335 まさか此処で、意外な人物との再会を果たす

 女子のデータを携え。

武藤との待ち合わせの場所である川崎の、とある喫茶店にやってきた俺。


だが、そこにやって来たのは武藤だけではなかった。


誰?(。´・ω・)?


***


「おぉ、デカブツ。遅くなって悪かったな」

「遅ぇつぅの。つぅかよぉオマエ、なんでワザワザこんなガラの悪い店を待ち合わせ場所に指定したんだよ」

「別に大した意味なんてねぇよ。ただ此処なら色んな物が手に入る。だから指定しただけだ」

「うん?色んなモンだと?なんの話だよ?」


なんか知らねぇけど。

マジでこの場所、胡散臭い場所みたいな雰囲気だな。



「まぁまぁ、そぉ、がっつくなっての。この件についての話は後々教えてやる。そんな事よりオマエ、データは持って来たんだろうな」

「あぁ、指定された通りの物は出来てると思うぞ」

「ふん。そりゃ重畳なこった」


アンケート用紙及び、写真を武藤に手渡す。


すると武藤は、それらを一切見ずに、横に居た3人に手渡す。

手渡された3人の内2人は即座にパソコンを開き。

1人は直ぐ様、うちのクラスの女子のデータを入力し始め、もう1人は、写真を取り込んでいく。


薄暗い喫茶店の中にあっても、なんとも異様な光景だ。


つぅか、コイツ等、誰?



「つぅか、武藤。さっきから気になってんだけどよぉ、アイツ等、誰なん?」

「うん?あぁコイツ等か、コイツ等はな。ダイエット専門の栄養士と、服飾デザイナー、及びグラフィッカーだ」


うん?おかしな事を言い始めたぞ。


いやまぁな『ダイエット専門の栄養士』と『服飾デザイナー』は、この企画の内容から考えたら、なにもおかしな存在じゃねぇけどよぉ。

だが『グラフィッカー』は、明らかに変だろ。

この場にグラフィッカーなんか連れて来て、なにさせるつもりだよ?


意味わかんねぇぞ?



「あっ、あのよぉ、武藤。グラ……」

「チッ、ワザワザ馬鹿な事を言う為に口を開くなよ。先に言って置くが、グラフィッカーの仕事は、女共の未来予想図の製作だ。ダイエットが終わった後から、衣装合わせなんぞ、やってらんねぇからな」

「あっ、あっそ。なるほど、なるほど」


先を見す越しての行動とは、恐れ入る。


しかしだな。

武藤が、そこまで考えてるって事は、マジ妥協出来無いよな。


マジで豪い事になってきたな。


***


 あの後、沈黙したまま1時間半ほど経過した。


その間、モジャモジャ頭のグラフィッカーは、ハゲの栄養士からのデータを元に、なにやらCGを製作。

そんで、その出来上がったCGに、更に女のデザイナーが口を挟んでいく。


なんだか見事な連携だな。


まぁこの様子からして、多分、ダイエット後の完全な未来予想図を作ってるんだろうな。


しかし、上手くいかなかったら、どうすんだろうな?

体型に合わせて設定しちまったら、服が合わねぇんじゃねぇの?


多大な疑問が残る。



「はいよ。一応、データ分は全部出来たぞ、要ちゃん」


そんな中、モジャモジャ頭のグラフィッカーが、なにかを完成させたらしく、武藤にデータを持って来た。


武藤は『要ちゃん』っと言われた事にも一切文句を言わず。

それを受け取ると、今度はハゲの栄養士の元に移動して、なにやら綿密な打ち合わせを始めた。


この光景に俺は1人取り残されたまま、ただセッタに火を着けてタバコでも吸うだけしか出来ない存在に成って居た。


そこに……



「よぉアンタ、久しぶりだな」

「うん?」


何故かモジャ男は、俺の事を知ってる様で声を掛けてきた。


誰だっけ?



「あぁ、その様子じゃ憶えてねぇかな?……まぁ良いさな。取り敢えずで悪いんだが、旦那、火ぃ貸してくれ」

「おぉ、そんなもんで良かったら、勝手に使ってくれ」


俺は、奴の咥えている煙草に、デュポンのライターを『キィィィ~~ン』っと鳴らして、火を着けてやった。



「……にしてもアンタ、良い趣味してんな。その年で『デュポンのライター』なんてよ。なにやってる人なんだいオタクは?ただのベーシストや、イラストレーターじゃないっしょ」

「いや、俺は、ただの学生だ。特に変った事はしてねぇよ。……つぅか!!なんで、俺が絵を描く事を知ってんだ!!」

「へへ……マジで忘れちまったのかい?湘南のライブん時、アンタのイラストをジャケットにしたのは誰だった?俺じゃなかったかい?」


初何ライブでのCDジャケットだと?


……うん?


・・・・・・


あっ……あぁぁあぁああぁ!!

誰かと思えば、あん時パソコンに固定されてた、ヤル気のねぇモジャモジャじゃねぇか!!

なるほど、なるほど、どこかで見た頭だと思ったら、あん時、俺と同様、崇秀に酷い目に遭わされてた奴か!!


