333 女子の美に対する執念(笑)

 プロのメーキャップアーティとである武藤や、プロのコーディネーターとして仕事をしている龍斗のクソガキに『メイド喫茶の件』での頼み事をしてしまい、もぉ後には引けなくなった俺。


だから翌日の放課後、早速俺は、クラスの女子を全員(素直を除く)を呼び出して、やらにゃあいかん事をサッサとしてしまわんとな。


でも、そんな事が出来んのか俺に?(;´д`)トホホ


***


 翌日の放課後。

俺は、武藤との約束を果たすべく、クラスの女子達を全員(素直を除く)集めて、ある話を始め様としている。


勿論、ある話とは、言わずと知れた『女子のデータ』の話だ。

まぁ、話が話だけに、女子にとってはデリケートな話になりそうだから、俺以外の男子は、この教室には入室禁止だがな。



「倉津君。一応はクラスの女子が全員居るみたいだけど。今日はなにするの?」

「まぁ、そう慌てるなよ大谷。今から順を追って説明していくからよ」

「うっ、うん」

「んじゃま、全員揃った所で説明を始めるぞ」


俺は黒板の前に立ち、チョークを持って、ある文字を書き殴っていく。


『2年B組女子力アップ講座』そう黒板に書き示した。


これを見た女子達は、少し驚いた様子だ。



「えっ?それって、なに?なにを始め様としてるの?」

「オイオイ、伊藤、忘れたのかよ?オマエ等が、昨日、俺に頼んだんだろ。なので、それを憶えてる奴等には、全員これに協力して貰うぞ」

「どういう事?ホントに、なにする気なの?」

「なぁに。まずは、昨日、知り合いに相談した結果を、まずはオマエ等に説明するだけだ」

「えっ?冗談だと思ってたのに、本当に相談してくれたんだ」

「まぁな」

「倉津君って、意外と真面目なんだね」

「オイオイ『意外』ってのだけは、余計なんじゃねぇか?」

「「「「「ぷっ、あはははははっははっは……」」」」」


おやおや、なんか、こんな単純なネタで、雰囲気が一気にほぐれたな。


これでなんとなくなんだが、感覚的にも少し話し易い雰囲気になってきたぞ。



「さて、いつまでもツマンネェ事をダベッてても仕方がねぇ。本題に入るぞ」

「あっ、うん」

「よし。じゃあ、まず概要から説明するから、今から配るプリントに目を通してくれ」

「プリントまで作ってきたんだ。ホントにマメだよね」

「余計な事を言わなくて良いから、早く配れつぅの」

「あっ、うん。ごめんごめん」


伊藤にプリントを渡すと、素直に全員に配り始めた。


手際が良いのか、直ぐに、全員に行き渡った。


全員に行き渡ったのを確認出来たので、話を始める。



「行き渡ったか?」

「うん。多分、行き渡ったよ」

「オッシ。じゃあ、此処で改めて質問するぞ。オマエ等『本気』で綺麗になりたいか?」

「うん。そりゃあ勿論、綺麗にはなりたいけど……なんかあるの?」


この辺の解答は、伊藤より、大谷の方が早いんだな(笑)


つぅかコイツ、めちゃめちゃ美意識が高そうだしな。



「当然だろ。昨日も言ったがな。努力なしで綺麗になる方法なんて美容整形以外ではねぇ。ナチュラルに綺麗になりたいなら、それ相応の努力が必要だ。それが出来るかどうか?って話だな」

「そりゃあ、絶対、綺麗になれるんだら、幾らでも努力はするけどさぁ。そんなに大変なの?」

「あぁ、そりゃあ当然、大変だ。寧ろ、プロの知り合いに頼んだ事だから妥協なんて微塵もねぇぞ」

「プッ、プロ?」


これには大谷も、本気で驚いた様子だな。


まぁそりゃあ『相談した』だけでも大概驚いてたんだから、当然そうなるわな。

それに、俺なんかに、そんな知り合いが居るとは夢にも思うまいて。

だからこれは、順当な反応と言って良いんだろうな。


けどよぉ、全員が全員、その反応って、ちょっと無くね?


一人ぐらい信用しとけよな。



「あぁ、本物のプロだ。まぁオマエ等が、その人達を知ってるか、どうかまでは解らねぇけど。今回、このプロジェクトの参加してくれるのはな、氷村雅斗の息子と、佐伯庄治の専属でメーキャップ・アーティストをしてる大物だ。……知ってりゃ、これがハンパねぇ事ぐらいならわかんだろ」

