改めて…私らって、なんなん?
ごきげんよう。
私は今、なぜかフローリングにラグ敷いて、クッションにもたれかかって、エアコンをガンガンかけて、毛布にくるまって、コンビニごはんと大量のお菓子を前に映画を観させられています。
この状況になった詳細は、前回をご覧になってくださいね。本体ちゃんのテンション、急展開すぎて説明しづらいのよ。
簡単にいうと、部屋が綺麗になったんで、フローリングでゴロゴロしながら映画見てるだけなんだけども。
よくこんなん、小説にするわね←
そんで、まあ。
目を輝かせて嬉しそうにしている本体ちゃん。ゴロゴロして、借りてきた映画を観つつ、お菓子食べまくって、やたら喜んでるけども。
着実に部屋は汚れている… くっ!
断捨離終わったばかりなのに、食べたあとのゴミをそこらへんにポイポイしてるわ。
せめて、ゴミ袋を用意しなさいよ! だから汚部屋になるんじゃないのよ!
まあ、映画を観てるからね、ゴチャゴチャはいいませんけども。後で片付けさせよう…うん、そうしよう。
そして、観てる映画と言えば、これがまあ、ドッペルゲンガーものなのよね。ね、これ、私に喧嘩売ってんのかしら?
まあ、ゴチャゴチャ言いません(2回目)
それにしても、ドッペルゲンガーがテーマの映画って意外とあるのよね。本来は都市伝説とか怪異現象なわけだから、テーマとしては取り上げやすいのかもだけど。
なんて考えてるうちに、本体ちゃんがリモコンで一時停止したわ。トイレかしらね。おちっこぉ~とか言いながら、もぞもぞとトイレに行く本体ちゃんを眺めてると、なんだか気が抜けてくるわ。
黙って映画を観るのにも少し疲れたわね… 小休止に、バタバタと戻ってきた本体ちゃんに話しかけてみましょう。
「あんた、なんでこんなにドッペルゲンガーものにしたのよ」
『えぇ~、なんかぁ~? あたしたちってぇ~よくあるドッペルゲンガーの関係じゃなくなぁい? 他はどうなのかなって思ってぇ~でもぉ~参考になるようなものってぇ~、映画とかぁ~ぐぐったりとかぁ~だからぁ~観てみようかなってぇ~☆』
どうやら、この子はこの子なりに、今の私達を解明しようとしてるのね。
「ドッペルゲンガーの関係性ってがそもそも普通じゃないけどねら私が言うのもナンだけど」
『そぉだよぉ? そもそも、ドッペルさんがドッペルゲンガーなんだよぉ?』
「う… 文脈はよく分からないけど、あんたの言いたい事はわかる… なんとも言い返せないわ…」
毛布にくるまり直し、ジュースを一気飲みするこの子は、興味深げな顔になってこっちを覗き込んでくる。
『ね、何回も聞くけどぉ~、今までぇ~どうやって生活してきたのぉ?』
「秘密だってば」
『そぅやってさぁ~、いつも答えないもんねぇ~?』
テレビの方に向き直ってリモコンのボタンをまた押すこの子。先程の続きが流れはじめるわ。
ちょうど、主人公と、そのドッペルゲンガーが対峙しているシーンに差し掛かっている。
恐怖しながらもドッペルゲンガーに立ち向かう主人公と、ニヤニヤと笑いながら、主人公の命を狙い、取って代わろうとするドッペルゲンガー。
うーん… 殺伐としてるわねぇ…
「このシーンは争うのよねぇ… ドッペルゲンガー仲間は、本体と会った瞬間に、シュッと入れ替わったって言ってたけどねぇ…」
『ってゆうかぁ~? ドッペル仲間って概念おかしくなぁい~? どゆことぉ~?』
また映画を一時停止し、私に話しかけてくるこの子。
独り言をした私も迂闊だったけど、つっこんでくるこの子もこの子だわ。
