ボーナスステージ突入!

人をダメにするアイツ

 ごきげんよう皆様、ドッペルゲンガーです。


 いやもう、最近はめっきりと寒いわね…雪降るんじゃないかってくらい寒いわよねもう…


 っていうか、中の人(作者)の住んでる所、本日は初雪降ってたわよ。中の人は布団から出られなくて困ってたわよ、ほんとにもう。



 これは例えばの話なんだけども。



 お布団を男子とした場合、温か過ぎて出たくないし、こんなに無条件で、 何も言わずに包み込んでくれる存在なの。


 うん、理想の彼氏ね!


 もうお布団から出たくない。

 仕事はしなきゃだけど。


 もうお布団から出たくない。

 朝ごはんの準備ダルい。


 もうお布団から出たくない。

 朝ごはんがこっちきなさいよ。


 …


 はっ


 某ロックバンドの歌みたいになっちゃったわね。失礼したわ。冒頭の挨拶では、中の人は何しても良いと思ってるフシがあるから。


 お読みの皆様を戸惑わせてるのは重々承知よ?


 つまり、そのくらい、寒くて泣きそうなわけよ。

 お分かり頂けたかしら?(横暴)


 …


 で、散々お布団の話したけども。


 この部屋に足りない物があるのよね、まだあの子には言ってないけど。


「人をダメにするアイツ」がないのよ。


 それに最初に気づいたのは、先日お鍋作った時ね。あの時はテーブルに出して囲んだけども。


 足りないわよね、テーブルじゃないわよね。違うわよね。


 まあ、元々は一人暮らしの部屋だから無くて当たり前かもしれないわ。


 だって、ものぐさな人は、帰ってきたりダラけたい時は。ベッドに入っちゃうの。意外と本体ちゃんに縁がないのよ。


 出してくるのも、意外と手間だしね。


 でもまあ、あったらあったで。パラダイスなわけね。特に足なんかあったまって、そのまま寝ちゃうわよね。あ、また風邪ひかれても困るわけだけど。


 んー…そうね…本体ちゃんが帰ってきたら話してみようかしら。


 さて、みなさま、


 ここまで言えば「人をダメにするアイツ」が何か、お分かり頂けるわよね?


 …


 そんなこんなで脳内ナレーションしていたら、インターホンが鳴り響いてビクってなっちゃったわ。


 ああ、本体ちゃんが帰ってきたわ。そんな時間なのね。さて、玄関を開けてあげなくちゃ。


 カギをあけてドアを開けてあげると、カタカタと震えながら、のそのそと本体ちゃんが入ってくるわ。


『ただいまぁ~…さむぅい~…』


「おかえり。今日は急に冷えたわよね」


『お風呂沸かしてくるぅ~すぐに入るぅ~無理ぃ鼻水でるぅ~風邪がぶり返しちゃうぅ~~』


「そうね、私はごはん作るわ。シチューにしようとしてたんだけどいい?」


『わぁい~☆ あたしぃ~ごはん炊くねぇ~☆ シチューにかけよぉ~☆』


 13話で、ごはんにシチューをかけるようになって以来、とてもシチューにごはんは必須の我が家。


 しかしながら、本体ちゃんに料理(?)をさせるのは断固として防がねばならないわ。余計な掃除したくないもの。


「あ、ちょっと!あんたの料理能力だと、米炊くのすら危うい! 冷凍のあるから解凍して!」


『え~ひどいぃ~~ はぁい☆』


 事務服を着たままパタパタとバスルームに行き、お湯を溜め始めた本体ちゃん。その間に冷凍庫を覗いて、冷凍ごはんを取り出してくる。


 お皿に乗せてレンジに入れ、解凍ボタンを押すと、またバスルームに行ってしまったわ。


 その間に、ルーを入れて煮込んでしまおう。


 こういった時の私たちの連携は、やたらと良いわよね。さすが同一人物といったところかしら?


 フツフツとシチューを煮込んで、おかずももう1品つくっていると、思いっきりお風呂上がりな本体ちゃんが、キッチンに戻ってきたわ。


『ふにぃ~、お風呂であったまったぁ~』


「出るの早いわね…」


『あとでまた入るのぉ~』


「そうなのね…」


 シチューかけごはんとおかずをリビングにもっていくと、さっきまでの「人をダメにすアイツ」を思い出したわ。


 話し出すのは!いま!このときね!


「ねぇ」


『ん~?どおしたのぉ~?』


 既にシチューごはんを食べだしている本体ちゃん。お腹がすいていたのね… 私も食べつつ、ちゃんと話しかけないとだわ。モグモグ。


「この部屋、今、この瞬間。何か足りない気がしない?」


『ほぇぇ~?』


「寒い時に一番欲しくなるものよ」


『ほぇ~…甘酒ぇ~?』


「うんうん、よく初詣とかで配られてて暖まるわよね…って、ちがうわ!」


『えぇ~…ホットヨガぁ?』


「ああ、代謝があがって健康にもなれるわよね…って、ちがうわ! そんな設備いらないわよ!」


『さすがドッペルさぁん~☆ ノリツッコミ上手いねぇ~☆ ぱちぱち~☆』


「うるさいわね!? ちがうわよ! もっとあるでしょ!」


『ほぇぇ~?』


 さあ、この際よ!ハッキリ言わなきゃ!




「コタツよ!!!!!」



 言ってやったわ! そして、本体ちゃんは口にスプーンを運ぶのを止めてしまっている。かなりのカルチャーショックだったようね。


『そ、そう言えば無いぃ~! あんなにパラダイスな家具ぅ… うちに無いよう~…』


「あんた、今まで寒い時どうしてたのよ?」


『え~…エアコンつけてぇ~ お風呂入ってぇ~ お布団に入ってぇ~ 出ない~?』


「予想通りすぎたわ…」


『えへぇ~☆』


「コタツ欲しくない?」


『欲しい~!!!』


 急にテンションがあがる本体ちゃんに、私も少しずつテンションが上がっていくわ。


「むしろなんで無かったの?」


『んむぅ~…? 出すのメンドーだからかなぁ~?』


「これまた予想通り過ぎるわね」


『あとぉ~、寝返りうてなくてぇ~、無理やりやると板が持ち上がるぅ~』


「あるあるだわね 笑」


 シチューごはんを少しずつ食べながら、私も本体ちゃんももうコタツが欲しい気分になっているわ。


 だって現に今、もう足がコタツを欲しているもの。


「買っちゃおうか? ネット注文しとくわよ?」


 私の発言に、ハッとした顔になる本体ちゃん。スプーンを置いて、真剣な顔で私に語りかけてくるわ。


『あのぉ~… 一緒に買いに行ってみよぉ~?』


「はい?」


 何言ってるのかしらこの子は。


 本体とドッペルゲンガー。全てが同じ私たちが、一緒に行動できるわけなくない?


「何言ってんのよ? 無理に決まってんでしょ」


『あのぉ!あのぉ~! メイクとか服とか変えればぁ~! 一緒に行けると思うのぉ~!』


「メイク?」


『別人になれるくらぃ~メイクしたらぁ~! 一緒に歩けると思うのぉ~! 双子ってことにすればぁ~! 大丈夫じゃないかなぁ~!?』


 いつもより早口でまくし立ててくる本体ちゃんに、ちょっと圧倒されてしまった私は、少しだけ考えるわ。


「まぁ… 詐欺?変装?メイクなんて、動画とか見てればいくらでもあるものね。別人になるのはできるかもね…」


『そうなのぉ~!!! あのねあのね~、あたしね、ドッペルさんと遊びに行ってみたいぃ~!』


「そんな事思ってたの?」


『だってぇ~! もう友達の域も超えちゃってるもん~! 一緒に遊んだりしてみたいぃ~!』


「まぁ…断捨離終わったら、一緒に日帰り旅行しようって言ってたしね」


『それだってあたしが風邪ひいて全然してないしぃ~! この際ぃ~ まずはぁ~ コタツ買いに駅前に一緒に行ってみよぅ~! あたしは臨時ボーナス出たんだよぉ~? その他にぃ~ 冬ボの時期だよぉ~? あたしは無敵なんだよぉ~?』


 すごい勢いで食いついてくる本体ちゃんに、私もなんだかその気になってきたわ。


「えーと、じゃ、まずは… 変装メイクを覚えなきゃだわね…」


『よぉぉし~! 色々やってみよぉ~!』


 コタツが欲しいという話から、なんだか変な方向に話が行ってしまったけれども…


 とりあえず、シチュー食べましょうかね…

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ドッペルさんと本体ちゃん 哉子 @YAKO0919

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