



次に紹介されたのは、服飾を担当してくれる女の子。

彼女の名前は、王家真上(オウカ・マウエ)っと言うらしい。


この子は、左右の目の色が違うと言う、なんとも神秘的なオッドアイを持った武藤の知り合いとの事だ。

そんで彼女が、俺にプレゼンして来た提案は、海外から良質な安い生地を輸入して、各々に合ったメイド服をオーダー製作するとの事。


ただ此処で、俺は少し疑問に思った。

『オーダー物の衣装なんて、幾ら掛かったものか解らない』と言う点だ。

なので、その辺を彼女に詳しく聞いてみると。

その件については『スポンサー契約』をし、教室内に宣伝広告を入れる事でチャラにしてくれる……と言う話が、前もって武藤と成立させてくれていたらしい。

これは、ウチの文化祭の『一般参加可能』って言葉を、完全に逆手に取った見事な戦略だと言えよう。


俺は、武藤の情報力と、手際の良さに感心するしかなかった。



しかしまぁ『スポンサ-契約』って……なにやら、本当に大事になってきたな。

っと、思っている間に、王家さんも忙しいのか、俺達に挨拶をして店に帰って行く。


それにしても王家さんは、凄く上品な子だったな。


さて、これで此処に残されたのは、俺と武藤。

残った話を片付ける様に、武藤が口を開き始めた。



「よぉ、デカブツ。取り敢えずは、これで満足か?」

「いや、満足つぅか。此処までして貰って良いのかよ?」

「あぁ、構わねぇ。うちのショボイ文化祭に協力するより、コッチの方が数十倍面白そうだからな。だから『全面的に協力』してやってんだろ」

「そうなのか?けどよぉ、だったらオマエの所の文化祭を、オマエが面白おかしくすりゃ良いんじゃねぇのか?」

「ウチの学校は無駄に制約が多いんだよ。やりたい事なんぞ、なに1つ出来やしねぇ。それにウチは、父兄すら来れねぇ様なオナニー同然の文化祭なんでな。んなもんじゃ、ナニもそそり立たねぇんだよ」

「なるほどなぁ」


しかしまぁ、色々な学校があったもんだな。

ウチの馬鹿学校みたいに、誰彼構わず呼ぶ学校もありゃ、父兄すら呼ばない学校もある。


どっちが良いのか?

どっちが正しいのか?

なんて言うのは、よくわかんねぇけどよ。

まぁ、どうせやるなら派手な方が面白いのは、確実だろうな。


恐らく武藤が、俺に協力してくれてるた理由は、此処等辺にあるんだろうしな。



「しかしオマエよぉ。メイド喫茶なんて良く思い付いたな。少し感心したぞ」

「いや、その辺は偶々だ」

「どういう事だよ?」

「いやな。ウチのクラスの最初の出し物もな。元々は、なんの変哲もない、ただの喫茶店だったんだけどよ。俺が偶々ボソッと言った一言を、隣に座ってた女子が聞いちまってよ。それが引き金になっただけのこった」

「なんだ、結構、適当なんだな」

「まっ、事実を知っちまえば、そんなもんだ」


ホント、いい加減なもんだ。



「さて、いつまでも与太話をしてる場合でもねぇな。今後の日程を言うぞ」

「おぉ」

「まずダイエットの件な。この件に関しては、取り敢えず、毎日、上島のオッサンにデーターを送ってくれ。随時修正してくれる筈だからよ。必ず怠るなよ」

「おぉ、わかった」

「んで、真上の件だが。アイツには、明日から衣装の製作に入って貰う。勿論、ダイエット後を目標にして衣装を作るから、ダイエットに失敗したら『衣装は無しだから裸でやれ』って、オマエんとこの女共には伝えとけ。『マジで裸でやらすからな』って位の勢いでな」

「おっ、おぅ」

「そんで後、ダイエット効果が出過ぎた場合のみ、衣装の修正は可能にして置いてくれ。……まっ、今日の処は、そんなもんだな」

「世話になるな」

「これも何かの縁だ。気にすんな」


なんかコイツ、本当にカッコイイな。


普通こんな事は、中々言えないぞ。



「さてと、用も済んだ事だし。俺も、そろそろ仕事に戻るわ。……オマエ、今日中に女共の所を廻って、メニュー渡しとけよ」

「おぉ、勿論そのつもりだ。オマエが折角、作ってくれた縁を無駄にする訳にはイカネェからな」

「上等……じゃあな」

「おぉ」


そう言って武藤も出て行った。


俺も、みんなの勢いに当てられたのか。

妙にジッとしてられなくなって、早々と会計を済まして地元に戻って行った。


***


 この後、俺は、武藤との約束通り、女子全員の家を廻り、メニューを各々に渡して行った。

勿論、その際、母親には『お母さん方も使えるダイエットですから、良かったら娘さんと一緒に使ってみて下さい』……なんて言葉も付け加えてな。


まぁ、こんな事を一軒一軒してたもんだから、全員の家を廻り終わったのは、20時を廻ったぐらいになっていたんだが、もぁこれはこれで良しとしよう。


しかしまぁ、なんか豪い事になっちまったけどよぉ。


みんな、嬉しそうにしてたし……まっ、これはこれで有りだな。


なんか此処2日間は、ホント、自分の思い通りになった日だったしな。


おもしれ。



……なんて、これで終わる訳がねぇ。

翌日、またロクでもねぇ事態が舞い込んでくる。



とほほ……もぉ、珍しく真面目にやってるんだから、そう言うのは辞めてくれよなぁ(´;ω;`)ブワッ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>

これにて、今回のお話『何故にこんなにも俺の意見が通る』はお仕舞なのですが……


今回は真面目にやってる分、結構、上手く行ってる感じですね。


まぁ、この調子で、全て上手く行けば良いのですが。

世の中、そんなに甘くはない(笑)


倉津君には、こんな程度の試練で、成功した気に成っては困るんですよね。


……って事なので。

次回、更なる試練が加算されていくのですが、そのタイトルは!!


【妖精忘れた頃にやって来る】でございます


これはまさに、本編が始まってから初の、あの子が出てくる予兆ですね。


なので、また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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