332 女子を綺麗にする方法……っと言ってもなぁ

 文化祭の出し物が、自分が不意に放った一言が原因となって『メイド喫茶』に決定してしまうのが嫌な俺だったが。

同じ様に反論した【ブスの木根】が、女子に集中砲火を喰らってるのを見てられなくなり。

結局、彼女をフォローする形で『ブスでも綺麗に成る方法はある』と口走ってしまう。


それが元に成って『女子全員から綺麗に成る方法を伝授して欲しい』っと言う事に成ってしまう俺であった。


やっちまったよ(;´д`)トホホ


***


 結局、当初からは思いも寄らない最悪な事態になっちまったな。


しかも、あの後よぉ。

雛鳥の馬鹿が復活したと思ったら、イキナリ俺に『総合文化委員』なんて言う、訳のわからん、有り難くもない役職まで押し付けてきやがってよ。

断ったら、断ったで『民主主義に基づいて多数決』とかぬかしやがった。


ホンでよ、結果は、俺を除いた人間の『満場一致』で成立。


俺に、一体、どうしろつぅんだよ?


まぁけど、こうなってしまった以上、文句を言っててもしょうがねぇし。

取り敢えずではあるが、予定通り、氷村・武藤、両先生方に電話で相談しようじゃないか。


どうせ俺には、それしか手がねぇし……



『プルルルルル……プルルルルル……ガチャ!!』


おぉ、クソガキの奴、2コールで出やがったな。


思ったより幸先が良いな。



「うん?倉津のおにぃちゃんだよね?どうしたの?こんな時間に電話してくるなんて、なんか有った?」

「おぅ、糞ガキかぁ」

「ぐっ、イキナリ糞ガキって……まぁ、そんな事はどうでも良いや。そんで、結局、なにか有ったの?」

「オマエ、なにも言わず、俺を手伝え」

「ちょ……イキナリなんの話?話が微塵も見えないんだけど」

「良いか。これはオマエにとっても確実に美味しい話に成る筈だから、なにも言わずに俺を手伝え」

「美味しい話?美味しい話ねぇ……ふふん。なるほど、なるほど、電話の理由はそう言う事か。わかった。良いよ。その話乗った」

「マッ、マジか?」


おっ、なんだ?なんだ?なんだ?

俺が高圧的にモノを言った割に、余りにも話が上手く進むじゃねぇか。


なんでこんな上手くいくんだ?

(勿論、龍斗はある事を知っていて話に乗ったんだが、俺は、この時点では、その話は全く知らない)


・・・・・・


あぁ、そう言やぁ、あれだな。

以前コイツは、素直の件で、結構、良い思いしたんだよな。


なら、話に喰い付くのも、強ちおかしくは無いか。

(↑勘違いです)


いやはや、この分だと、今回は、なんか思い通りにアッサリ上手く行きそうだな。



「うん、マジ。その代り、美味しくないと判断したら、直ぐ辞めるよ」

「がっ!!」


……だよな。

世の中、そんなに甘くは出来てねぇよな。



「って言う事だからさ。取り敢えずは、詳細が決まったら、また連絡頂戴。その時に、話を一気に煮詰めて行くからさぁ」

「あっ、あぁ」

「うん、じゃあね。今、仕事中だから切るね」

「あっ、あぁ」


『プツッ』


本当に切られた。


いやいやいやいや、でもまぁファースト・インプレッションは悪くなかった筈だ。

後は、俺次第で、展開が良くも、悪くもなるって奴だな。


結論からして言えば……まぁ、結果は悪くない。


悪くない。


良し良し。

じゃあ、この調子ままで、武藤先生の方にも、ガツ~ンと一発、電話を入れてみっか。


案外、速攻で上手く行ったりしてな。


なんてな、なんてな。



『プルルルルル……プルルルルル……ガチャ!!』


うぉ!!コッチも2コールで出やがったよ!!

これは、ひょっとして、さっきと同様のコール数って事だから、龍斗のガキ同様、話が上手く言いくって神の啓示なんじゃねぇの。


うわうわ、期待大だな。

(↑勝手な妄想で、変な期待をする俺)



「あぁ、もしもし、俺、俺」

「死ね」


『プツッ』


うん?


あっ、あれ?

