すれ違いのフローリングワイパー
ああ…達成感が…
ハンパない!!
(クソ大声)
不要だった物がどんどん無くなり、代わりにスペースができる。日常的に必要なものを使いやすい場所に置き、スッキリとまとまっている。
うーん…
とても良きだわね!!
(クソ大声 2回目)
あ、しまった、いつもの取り乱しをしていたわよ?ご覧の皆様ゴメンなさいね。まあ、いつものことなんで。
ざっと状況説明するわね?
二人でハピコを食べて、そのまま力尽きて寝てしまった昨夜。のそのそと起きてから、なんとなく朝ごはんを食べて、疲れからかダラダラとしていたわ。
ビバお休みの日。まあ、私は好きなように休みが取れるフリーランスだけども。今日はもう動かなくていいかな…
…
はっ!
ダメよ! ここで休んでしまったら、断捨離なんて一生終わらないわ! やらないと!
まだのそのそしている本体ちゃんを起こして、テキパキやるわよ!
「さあさあさあ!!!」
『ほへぇ…?』
ベッドから起きてきて、またソファでぐったりしているこの子にハッパをかける。寝ぼけ眼がすぎるわね、本当に。
「色々片付いたし、今日は掃除機かけるわよ!」
『えぇ~今日はもういいよぉ~』
「だめ! 一生やらなくなる! 今日やったらね、明日から楽になるわ!」
『んにぃ、わかったよぉ~』
「掃除機、掃除機っと」
ちょこちょこと使ってるせいで、リビングの端っこに常にスタンバイしている掃除機に手を伸ばすと、本体ちゃんがハッとした感じで声をかけてくるわ。
『まってぇ』
「ん?なに?」
『先にフローリングワイパーだよぉ』
「は?」
『そうじゃないとぉ~、掃除機でブォーってなっちゃうう~』
「え、掃除機かけてからじゃないと、意味無いじゃない?」
『ちがうよぉ、先に、細かいの集めてからだよぉ』
「?」
『?』
セロリタイムとも、なんとなく違うような会話に、私も頭にハテナが飛んでしまう。
「え、へばりついて髪の毛とか吸わなくなるわよね?」
『ほえ~? むしろまとまってぇ~、吸いやすくなるよねぇ~?』
「?」
『?』
きっと私たちいま、ハニワみたいな顔をしているわね。なにがどうなのかしら?
スマホを取り出して、なんとなく調べてみる。この違和感の正体はなんなのかしら?
さて、ぐーくるぐぐる。ポチポチポチポチ。
とりあえず画像でも見てみる…
ああ…なるほどね。
「わかったわ、なるほど」
『なにぃ~?』
「私たちの思い込みって怖いわね」
『ほむぅ~?』
ぐぐって出てきた画像を見せながら、私はこの子に説明をし始めちゃうわを
「私が言ってるのは、ウェットタイプの事ね」
『あたしはぁ、ドライタイプぅ~』
「ああ、そうか、そういえばドライタイプなんてあったわね…掃除機使って拭き掃除のイメージだったからわ、忘れてたわ」
『ウェットタイプとか使ったことないい~~ドライタイプでささ~っと掃除すればOKだもん~~』
フローリングワイパーだけで、こんな用途の違いなんてあるのかしら?って言うくらい、私たちも使い方が違ったわね。
ちなみに余談ですが。この違和感の元ネタは、中の人が以前働いてた会社の後輩ちゃんとの会話です。
話を戻して。
「通りで噛み合わないわけだわ」
『むしろ、なんでこんなに種類あるのぉ~~?』
「なんなのかしらね…え、すご」
『んにぃ~?』
「ドライ、ウェット。ここまでは分かるけど… ツヤ出しワックス? 香り付き? 凹凸加工? ミクロ構造?」
スマホに表示される検索結果を眺めて、本体ちゃんは頭を抱え出すわ。
そんな難しい問題でもないけど、家事が苦手なこの子からしたら、未知の世界なのかしら。
『まってまってまってぇ、もう無理ぃ、把握無理ぃ』
「色々あるのねぇ、試したくなるわ」
『結局ぅ~? どうすればいいのぉ~? 正しいやり方ぁ~~~』
オススメの方法をぐぐぐぐっとしてみると、予想外に多い情報が出てくる。とりあえず1番上を見てみると、王道の方法が出てくるわ?
「ドライで集めて、掃除機かけて、ウェットで仕上げるんだって。私たちのやり方をミックスした感じねぇ」
『ふぇ…そこまでやらないとかぁ…』
「まぁ、大掃除だと思って、やりましょうね」
『はぁ~い』
「やる気だしていきましょ! 広くなって気持ちよく横になるのよ!」
『むにぃ~~』
しぶしぶとフローリングワイパーを取り出して、どこからかドライタイプを出してきてセットしだす本体ちゃん。
さて、それを追いかけるように、私も掃除機をかけてっと。
それにしても、お掃除ひとつにも、こんなにやり方あったのねぇ。
方法はひとつじゃないってこと、とても興味深いものだけど。私もまだまだ情報不足ね。
それにしても…コレ…
仕事になるわね!!!!!
なんたってもう、色んな比較をして、レビューなんてしてみたら! SNSで拡散なんてしてみたら! どこからお声がけくるかしら!!!
ほほほほ!
そう思ったら、細かくメモしておかなくては!
あ。
しまった、仕事人間のクセが… 純粋に掃除をしたいだけなのに、なんでも儲ける方に思考がいってしまうわね…
まぁいいわ。何事も経験ってことで。
この先なにがあるか分からないんだし、知識をつけとくのは良い事だからね。
さ、綺麗な住み良いお部屋を目指して、あとひと踏ん張りよ!
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