おぉおぉおぉおぉ、なんと言う偶然だ。

いや、この場合は必然かもな。



「なんだよ。アンタだったのか。それにしても久しぶりだな。っで、あの後、どうだったよ?崇秀にはコキ使われなかったか?」

「さもありなんさな。酷い使われ方だったよ。因みにだが、アンタの方はどうだったんだい?」

「無茶苦茶も無茶苦茶。あの馬鹿のせいで、バンドからは脱退させられるわ。次のメンバーは全く見つからないわで、今てんやわんやだよ」

「ほぉ。そいつは、天も哀れむ不幸ップリだな」

「ったく、アイツだけは、ほんとロクでもねぇよ」

「ご愁傷様だな」


流石、あの時の苦楽を共にした仲。

俺の苦労がわかってくれるのは、オマエだけだよモジャモジャ。


オマエ良い奴だな。



「あぁ、それはそうとよ。アンタ、崇秀の知り合いの様だが。どこであんなロクデナシと知り合ったんだ?」

「うん?あぁアイツとはMITの校内で知り合ったんだ」

「って事は、アンタはMITの生徒なのか?」

「いいや。俺は、あそこのコンピに直接アクセスをして遊んでただけだ。そこを運悪くアイツに発見されてな。……だからMIT校内ってのは、少々語弊があるかもな」


なんか良くわかんねぇなぁ。


コンピ=コンピューターってのは最低限わかったが。

コヤツは、なんの為にコンピューターにアクセスしてたのかが不明だ。


それによぉ、他人がアクセスしてるのって、そんな簡単にわかるものなのか?


なんか、ホント良くわかんねぇな。



「なぁ。アクセスしてたって言ったけどよぉ。なにしてたんだ?」

「いや、ただ単に、学校の裏帳簿を盗んで遊んでただけの事さな。大した話じゃない」

「ふ~~~ん……ってオイ!!それ、ハッキングじゃねぇか!!」

「ハハッ、鋭いねぇ。まぁそんな感じだ」


オイオイ、悪い奴が居たもんだな。


ただの帳簿を盗むなら、まだしも。

裏帳簿を盗むなんざ、人道外れたとんでもねぇ事だぞ。


オマエねぇ、そう言うのが表沙汰になったら大変なんだからヤメテやれよな。


あぁそれと、絶対にウチの組のパソコンには侵入すんじゃねぇぞ!!

多分、MITよりヤバい事に成る筈だからな。



「っで、なんで、あの馬鹿に見つかったんだよ?」

「いや、それが未だに謎でな。今まで見付かる様なドジを踏んだ事がなかったから、なんで見つかったのかさえサッパリだ」


って事は、あの馬鹿、またロクデモナイ事をしてるな。



「っで、何故か知り合ったと」

「まぁ、そんな感じだな。んで、コキ使われてるってこった」

「脅しか?」

「脅しだな」


まぁ悪人が、悪人を呼び寄せたんだろうな。


俗に言う、世界的にも迷惑な悪循環って奴だな。



「まぁ、なんとも大変だな」

「まぁね。けど、アイツは面白い。なにを仕出かすか全くわからないからな。あれ程、先の見えない男は珍しい」

「なるほど。そりゃあ言い得て妙だな」


まぁ、そうやって、あんな頭のイカレタ奴に興味を持つのも結構だが、程々にな。

アイツに付き合ってたら、その内、身も心も滅ぼされるぞ。


これだけは、絶対に耳を傾けた方が良い、お得な警告な。



「ところでよぉ。さっきのデータって、なに作ってたんだ?」

「あぁ、あれか。あれはな、一種のシュミレーターだ。以前のデータと今のデータを比べて、どれぐらい体重・身長の変化があったかを調べた上で『痩せ易さ』『太り易さ』をデータ化。そこから割り出した数値を、文化祭までの期間で痩せれる%として出力した上で、最終的な体型を計測予想をしてただけの事さな。大した事じゃない」


????


この子……なに言ってんの?



「あのよぉ、意味がわからん」

「う~~~ん。解り易く言うとだな。ダイエット限界値を出してただけの話さな」

「あぁ、なら、最初からそう言えよな。つぅかよ。なんで以前のデータがあるんだ?」

「はぁ~、さっき言っただろ、俺はハッカーだって」

「……ダメじゃん」

「まぁまぁ、そう言いなさんなって、そんなハッカーだって、世の中の役には立ってんだから」

「なんで、そうなんだよ?」

「ほら。現に俺は、アンタの役に立ってないかい?」

「ぐっ!!確かに……」


俺……知らず知らずの内に犯罪に手を染めてしまっていたのか!!


いやまぁ、こんなの前からか……



「オイ、デカブツ。いつまで遊んでやがる。メス共のダイエットデーターが完成したぞ」

「だってよ。……んじゃま俺は、そろそろお暇させて貰うわ。あぁそれと、そのパソ、名刺代わりにアンタにやるよ。チャチャと用事済まして、女の子達にデーターを見せてやんな」

「おっ、おい、そんな高いもん。意味もなく、タダで貰う訳にイカネェよ」

「気にしなさんなって。ンなもん家に帰りゃ山程あんだからよ。1台や2台無くなった所で、なにも困らんさ」

「しかしなぁ……んじゃよぉ、代わりと言っちゃあなんだが、このライターやるよ。せめて持って行ってくれ」

「そいつは嬉しいねぇ。あんがとよ。じゃあまたなぁ」


奴は、俺の投げたライターを『パシッ』っと受け取ると、やる気なく煙草をくわえたまま自動扉を抜けて出て行った。


モジャモジャ頭……アイツも、なんか気持ち良い奴だな。


ただ……人間として見た場合、100%終わってるんだろうけどな(笑)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


またロクデモナイ人物と知り合った……っと言うか、再会したみたいですね(笑)


因みにですが、このモジャモジャ事、細川一葉君は。

崇秀の腹心の様な人物なので、まさに特A級の危険人物です♪


倉津君……こんな人物と意気投合してて大丈夫なんでしょうかね?(笑)


さてさて、そんな中。

次回は、残っている他の人間の紹介や。

このメイド喫茶企画の進行の仕方を、武藤さんの口から語られて行きますので。


また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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