ひょっとして俺……武藤に『死ね』って言われた上に、切られた?


・・・・・・


チッ……あの野郎!!

なんの話かも聞かずに、イキナリ電話を切ってんじゃねぇぞ!!


苦情も含めて、もぅ1回電話してやる。


『プルルルルル……プルルルルル……ガチャ!!』



「オイ!!」

「早く死ね。もうこれ以上、無駄に二酸化炭素吐き出すな、この大気汚染」


『プツッ』


うわ!!今度も、言われの無い悪口を言われて、一方的に切られた。


この様子じゃ、明らかに、何かの理由で拒否ってやがるな。


ってか、アイツ、なんであんなに不機嫌なんだよ?

あぁつぅか、アイツは、平常時から、いつも不機嫌か。


じゃあ、しょうがねぇな。


気を取り直して……


『プルルルルル……プルルルルル……ガチャ!!』

(↑基本的に懲りない俺)



「ったく、なんなんだよ、オマエは?何回も、何回も、馬鹿みてぇに電話してきやがって、何の用だよ?」

「いやよぉ。折り入って、要ちゃんに頼み事が有ってよ。んで、電話した訳だ」

「断る。……つぅか、オマエ、なんなんだよ?その要ちゃんって呼び方はよ?」

「オマエの渾名。なんなら『カナちゃん』でも良いぞ。好きな方から選べ」

「オマエ、マジで死にたいらしいな。遺言が有るなら聞いてやってもいいぞ」

「いやいや、冗談じゃねぇかよ。まぁ、そうマジになって怒んなよ」

「チッ」

「つぅかよ。マジで、オマエにしか出来ねぇ頼み事があんだよ」

「はぁ?オマエの頼み事で『俺にしか出来無い』だと?」


おっ、此処に来て、漸く、重要な部分に喰いついてくれたな。


よし!!なら、此処で、もう一丁、武藤の気分を上げてみるか。



「おぉ、俺が、天才と認めるオマエにしか出来ねぇ事だ」

「チッ……っで、なんなんだよ?」


ヤリィ!!なんか知らんが、お世辞っぽく言った言葉で上手く行ったぞ。


いや、実はな。

これは以前に逢った時から、すこし思ってたんだけどな。

武藤って褒めると、ちょっとだけ嫌な感じが消えるんだよな。

まぁ、それも100%って訳じゃねぇんだけど、意外とコイツ、そう言う所だけは一般人ッポイ感覚を持ってるんだよな。



「いや、実はよ。学校の女子達に、オマエの話をしたら『そんな凄い人なら1回逢ってみたい』って言い出したんだよ」

「はぁ?」

「あぁいや、勿論、俺はな。『忙しい奴』だから、絶対に無理だって言ったんだがよ。どうしても逢いたいそうなんだよ。……だからよぉ。悪ぃけど、此処は1つ頼まれてくんねぇかなって話なんだよな」

「おい、デカブツ。オマエ、女共に、なんの話をしたんだ?」

「いや、知り合いに、プロのメーキャップ・アーティストが居るって言っただけなんだがな」

「っで?」

「いや、そんでよぉ。オマエの名前を出したら『絶対に逢いたい』って言い出したんだよ。つぅか、オマエって、そんなに有名だったのな」

「ったりめぇだろ。罷り也にも俺は、氷村のオッサンや、佐伯のジジィの専属でメーキャップしてんだぞ。だから、それぐらいの反応なら、メス共がしても、なにもおかしくはねぇんだよ。寧ろ、当然の結果だ」


……すまん。

本音だけで言えば、オマエが、そんなに凄い奴だとは知らんかった。


どうやら、思い付く適当な言葉を並べたのが、功を奏したらしい。


それにしてもだな。

俺みたいな葉緑体しか持たない頭脳でも、こんな奇跡が稀には起こるもんなんだな。


自分でも吃驚しちまったよ。



「いや、それは重々わかってんだけどよぉ。そこを何とか頼めねぇか?」

「チッ、面倒臭ぇなぁ。……っで、そのメス共に、なにすりゃ良いんだよ」

「3時間程、そいつ等に、メーキャップの何たるかを教えてやって欲しいんだよ。それだけでOKだ」

「いつだよ?」

「11月3日文化の日。出来れば、ウチの学校で頼みたいんだが」

「11月3日だと?それにテメェの学校でだと?……そいつはまた、豪く胡散臭ぇ日にちを指定して来たがったな。オマエ、俺になんか隠してんだろ」

「えっ?いや……」


ぐっ!!なんでわかった?


