第2話 売られたはずでは、、、?
連れていかれてどのくらい経ったのだろうか。
森の中を歩いているおかげか足が痛くなってきた。ずっと同じ景色に飽きてきた。
「いつまで歩くのよ、私を売っても大したお金にはならないわよ」
抵抗はしてみるものの男3人にかなうわけもない。
「別に売るだけが目的じゃねぇ。他にもできることはあるだろ」
男の1人が言ってきた。
「他のことって?」
「お嬢ちゃん、気になるのか?」
男がそういうとニタァっと笑った。
気味の悪い笑い方に怖くなってしまった。
それからまたしばらく歩くと男たちのアジトについた。
あぁ、私はこれからどうなるのだろうか。
どこか遠くに売り飛ばされるのか、ここでずっと
どっちにせよ私に明るい未来はない。
「頭領、例の者を連れてきました。」
やけに広い豪華な部屋に通され男が組織のボスと思わしき人に告げる。
「ご苦労。下がれ。」
そういわれると口の悪かった男たちはすぐに出ていく。
「お前の名は何という。」
「・・・」
「私が聞いていることが聞こえんのか?名は何という。」
絶対に教えるもんかと口を閉ざす。
男の目が殺気立ったのはこの私でも分かった。
このままでは殺されると思い、せめてもの抵抗で
「あなたの名前から教えてよ。」
「っは、威勢がいいねぇ。そういうの嫌いじゃない。気に入った。教えてやろう。俺の名前は
ここまで来たら教えなければいけないと思った。
「私は蘭玲よ。」
「蘭玲か。美しい名だ。はじめは東南アジアのほうに売ろうと思ったがよく見たらお前は美しい顔をしておる。惜しくなってきた。ここで尽くしてもらおう。」
ここで?一生?それなら売られたほうがましだと思った。
「それなら売られたほうがましね!」
「ははっ、やはりお前は私好みだ。」
そう言われ男は私の顔に向かって手を伸ばしてきた。
しかし、外がやけに騒がしくなる。
すると、
「頭領!大変です!」
一人の組員が入ってきた。
「なんだ!今取り込み中であるのが見たらわかるだろう!」
「ですが、紅竜が攻めてきました!」
「何!?紅竜だと?」
どこかの組織が攻めてきたらしい。
あぁ、よかったこれから起こるであっただろう想像もしたくないことが防がれた。
バンっと大きな音を立て、私たちがいる部屋に誰かが入ってきた。
「お前が飛東か。派手に金貸ししたな。すぐに足が付いたぞ。」
そこには少女と見間違えそうなほどに美しい男が立っていた。
「お、お前は、紅竜の
「そうだけど、今は自己紹介はいいよね?」
そういうと浩然と呼ばれた男が一目散に飛東に向かって歩いてくる。そしてどこから取り出したのか飛東の額に銃口が向けられていた。
その一連の動きはわずか数秒だろう。それでも私にはゆっくりに見えた。
浩然の一挙手一投足が美しく見えた。
気づいたときには拳銃が飛東の額を貫いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます