Bone to be kind?

 カタカタカタカタ

 カタカタカタカタ

 カタカタカタカタ

 カタカタカタカタ


 ふう。


 あ、皆様こんにちは。絶賛仕事中のドッペルゲンガーです。


 あの子から小さい冷蔵庫をプレゼントされて、なかなかの浮かれポンチ状態だわ。タイピングが進むわ進むわ。


 さて、せっかく冷やしたドリンクを飲みつつ…ふう、美味しいわね。


 でも!!!


 顔には出さず、キリッとする! それが私のポリシーよ!


 でもねぇ…やっぱりプレゼント頂くって、嬉しいものねぇ… ふふ。手作りのポケットティッシュケースと丸っこくて可愛らしいミニ冷蔵庫。


 エモいわぁ…


 おっとちょっとニヤケちゃったわね、自重しないと。


 さて、お仕事お仕事。時計を見れば午後2時。よし! 仕事を捗らせないとね!!!


 カタカタカタカタカタカタカタカタ

 カタカタカタカタカタカタカタカタ

 カタカタカタカタカタカタカタカタ

 カタカタカタカタカタカタカタカタ


 …


 うん…張り切りすぎたわ…疲れてきた…


 これ、私の悪いクセよね。テンション上がると、全てにおいてすぐに張り切っちゃって、気付いたらめちゃくちゃ疲れちゃうのよね。


 よし、ひと段落してきてるし、少しソファで横になりましょ。


 横になろう、なっちゃおう。


 …ああ。


 ああ~これよ~こうなるのよ~

 そうよ~夕ご飯作りたくなくなっちゃったわぁ~


 うん。


 そうなるとは思って、横になった。その判断に後悔はないわ。休むことのなにがいけないのよ!


 …なんかテンションおかしいわね、私。休養が必要ってことよ…


 晩御飯はあの子に買ってきてもらいましょ。そうしましょ。LIMEしましょ。


 スマホの画面すら面倒だけど、緑色のアイコンをポチッとタップして…と。


〈ご相談が御座います┏●〉


 すぐに既読が着いたわ。シュパッと音とともに即レスが来る。ちゃんと仕事してんのかしら、この子?


《なーんかデジャヴぅ~ꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ》


〈たしかに、10話目でもこのやりとりあったわね〉


《あったねぇꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ どしたのぉ?》


〈お夕飯作りたくないの。ソファから動けないわ〉


《かしこまりだよぉ(*`・ω・)ゞビシッ!! 買っていくよぉ!》


 理解が早すぎる。こういう時、この子の判断は早いわ。助かるわね、ほんと。


〈さすがね、話が早いわ〉


《でもぉ、毎回ワックじゃなぁ~(・᷄-・᷅)》



 まあ、確かにワックの気分でもないわね。かといって、疲れすぎて思い浮かばない… 本体ちゃんに任せましょ。


〈なんでもいいわよ? 好きな物買ってきて〉


《センタッキーはぁ?》


〈あ、いいわねぇ〉


《テキトーに買っていくねっ‹‹\( ˙▿˙ )/››》


〈お願いします┏●〉


 よし、守備は整ったわ… これで、ソファから動かなくてすむ… ちょっと寝ようかしらね…


 午後3時…?


 うん、丁度お昼寝にぴったりの時間。 みなさま、おやすみなさいませ。


 Zzz…


 Zzz…


 Zzz…


 Z…


 …


 ピンポーーーーン



 びっくりした! え!?


 驚いている眠気まなこで時計を見れば、なんと午後6時じゃないの。すんごい寝てしまったわ。


 フラフラした頭で玄関に行き、鍵をあけてドアを開けてあげれば、本体ちゃんが元気に袋を掲げながら入ってくるわ。


『ただいまぁ~☆ センタ買ってきたよぉ~!食べよ食べよぉ~☆』


「はいはい、先に手を洗ってね」


『おっけぃぃ~!』


 本体ちゃんの元気なテンションを食らって、少し頭がはっきりしてきたわね。


 にしても、忘れてたわ。そう、センタの罠を。


 本体ちゃんが手を洗ってきて、ルームウェアに着替えてきた。ピョンピョンと跳ねるように来たところを見ると、センタが食べたくてしょうがないらしいわ。


 本体ちゃんはちょこんと座ると、もうサッと袋に手を伸ばす。早いわね…


 でも、私はゆっくりとセロリタイムを始めるわよ。


『いただきまぁす☆』


「いただきます。…ね、ひとつ聞いていい?」


『んん~?モグモグ なぁにぃ?モグモグ』


「あんたね、かぶりつきながら話すんじゃないわよ」


『食べてる時にぃ~話しかけるからぁ~』


 夢中で両手にピースを持って、食べ続ける本体ちゃん。食べることとなると、ほんとにすごいわね…


 で、


「あの、これ、骨ありの方が好き?」


『そうだよぉ~! 骨がある方が美味しいぃ! この辺をかじるのが美味しいぃ~☆』


「あー…なるほどね…」


『あ、もしかしてぇ~ モグモグ』


「そうなのよ」


『骨が無い方が好きなんだぁ~? モグモグ』


「手が汚れるのと、骨が残るのが、なんか苦手なのよね…」


『んっふふう~☆ だから手が進まないんだねぇ~?』


「せっかく買ってきてもらってるけど…」


『そんな事もあろうかとぉ~! じゃじゃーん!』


 本体ちゃんは袋に手を伸ばすと、その中でも小分けにされてる紙袋を取り出して、目の前に広げ始めたわ。


「ん?骨無しセンタ?ツイスター?カツバーガー?」


『ほかにもぉ~☆』


「わ、オニオンフライ!ビスケットに、ポテト! コールスローもあるわね!」


『あたしが骨有る方が好きってことはぁ~、ドッペルさんは骨無い方が好きかなって思ってぇ~☆』


「へええ… よく分かったわねぇ…」


『なーんかぁ? ドッペルさんはそうなんじゃないかって思ってぇ、色々ぉ☆ どれが好きか分かっておきたいしぃ~☆』


「はは、さすが本体ちゃんねぇ」


『骨があるのはぁ、全部あたしのぉ~☆ 好きなの食べてねぇ~☆』


「はいはい。あ、昨日のポケットティッシュがたくさんあるから、指拭くのに使って。どうぞ」


『あーりがとぉ~☆ モグモグ』


 私も頂こうかしらね。骨無しセンタを一口かじって、コールスローを一口たべて…


「ああ、美味しいわね」


『好きなのを食べるのが一番だよねぇ~☆』


「そうね」


 まあ、いろいろと買ったおかげで、二人じゃ食べきれないくらいの量が目の前に広がってるけども。


 まあ、明日も食べられるわね。気にしないで、好きなものを食べようかしら。


 うーん、それにしても。


 この子の、こーゆー所なのよ、前から言ってるけど。


 普段はボーーーっとしてるのに、こーゆー時はビシッとキメてくるのよ。


 なんにも言わなくても! こーゆー所なの! だから面倒見たくなっちゃうの! どんどん可愛く見えてくる!!!


 もうもうもう!


 入れ替わるのって、こんなに大変なのね!?

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