小物が増える現象の解明っっ!

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 …はっ


 あれ?私?寝ていたかしら?


 あ、おはようございます、ドッペルゲンガーですよ。いつものドッペルゲンガーですわ。


 えーと、昨夜はたしか…?


 あの子に大量の紙袋の事を話して、リメイクするってことになって、なんか疲れて、ソファに座って…


 ああ、それからの記憶がないわ…

 疲れてたのかしらね。ぐっすり寝てしまったわ。


 いま、何時かしら? まだ、早朝な感じがするわ。


 ん? あら、毛布がかかってるわね… あの子が掛けてくれたのね。自然に出来ちゃうそーゆーところ、あの子のすごい所であって、私が入れ替われないと思ってしまう所なのよね…


 おや?


 あらまぁ、ラックに紙袋BOXがたくさん出来てるわ。え、すご。全部同じ大きさで統一して、グラデーションで並べてある。


 全部あの子が作ったの? 予想以上にすごいわね…

 なんでこんなに細かい芸当ができるのに、整理整頓はできないのかしら?


 それにしても、流石だわ。…あら、これ、何か商売にならないかしら? エルカリとかで出品してみたら…


 っと、ダメダメ。 すぐにそっちに思考がいくのは、私の悪いだわ。


 ダメよ~ダメダメ。


 ……


 古いネタをしたところで、あの子の様子を見に行くと、ベッドですーすーと寝息を立てているわ。


 あの紙袋BOXの量からして、結構遅くまでおきてたんじゃないかしら? 今は寝かせておきてあげましょ。


 とりあえず、あの子がいつ起きてもいいように朝ごはん用意してっと。 簡単にハムエッグとトーストでいいかしら? とりあえず作って置いときましょ。


 さてさて、あの子が寝ているスキに、再びクローゼットを確認しておきましょう。


 いつもはそんなによく見ることはないけど、細々とした物をたくさん、テキトーにカラーボックスに放り込んで積み上げてるのね。


 これで片付けた気になるわけよね、片付けられない人の特徴だわ。


 では、ご開帳。


 ゴソゴソゴソゴソ…

 ゴソゴソゴソゴソ…


 …


 …


 うん、予想はしてたけど。


 一部のラインナップをご紹介するわ。


・同じような爪切り4個

・謎の単四電池14本

・使いかけリップクリーム4本

・微妙な残りのガムテープ2本

・何故かあるハサミ3本

・コスメサンプルが数え切れない程


 etc


 ふふ…


 ねえええええー!? なんで!? なんでなの!?


 爪切りなんて1個で良くない!?

 リップクリーム!?

 ガムテはなんなの!?

 サンプルはなんでこんなにあるのよ!?


 セロリタイムとかいう問題じゃないわ!

 価値観とか関係ないわ!

 なんでこんなに溜めこめるのよー!


 あの子を起こさないように静かに心で叫んじゃうわ、ほんとに。たぶん今の私、眉間にシワが寄りまくって、メンチ切ってるみたくなってるんじゃないかしら?


 と、そんなこんなしてたら、寝ぼけ眼のあの子がノソノソと起きてきたわ。寝ぐせなんかつけちゃって欠伸をしているあの子に聞いてみないと!