隠し事が下手なのは知ってたが。

なんで表情が見えない電話なのに、オマエには、そんな事がわかるんだよ?


オマエも『エスパー戦隊・仲居マン』の仲間か?


仲間だな……そうッスね。



「オイ、コラ、デカブツ。なに言い訳がましい事を言おうとしてやがんだ?こちとら、ナンもカンもお見通しだぞ。確か、その日って、テメェの学校の文化祭の日だろ。だったら、そこでなにを企んでやがんだ?怒らねぇから、正直に言ってみろ」

「いや、その、実を言うとだな……」


バレた以上は仕方がない。


正直に話そう。


俺は、今までの経緯を、洗い浚い武藤に話した。


***


「……ってな訳なんだよ。悪ぃが、マジで助けてくれ」

「ぷっ!!オマエって、ほんと噂に違わねぇ馬鹿なんだな。自分が出来もしねぇ約束すっから、そう言う事になんだよ」

「いや、馬鹿は、以前から重々承知してんだけどよぉ。なんか、見てられなくなっちまってよぉ。……そんなんじゃダメか?」

「いいや、そう言うのは、寧ろ、悪くねぇ感性だ。惨めなブスを救ってやるのは、男の仕事だからな。良いぜ。だったらその話、乗ってやるよ」

「おっ、おっ、マジかよ!!」


やっ、やったぁ!!

なんか今日は、なにをやっても上手く行く日だな、オイ。

まさか武藤が、こんな話に乗ってくれるとは夢にも思わなかった。


こいつ神だ!!



「但し、条件付だ」


ですよねぇ~。



「条件って、なんだよ?」

「そんなに難しい事じゃねぇ。お前のクラスの女子全員にダイエットを成功させろ。それが出来ねぇ様じゃ話になんねぇな」

「ダイエットか……けど、俺、ダイエットのやり方なんぞ知んねぇぞ」

「だと思った。まぁその辺は、俺が全て考慮してやっから、オマエは、明後日までに、クラスの女子全員のデータを、写真付きで俺の所に持って来い。俺が、そこからダイエット・メニューを作ってやんよ」

「マジか?わっ、わかった」

「おっ、じゃあ、まぁそう言うこったからよ。シッカリ頼んだぜ」

「サッ、サンキューな。……あぁそうだ。やって貰ってバッカじゃなんか悪いからよぉ。せめて、お礼をさせてくれ。なにが良いよ?」

「そんなもん、なんもいらねぇよ。今回は、オマエのその心意気を買ってやる」


オイオイ、マジでコイツ、スゲェ格好良い事をサラッと言いやがるな。


殆ど面識の無い。

それも、たった2~3回しか逢った事がねぇ相手に、中々こんな事は言えないぞ。


ヤッパ、崇秀のツレは一味違うぜ!!

(↑調子の良い事を言ってる自覚は有るんだぞ……一応)



「まっ、そう言うこったからよ。明後日、川崎まで、その女子共の詳細なデータ持って来いな。但し、必ず、そのデータにミスがねぇ様にしておけよ」

「おっ、おぅ」

「おっ、じゃあな」


そう言って、武藤は電話を切った。


しかしまぁ、安易に考えていた事が、なんかスゲェ大変な事になってきたな。

軽い気持ちで頼み事をしただけだったのに、武藤の奴、本格的に動いてくれそうな雰囲気じゃんかよ。


だったらせめて、少しでもそんな武藤の足引っ張らねぇ様に、俺に出来る事を早めにやっとかにゃあイカンな。


保険、保険。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


女子を綺麗にする方法の簡単な部分だけでも聞こうとして、龍斗君や、武藤さんに電話した倉津君でしたが。

電話の内容からして、奴等はガチで動き始めた様子。


これはまた、大変な事に成りそうな予感ですね(笑)


さてさて、そんな中。

せめて、そんな彼等の期待に応えようとしている倉津君は、何をするんでしょうね?


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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