あ、LINEきちゃった??

 皆様ごきげんよう、ドッペルゲンガーですわ。


 いやはや、今日は目が覚めたら午前10時。随分とゆっくりと起きちゃったわね。


 本体ちゃんは今日もお休み。

 おかゆは作り置きしてあるし、本体ちゃんも起きる気配が無いし、朝ごはんの用意はしなくていいかな…なんて思ってたら、気を抜いちゃってこんな時間よ。


 たまには良いかもね。だってもう、昨日は大変だったし。


 午前中は、本体ちゃんの会社に代わりに出勤して、色々やらかして(?)から帰ってきて。


 風邪っぴきのあの子の面倒をみてから、PCをチェックして、コーヒーを吹き出しそうになるくらい、どちゃくそたまってた依頼メールを全部見て、全部に返信して、正式依頼が来た順からこなしていって…


 まだ全てが終わってるわけじゃないけど、ドタバタし過ぎて、もう寝てしまっていたわよね。


 まだ依頼はこなしきれてないけど、今日は私も少しだけ、ゆったりと過ごしたいわ。


 といってもね、仕事は待ってくれないけども。まあそこは、フリーランスの采配でなんとかするけども。


 スコーン片手に紅茶飲む位はいけるわよね…

 まあ、今、スコーンなんて無いけども←


 さて、それは置いといて(置いとくんかい)


 あの子もしっかり寝ていたせいか、昨日よりはだいぶ良くなってきたみたいね。暇になってきたのか、ちょこちょこと動き回ってるわ。


 こーゆー時がぶり返すのよ… 動きたくなるのはわかるけど、しっかり休みなさいよね…


「あのね、まだちゃんと寝てなさいよ」


『なんか良くなってきたからぁ~』


「うん、声も戻ってきてるわね…変な濁点が無いわ。でもね、治りかけがまた危ないのよ」


『ん~そうだけどぉ~』


「まぁ、たまにはしっかり休めって事よ」


『だってぇ~寝てるのも飽きたからぁ~』


「飽きるとかの問題じゃないのよ」


『あ、そうだぁ~☆ あたしぃ~、お昼ご飯作ろうかぁ~?』


「ちょ、え!? それは絶対に断るっっっ!!!!」


『えぇ~~?』


 みなさま、お忘れかもしれませんが。この子の料理能力は殺人級なのよ。ハンバーグを爆弾?散弾銃?にできるくらいなのよ。任せたら大変な事になるの…


 まあでもこの子、食欲出てきたみたいだから、しっかり食べられる物でも作ってあげようかしらね。


 コーヒーを飲みつつ、ソファでまったりしていると、ベッドでポチポチとスマホをいじっていた本体ちゃんが、急に変な声を出したわ。


「どうしたのよ?」


 こっちを見た本体ちゃんが、何か不思議そうな表情でスマホ片手にこっち来たわ。


『ねぇ~?ねぇ~?』


「んー? なに?」


『あのぉ~仲良し同期ちゃんからぁ~こんなLINEきたんだけどぉ~?』


「あ」


 LINE画面をこっちに向けてくる本体ちゃん。


 …うん、そうよね、まあ、そうなるわよね…



〔昨日はスカッとしたし! ぐっじょぶd(˙꒳​˙* )〕


〔上司がなんかね、ちゃんと考えてるみたいだよ!良かったじゃん!(˙ᗜ˙)〕


〔昨日は様子も変だったし、体調やばそうだし、ゆっくり休んでねーヾ(・ω・`*)〕


〔治って来れたらランチ行こーね♡〕


 あー…


 本体ちゃんに色々と言うの… 忘れてたわね…


 あー…


 ちらりと本体ちゃんの方を見ると、じとーっとした目でこっちを見つめているわ。


 うん、言いたいことは分かるわ。


 分かる、分かる、大いにわかる。


『ねぇ~…? これなぁに~…? 何してきたのぉ~…?』


「べ、別に何もしてないけど? うん、説明しようとは思ってたんだけどね、ほら、あんた具合悪そうだったから? 治ってから説明しようとは思ってたのよ。あは、あはは…」


『なぁにぃ~?』


「いやその、あの営業野郎がね…」


『あぁ~LINEもらったやつぅ~?』


 昨日送った画面を表示して、こっちに見せつけてくる本体ちゃん。


 いや、冷静になって見ると、こんな事聞くの、確かにおかしいわよね、うん。


『なにぃ~? なんか暴れてきたのぉ~?』


「いや、だってさぁ! あんた、やんなくていい仕事押し付けられてたのよ!?」


『ほえ~? そうなのぉ~?』


「普通、あんなに代わりにやる業務じゃないのよ!?色々聞いてみたらあんた、引き継ぎ関係で色々と独自に管理してたんでしょ!? それで、自分がやる物だって思い込んでたんでしょ!?」


『ほえぇ~?』


「色々聞いてきたけど! あんたがやってること、既に事務の域じゃないのよ!」


『ほぇぇ~…? そうなのぉ~?』


「しかもあの営業野郎、あんたがやった積算からなにから、成果を横取りしてたのよ!?」


『えーとぉ…? 横取りぃ…? されてたのぉ…?』


「そうよ! それでいて、営業野郎がね、こんなにあんたが頑張るのは、自分を好きだからだって、勘違いしてたのよ!」


『えー… それは無理ぃ…』


「あんたが頑張ってやったやつなんだから、ちゃんと周りに知らせないとでしょ!?」


『まぁ… そうなのかにゃぁ…? よく分かんない~…』


 謎を浮かべた表情の本体ちゃんに、私もちょっとひと息ついて、冷静を取り戻すわ。


 すーはーすーはー


 よし


「といっても、強く訴えてもアレだと思ったわけで」


『ほむほむ~』


「なんでね、ちょっとだけ見積もりいじって、もっと良い案があるんです~って言って、営業野郎を通さないで、上司さんに言ったわけよ。あんたの上司さんは頭の回転が早そうだったから、色々と明るみに出るかなって思ったわけ」


『ほぉぉ…』


「で、案の定、ズルズル~っと今までの流れが全部バレたわけよ」


『あにゃまぁ~…』


「なんで、私が暴れた訳じゃなくて、営業野郎の自業自得が生んだ事なのよ!」


『あう、そうなんだぁ~…』


 ほえーっと、アホくさい顔になる本体ちゃんに、私もため息をついてしまうわ。


「しかもね、あんたが営業野郎に振り回されてるの、周りもちゃんと見てたみたいよ? 仲良しの同期さんなんて、何回もアピールしてたらしいじゃないの」


『えぇ… わかんなかったぁ…』


「本人が気付いてないんじゃねぇ… 周りだって、何とも動きようがないわよ。なるべくしてなったって感じだったわよ?」


『あはぁ~ そうだったんだぁ~…』


「まぁ、ざっと説明するとそーゆー事だから。仕事行った時によろしくね。あ、見積もりは少し変えちゃったし、担当欄はあんたの名前にしてあるから、確認しといてね」


「うん~、わかったぁ~、ありがとぉ~」



 まあ、ちょっと焦ったけど、とりあえずは伝えられて良かったわ。


 ……あ。


 営業野郎に啖呵切ったこと… 言ってないけど…


 えーと、えーと…


 ま、いいか(白目)


 お昼作ろうかしらねー(白目)

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