334 人に頼んだ者の責任として

 武藤や龍斗のクソガキと言うプロに頼んだ倉津の覚悟。

そして、そんな俺の意図を読み取ってくれて『全員で綺麗に成る事を誓った』クラスの女子達。


そんな彼女達の為に俺は、更に……


やったるでぇ(੭ु⁾⁾ ゚Д゚)੭ु⁾⁾


***


 教室の中で女子達がアンケートに答えていく中。

そんな彼女達を尻目に、俺は一人、ある事を実行する為にコソッと廊下に出た。


そして、そこには1人の男が待ち構えていた。



「悪ぃな、広田。豪く長い間待たせちまってよ」


広田だ。



「別に構わない。倉津には、里香の件で大きな借りがあるからな」

「オイオイ、アレを借りとか言うなよ。あんなもんは、ただの成り行きだ。それによ、2人でビール飲んでヘベレケになっただけじゃねぇかよ。そこに貸しとか借りとかはねぇの」

「まぁそれにしてもだ。オマエのお陰で、里香との関係も悪くなくなった。オマエがどうあれ、これは感謝すべき事だろ」

「まぁそう言うなら、それはそれで良いけどよぉ。んじゃ、今回の手伝いで、その貸し借りは無しな。チャラって事で」

「いいや。まだこんなものでは、オマエに借りを返した事にはならん。いつでも、なにか有ったら声を掛けてくれ」


この堅物野郎だきゃあ……貸した本人が、もぉそれで良いって言ってんだから、即座にそれで納得しろよな。


ホント、オマエは融通の利かない男だな。



「いや、それは非常に有り難い提案なんだけどよぉ。それだと俺が甘えて、オマエに借りバッカ作っちまうから、あの件は、今回のでチャラって事にして置いてくれ」

「倉津がそう言うなら、そう言う事にしておこう」

「それで頼む」


さて……何故に突然、此処で広田が出て来るのか、わからんかも知れんがね。

広田が此処で待ってくれてるのは、他でもねぇんだ。

女子のプロフ用の写真を『プロ』のコイツに撮って貰おうと思ってな。

実は昨日の内に広田には連絡をして置いて、此処で待機して貰ってた訳だ。


っでまぁ、何故そんな発想に至ったかと言うとだな。


さっきも言ったが、女子ってのは『プロ』って言葉に過剰に反応する。

だから、自分の個展とか開いてた事のある広田に頼んだら『彼女達も満足するんじゃないかな』って思って、昨晩の間に依頼しておいたんだよ。


でも、実際、これなら女子も文句なしだろ。

広田は、本当にプロのカメラマンなんだからよ。


この辺に関しては、我ながら完璧な考えだと思える。



「ところで倉津。写真は、どんな風に撮れば良いんだ?」

「あぁ、そうだなぁ。基本はバストアップ・全身。まぁ一枚ぐらいポーズ物が有れば、有り難いな」

「3枚で良いのか?」

「いや、出来れば、バックスタイルや、サイドも欲しいところだな」

「では、5枚だな」

「あぁ、それで頼めたら万々歳だな」

「了解した」


この後、俺は、女子達が完成させたアンケートを回収。


その間に広田には、隣の教室で女子の写真を撮って貰い。

全員が終わった所で、そのネガを貰い受ける。

そんで両方を回収した後に、女子全員に、今日から『自己管理』をする事を促して解散させた。


よしよし、取り敢えずだが、これである程度の準備は整ったな。

急かも知れんが、今から現像に出して、完成次第、武藤の家まで持って行ってみるか。


アイツ、俺の素早さに、かなり驚くだろうな。


くっくっくっくっ……


***


 急ぎ学校から繁華街へ向い、現像所にネガを現像に出して1時間半。

現像を終えた写真を携え、駅に向いながら、武藤に電話を掛けた。

当然この時点で俺は、この恐るべきスピードに、奴が吃驚仰天するものだと妙な期待を持っていた。


んだが……事実は、全く異なった方向へ展開する。

直ぐに武藤とは連絡が付いたものの。

武藤は、この行為に驚くどころか、さも当たり前の様に話を進めて来るだけに留まり。

寧ろ、話の内容からして、今日中に連絡が無かったら『ヤル気が無い』ものだと判断するつもりだったらしい。


矢張り、武藤も、魔王崇秀と同系統の人間。

この程度で、奴を驚かせる事は出来ず、落胆するのみだった。


残念!!


***


 ちゅうこってだな。

『武藤ビックリ腰ぬかし大作戦』に失敗した俺は、今、川崎のある場所に来て、武藤の来店を待っている。


此処は……東急川崎駅から、歩いて10分程度の場所にある『本格英國カフェ・ビッグベン』

聞くからに美味そうなコーヒーを出してくれそうな感じだが、実際は完全に名前負け全開の薄汚い喫茶店で、更にコーヒの味もゲロ不味い。

付け加えるなら、値段もベラボウに高い。

待ち合わせの指定が無きゃ、絶対に近寄りたくもねぇ汚い店だ。


まぁ、なにが汚いって言うとだな。

店全体が汚いのは言うまでもねぇんだが、来店してる客が、なによりもダーティ。

どこからどう見ても、ありゃあ、全うな人間なんて1人も居やしねぇ。

良い所、外国人マフィアか、絶対ヤーさんの類だ。


しかもよぉ、さっきから、その外国人共が、ひっきりなしに運んでくる『ジェラルミンケース』はなんだ?


金か?薬か?それとも拳銃か?


……ったく、武藤の奴、なんてロクデモナイ場所指定しやがんだよ。

俺がこんな所に居たら、無条件でポリ公に捕まっちまいそうじゃねぇかよ。


早く来いつぅの!!



『ウィ~~~ン』

俺が文句を思った瞬間、武藤が、3人ほど人を引き連れて現れた。


男2人の女1人なんだが、この3人も、なんかキナ臭い感じだな。


まぁ今更、こんな程度じゃビビりゃしねぇけど、場所が場所だけに面倒はお断りしたい所だな。


そんな一人問答をしている俺を武藤は直ぐに見つけて、近寄ってきた。


勿論、その他3名もコチラに来る。

だが、俺の元に到着するや否や3人はボックス席へ移動し、武藤だけが俺の前に座った。


んじゃま、面倒だが話を始めるとするか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


倉津君なのに、意外と、ちゃんと考えていたようですね(笑)

この辺は『人に頼んだ以上、より良い物を相手に渡したい』っと言う気持ちが生じた結果なのかもしれませんね。


此処でも少し、更生と、成長の兆しが見えてきました♪


さてさて、そんな中。

写真やデータを持って、武藤さんの元にやってきた倉津君なのですが。


次回、更に、企画が大きく変化していきますです♪


もしその辺を気にして下さる方が居られましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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