「まぁ… さわりだけ言うわ。私はドッペルゲンガーの集まってる所から来たわけ。それまではそこで普通に生活してたのよ。それぞれに時期が来ると、入れ替わりに出るのよね。仲間っていうのは、そこで仲良くしてたドッペルゲンガーの事よ」
『ほええ~…そんな事あるんだぁ~』
「本来ならね、そこから出たら、ドッペルゲンガー同士の交流は持っちゃダメなんだけど、まあ、こっそり入れ替り先くらいは聞くわよね」
『ルールは破るためにあるもんねぇ~☆』
「いや…まあ…」
けっこう大事な話をしてるつもりなんだけど、この子はだいぶ違う方向に話を持っていくわ…
また映画を流し始め、しばらく観ていると、本体ちゃんはぼそぼそと呟いてくる。
『こーゆー映画観てるとさぁ~?』
「うん?」
『みーんな、死んじゃったりぃ、怪我したりぃ、消えちゃったりぃ』
「まぁ、そうなっちゃうわよね」
『でもぉ、協力しちゃったらぁ、お仕事とかが2倍速になったりぃ』
「あー、ある意味、自分が2人だったらな~みたいな夢が叶ってるわけだもんね」
パリパリとおせんべいをかじりつつ、のほほんと感想を言い出すこの子。
わたしも釣られておせんべいに手を出してしまう。パリパリと音が響くなかでも、モゴモゴと喋るこの子。
『なんでぇ~、あたしたちぃ~、こんなに全然違うんだろぉ~?』
「そうなのよねぇ…」
『しかもぉ、普通に過ごしてるじゃなぁい~?』
「謎なのよ…」
『まずぅ、ドッペルゲンガー自体が謎だけどねぇ~』
「私に言わないで… 分からないのは私もなんだから…」
『あたし的にはぁ~? ずっとドッペルさんに居てもらえると助かるんだけどぉ~☆』
「…一応、入れ替わる予定なんだけどね…」
『だって、入れ替わらないじゃないぃ~? なんでなんだろうねぇ~?』
「いやもう、本当に謎なのよ。会ったら入れ替わり完了するって聞いてたから」
『インストールみたぃ~☆』
「自動でインストしないアプリみたいなものかしらねぇ、今の私達… そしてやり方が分からないっていう」
のほほんとケラケラ笑う本体ちゃんに、苦笑を漏らす私。本当に対照的だと思う。
『このままぁ~、双子ってことで良くないぃ?とか思っちゃうう~』
「双子にしてもね、同じ顔すぎるのよ、私たちは」
『もおお、わけわかんなぁい~』
「まぁ、よく分からないことは置いといて、とりま、おやつ食べましょ」
『はぁ~い』
映画も途中で飽きてきたのか、毛布にくるまったまま足をパタパタさせるこの子。目の前にあるチョコレートに手を出しながら、語りかけてくるわ。
『ねぇ~、今度さぁ?』
「ん?」
『生活交代してみよーよぉ☆』
「は?」
『できそうじゃなぁい!?』
「いや、まあ、ど、どうなんだろう?」
『やってみよぉ!やってみよぉ!』
「いや、まあ、えー… あんたの職場とか知らないし… 人間関係も知らないし…」
『今度、あたしのお仕事とかぁ、いろいろ教えるねぇ☆』
「え、ちょっとまってよ、やるとは言ってないわよ!?」
『だめぇ、決めたぁ、面白そう☆ ドッペルさんの事もちゃんと教えてねぇ~? やってみるからぁ~☆』
「ねええええー!? 話聞いてる!?」
ああ…この子と話してると、話が急展開すぎるのよ…
でも、なんかもう、細かいこと考えるの、ダルくなってくるわよね。ドッペルゲンガーが何かなんて、もしかしたら、お互いを知らないと答えが出ないのかもしれないわ。
今はまだ、時期尚早な気もするから。
とりあえず、おやつ食べよっと。
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