「おはよう!!!」


『おはよぉ~………朝から元気だねぇ~……』


「朝ごはん作ってあるわよ? そして聞きたいことが!」


『ドッペルさんのテンションが高ぁい…』


 テーブルにラップをかけて置いておいたハムエッグを見ると、本体ちゃんは少し目を覚ました様子ね。


『朝ごはん美味しそう~… いただきまぁす~~~』


 マーガリンを塗っておいた食パンをトーストしてやって、半目でぼーっとしているこの子の前に出してやる。


「どうぞ召し上がれ。 で、それでなんだけど!」


『なぁにぃ~? モグモグ』


「クローゼットのカラーボックス! 爪切り4本ってどーゆーこと!? 単四電池も大量だし、リップクリームって!」


『ああ~~~、なるほどぉ~~? なんか無いと思ったらぁ、クローゼットにあったんだねぇ~~? モグモグ』


「は?」


『なぁんかぁ~? すぐに無くなるんだよぉ~ モグモグ』


「つまり、片付けるつもりで、とりあえずクローゼットのカラーボックスに放りこんで? それを忘れて、無くしたと思って買ってきてる…?ってこと?」


『そうかもぉ~ モグモグ』


「ああ~~! 物が増える典型的パターンね!」


『えへへ~~~ モグモグ』


「だからって、リップクリームは腐るわよ?」


『え~?食べ物じゃないしぃ~、大丈夫じゃなぁい~? モグモグ』


「なんか衛生上イヤ。捨てるわよ?」


『やだぁ~ モグモグ』


「そのうちゴミ屋敷になるわよ…?」


『ドッペルさんがいるからぁ~大丈夫~ モグモグ』


 少しづつ半目から3分の2くらいまで目が開いてきたこの子は…! 私になんでもやらせる気なんだから!


「ってか、話してるのに、食べるの止めないわね!」


『美味しいから食べたいもん~ モグモグ』


「いやまぁ、光栄だけどもね!」


『モグモグモグモグモグモグ~~』


「とりあえず、捨てられそうなものは捨てる! コスメのサンプルなんて、なんであんなにあるのよ! 捨てるわよ!」


『だめぇ!使うの!!!!!』


 急に食べるのを止めて、目を全開にしてこっちを見据えてきたこの子。


 ワケわからないわ。


「ええ… この子のテンション上がるポイントが分からない…」


『あーゆーのは取っておくの! あると嬉しくなるから

 !』


「意味わかんないわね… あるなら使いなさいよ」


『んむむ…』


「ティッシュパックしなさいな」


『ほえ?』


「例えばこの化粧水とかね、たくさんティッシュに含ませて、顔にはりつけるのよ。シートパックにして使っちゃうわけ」


『ほぉぉ…女子力高めぇ…』


「そんなこんなして使ってれば、すぐに無くなるわね。私も使うわ。捨てるのはやめときましょう」


『うーん~… ためこむんじゃなくて、使えるものは使えってことかぁ~ モグモグ』


「そうよ、使わないと逆にもったいないでしょ」


『そぅだねぇ~ モグモグ~』


 一段落してまた食べるのを再開した本体ちゃんを見てると、私もお腹が空いてきたわ。ぐっすり寝たあとだし、自分にもトーストを作ろうかしら。コーヒーも飲みたいわね。


 キッチンで色々と作っていると、本体ちゃんがモグモグしながら、何か独り言を言っているのが聞こえてくる。


『なるほどぉ… そこまで考えたことなかった… あるだけじゃ意味無いかぁ~ モグモグ』


 独り言をしながらも、食べることを止めないこの子に、キッチンから声をかけてやるわ。


「あ、起きてから見たんだけど、あんたが作った紙袋BOX、かなり役に立ちそうね。すんごいキレイに出来ていたから、びっくりしたわよ」


『ほんとにぃ~? えへへへ☆』


「そーゆー事なのよね」


『んにぃ~?』


「溜め込んだり、買い込んだり。そこで満足しちゃうかもだけど、ちゃんと活用してこそ物は役に立つのよ。整理整頓って、そーゆー事なの。だから今、がんばってるのよ、」


『にゃるほどぉ…深いぃ~』


「この調子で、使いやすいように整理しましょうね」


『はぁい~☆』



 はぁ、なるほどね。


 物がたまっていく構造って、こういう事なのね。必要な物しか買わない私には、よく分からないことだったわ。


 これも一種のセロリタイムだけど、今回は(も?)私が指導していかなきゃだわ?


 そして、どんどん、 私が使いやすいように部屋を片付けていこう…


 一応入れ替わる予定だし?


 というか、同居生活の今だって快適にしないとね。


 ああ、同一人物なのに、なんでこんなに違うのかしら?

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