「うっ、嘘……氷村雅斗って言えば、業界きってのスタイリストだよ。それに佐伯庄治って、滅茶苦茶有名なカメラマンでしょ。なんで、そんな人達が参加してくれるの?」

「オイオイ、よく聞けよ。息子と、専属メイキャップ・アーティストだ」

「それにしたって、その人達って本物のプロの人なんでしょ?そんな人達が、高々、中学生の文化祭に手を貸してくれるなんて信じられないよ」

「だからよ。この話はもぉ遊びじゃの話じゃねぇんだよ。一応、俺も、アイツ等に頼んだ以上、真剣に取り組まなきゃなんねぇ。でだ。オマエ等の覚悟は、どうなんだって話だ」

「そっ、そりゃあ、真面目にするけど。失敗したらどうするの?」

「させねぇよ。この企画に乗った時点で、オマエ等の生活を全て管理すっから、失敗なんてさせねぇよ」


いや、これな。

実は、脅しでもなんでもねぇんだよな。


まぁ龍斗の糞ガキは別に良いんだが、武藤がなぁ……アイツが関わった時点でハンパな事は出来ねぇ。

アイツも崇秀同様、妥協って言葉を、あまり理解出来無い人間だから、下手な事は出来ねぇんだよな。



「生活管理って、どういう事?」

「うん?これから文化祭までの3週間ちょっと、毎日、スリーサイズと、身長・体重及び体脂肪率を計る。その上で、オマエ等のベストな体型を作っていくって話だ」

「ちょ、体重って、本気で、そこまでするつもりなの?」

「あぁ、勿論するな。だからよ、今のうちに無理だとか、嫌な奴は手を上げてくれ。俺も中途半端は出来ねぇ立場なんでな」

「あぁ、だったら私は……」


体重や、体脂肪率が知られるのが恥ずかしいのか、1人の女子が早くもドロップアウトしそうになった。


けど、そんな程度の理由じゃ逃がさねぇよ。

俺も、こうなる事ぐらいは、多かれ少なかれ予想はしていたからな。



「あぁ、但しな。リスクがデカイ分、これは自分を変える絶好のチャンスだぞ。プロが、普通そこまでしてくれるのは非常に珍しいケースだからな。これを『綺麗になるチャンス』だと思うか『恥ずかしいから無理』と思って諦めるかは、自分次第って事だ」

「あっ……」


一瞬、自分には無理だと判断した女子が、俺の言葉で席に戻った。


ククク……矢張り、此処でも仲居間流は有効の様だ。

あの馬鹿や、要が言う通り、女の子にとっちゃあ『綺麗』『可愛い』『プロの指導』『自分を変えるチャンス』って言葉は、なにを置いても一番欲してる言葉らしい。


この言葉を吐けば、生半可な奴じゃ抵抗は出来無い。


もし抵抗出来る人間が居るとしたら、それは奈緒さんや、ステラ・クラスの、自分で何でもやってしまう女性だ。

それぐらい美意識や、自意識の高い人間じゃないと、早々これには抵抗は出来無い。


これを加味した上で、このクラスの女子を判断した場合、彼女達は、そこまでのレベルに達していないから、絶対に話に乗ってしまう。


これは、とある人から聞いた、実績のある確信だ。

(↑結局は崇秀・要・龍斗の受け売りなだけの俺)


しかし、まぁあれだな。

こう言う女子の反応を見ると、ホント、人を煽る事を得意とする仲居間流は有効だな。


ちょっと感心したわ。



「おっし。誰も辞める奴は居ないんだな」

「「「「「・・・・・・」」」」」


うむうむ。

漸く、事の重大さを理解したのか、みんな、神妙な眼になってきたな。


なにやら、視線から怖いぐらいの覚悟が伝わってくる。


女子のこう言う事に対する欲求って、ホントこえぇな。



「ねぇ倉津君、話を始める前に1つだけ質問して良い?」

「うん?なんだよ大谷?」

「なんで倉津君は、此処までしてくれる気に成ったの?」

「そりゃあオマエ、あれだ。本気でやる方が、結果が見えてオモシレェからだよ。それによぉ。うちのクラスの女子が全員レベルアップしたら、学校一女子が可愛いクラスになる訳だろ。そうなったらよ。なんつぅか、男子としては、学校に来るのも楽しくなるじゃんかよ」

「嬉しいんだ」

「おぉ、そりゃあ、勿論、嬉しいわな。これは、俺の勝手な幻想かもしんねぇけどよ。女子には、いつも笑顔で可愛くあって欲しいもんなんだよな」

「あっ……」


これ、マジ話な。


まぁ女子にしたら、こう言う男の幻想は、スゲェ迷惑な話かも知れないがよ。

男って奴は、どうしても、自然と女に幻想を抱いちまう悲しい生き物なんだよな。


だからよ。

せめて男は、女に幻想を背負わせる也に、彼女達には協力をしねぇとイケネェと思う訳だ。


まぁ事実を言えば、俺は、なんにも出来ねぇんだが、クソガキや、要先生への橋渡しぐらいは出来る。


だからこそ、この提案が出てきた訳だな。



「まぁまぁまぁまぁ、俺の糞恥ずかしい話は置いといてだな。マジで、みんなで頑張ってくれねぇか?やる価値は十分に有ると思うんだが」

『『『『『コクッ』』』』』


言葉を全く発さず、ただ全員が頷いた。

どうやら俺は、知らず知らずの内に、彼女達を本気にさせてしまったらしい。


しかしまぁ、なんだな。

凄いな俺。

なんで今日に限っては、こんなにベラベラ饒舌に話せんてんだろうな?


崇秀の悪霊でも、取り憑かれてんじゃねぇのか?


まっ……まぁ、その辺は良いか。



「んじゃまぁよぉ。話が納得出来たんなら、プリント最後に付いてるアンケートに、今の自分の全てを全部記入してくれ。但し、絶対、嘘は書くなよ。寸分でも狂いがあったら、全てが上手く行かないからな」

「「「「「うっ、うん」」」」」


おぉおぉおぉおぉ、みんなして真面目に書いてやがんな。


よし、なら、その間に……俺は、そんな真剣に書いてる女子を尻目にコソッと廊下に出た。


此処が上手く行ったのなら、早速、次の段階へ移行だ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


普段は奈緒さんや、ステラさんに振り回される倉津君ですが。

クラスメイトである同級生の女子に対しては、結構、上手く事が運べる様になってるみたいですね(笑)


これもある意味、序章での経験が生きてる証拠かもしれません。


さてさて、そんな中。

倉津君には、まだ、何か企んでる部分があるみたいですね。


一体なにをするのか?


そこは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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