MajiでButi切れ5秒前

 ごきげんよう皆様。ドッペルゲンガーです。


 目の前に居る嫌いな奴を煽って煽って、クソほどテンションが高いのを隠して本体ちゃんのフリをしている所ですわ、ほほほほほ!


 まあ、この謎な状況の詳細は、前回を読んでくださいね、ほんと。説明しようがないわ←


 そして、この嫌いな奴…もとい、営業野郎! 散々と本体ちゃんを利用していたこの野郎…


 落とし前つけてやるわ!


 とか思ってると、何か言いたげな営業野郎が、イライラしながら2本目の煙草をチェーンスモークしながら、暴言を吐いてくるわね。


 負けるものか… 煽ってやるわ!!!


「お前さ、なんで今回に限って言うこと聞かねぇんだよ! いつもは色々と俺に聞いてきて、全部やってたろ!?」


「ええー…? だって、大事な案件を無事にこなすのが優先じゃないですかぁー?」


「…だから、俺を通さないと意味ないだろうが!」


「特になにも支障はありませんでしたよぉー?」


「なんだよ! 今まで、俺のために動いてたろ!?」


 ……ん? 俺のため? は? いや、誰がどう見たって、コイツの為に動くわけないじゃない


「えーとぉー、俺のためってぇー?」


「お前、俺の事好きだろ!?」


 …


 …


 …


 …


 …


 は??????


 え、は?


 え、今の日本語? どういった事かしら???? いやいやいやいや、何言ってんの、この人?


 いや待って、本体ちゃんの意向を聞いてなかったわけだけど。それは確かめようがないけども。


 ただ、一つだけ言える。


 営業野郎は、まっっったくもって、畑トモヒロには似てない!!!


 本体ちゃんが惚れるわけないわ! …えーと、一応確認しておこうかしら?


「あ、えっとー、ちょっとLINEするんでー、その話はストップでー」


「は? こんな話してる時に俺を待たせんの? お前バカか?」


 え、本体ちゃん、絶対こいつに惚れるわけないわ! 急いでスマホを出して、ポチポチポチポチ!


〈ちょっと起きて! 単刀直入に確認するわ! あんた、営業さんの事好きとかだったりする?〉


 LINEを送った途端、既読が付いたわ。起きていてスマホでもいじってたのかしら?


《やっほ~☆ えーとぉ、営業さん?⊂( ・ω・ )⊃ 好きとかぁ? なにそれぇ~意味わかんない~(* ᐕ)? 営業さんを好きになる人いたらぁ、見てみたい~☆ やだぁ~、そんな事あったらぁ、マジ黒歴史~☆》


 確定。


 営業野郎の妄想ね…本体ちゃんが自分の事を好きだと思い込んで、それを利用して、仕事をさせていたのね…!


 本体ちゃんはただ「仕事だから、そーゆーもの」だと思ってやってただけなのに…


 あ、同僚さんが言ってた「勘違い」て… これのこと!


 色々と繋がったわ… この高圧的な態度も説明がつく。このモラハラ野郎…!


 許すまじ。やってやる… やってやるわ!


 スマホの録音ボタンをさりげなく押してからポケットにしまって、とびきりの笑顔で営業野郎の方に向き直るわよ。


 既に3本目の煙草に火をつけているコイツ。このまま肺をやられてしまえばいいのに…


 それでも本体ちゃんのフリに磨きをかけて、ワザとらしい笑顔を作り続ける、私ったらもう。


「あ、お待たせしましたあー。 それでぇー、誰が誰を好きとか言ってましたぁー?」


 頭をガシガシと掻きながら、煙草を持った手でこちらを指さす営業野郎。失礼にも程があるわね…


「だ!か!ら! お前、俺の事好きだろ? だから今まで大人しく言うこと聞いてたし、頼ってきただろ? 今まで色々世話してやってんのに、なんで今回はこんな事してんだよ!」


 …


 …


 …


 うん、笑顔でいるの無理。無理だけど、がんばるわ。みなさま、冷静に本体ちゃんのフリを続ける私への応援よろしく。


「あ、あのぉー、すごく失礼ですがぁー… あのぉー、私は仕事を遂行しているだけでぇー、恋愛とかそういう感情はぁー、えーとぉー、特にはぁー」


「いやいや、お前。前に、俺の為に頑張るって言ってただろ?」


 あ、勘違い乙。


「えーとぉー。多分なんですがぁー、営業さんが受け持つ仕事が円滑に渡せるように頑張るって言ったかとおー」


「それって、俺のために頑張るってことだろ? 誤魔化すなよ」


 あ、勘違い乙(2回目)


「あ、あのー、それってぇー、営業さんのためじゃなくてー、会社のためであってー」


「なのに、今回は上司にまで話通しやがって… 次は上司か? あ? 」


「次は? ってー?」


「上司に取り入りたいんだろ? だからこんな事してるわけだろ?」


 …


 …


 …


 あ、無理。


 応援してくれたみなさん、短い間でしたけど、ごめんなさい。冷静になれません。


 本体ちゃんのフリ、卒業します。


 その前に、スマホの録音を止めてっと。ポチ。




 すうーーー(深呼吸)




「あのねえええええ!! あんたねえええ!!」




 いきなり大声を出した私に、馬鹿みたいな顔になる営業野郎。 ははは…もっともっとやってやるか。


「え?お?あ?」


「勘違いも甚だしいわ! こっちは真面目に仕事してんのよ! あんたの勘違い持論に付き合ってらんないの! ただ自分の為に仕事してんのよ! 今まで積み上げた信頼で、取引先に迷惑かけないように、耐えて頑張ってきてんのよ! あんたのためなんて0パーセントぉぉー!!!」


「え? え? え?」


「こっちが頑張ってて気づかないのをいい事に、勘違いしてる上に、仕事押し付けてサボってるとか!? パワハラど真ん中じゃないの!そんで状況が不利になったらこっちのせい!? モラハラじゃないのよ!? 誰が仕事を円滑に進めてやったと思ってんのよ!? あんたバカぁ!?」


「え、あの?」


「いっちょ前に仕事してから言いいなさいよ! この役たたずの給料ドロボーがぁ!!!!」


「え、あ、お?」


「あー、やってらんない、帰るわ。あとは上司にこってり絞られなさいよ? 性根叩き直してもらいなさい、この勘違い野郎!」


「えー…」


「あと、さっきの会話、録音してあるから。今後、なんかあったら皆の前で流してやるからね。それが嫌なら、この後戻って、私に迷惑かけないように仕事しなさいよ? わかったわね?」


「は、はい…」


 戸惑いながらポカンとして口から煙草を落としている営業野郎を後に、ツカツカと非常口から会社内へと戻っていくわ。


 ほほほほほ!!!

 言ってやったわ!!!


 …


 …


 …


 あ、冷静になってきたわ。えーと、言ってやったのはいいけど、営業野郎には豹変したように見えたわよね、うん、どうしよう。


 えーと



 えーと



 えーと…



 よし、無かったことにしよう(にっこり)



 マスクをかけ直して、具合の悪いフリをしてっと…


 さーて、帰ろっかしらー(白目)


 あ、本体ちゃんに栄養のとれるものでも買っていかなきゃだわー(白目)

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