ほかほかのシチューの愛ってぇ~?

 お…お掃除…疲れたよぉ…


 ドッペルさんのこだわりが強過ぎてぇ~…


 あたし、お掃除もお料理も苦手なのにぃ…

 ドッペルさんが急に張り切ってぇ、なんか指揮官みたくなってぇ~…


 色んなところの掃除が始まってぇ~…

 も、もう~なんにもしたくないよぉ~…

 お休みの日って、休むためにあるんだよぉ~…


 あ、本体ちゃんだよぉ、やっほ~☆


 ドッペルさんとあたしって同じ人のはずなのに、なんでこんなに違うんだろぉ?


 顔も身体もぜーんぶ一緒ぉ~!


 なのに、中身が全然ちがうのぉ? 本当にあたしが本体なのかなぁ?


 もしかしてぇ、ドッペルさんが本体? あたしがドッペルゲンガーなのかもぉ?


 え~、可能性あるぅ~! やばーい☆


 とか言ってもぉ、実際、二人いるしなぁ~?

 意味わかんない☆


 とりあえず、お腹すいてきちゃったよぉ☆


 おやおやぁ?

 今日の夜ごはんは、買ってくるんじゃなくて、ドッペルさんが作ってくれるみたいぃ~☆


 お掃除してピカピカになった部屋の中を眺めて、やり切った顔してるぅ☆

 そんな中で、お料理したくなっちゃったみたい☆


 あたしはお料理キライだけどぉ、お手伝いはしないとねぇ~。

 お掃除も、ドッペルさんが光速で動きまくって、今日中に終わったんだもんねぇ☆ 少しはあたしも動かないとねぇ~…うにゅ~…やりたくないけどねぇ~。


 ドッペルさんは、ピカピカになったキッチンに、冷蔵庫やストッカーから色々出してきて並べだしたよぉ~



 玉ねぎと~ 人参と~… あの緑のはブロッコリーだ~☆

 小分けに冷凍してあるお肉を解凍してぇ…


 カレーかなぁ? 肉じゃがかなぁ?


 んー…あ、ルーを出してきたぁ~。 あ、白いやつぅ☆


 シチューだぁぁ! やったぁ! 踊っちゃおっかなぁ☆

 思わずドッペルさんの背中に飛び込んじゃうぅ~☆


『ドッペルさぁん☆ シチュー?シチュー?』


「そうよー」


『わぁい~! すごい好きぃ~☆ 早く早くぅ☆』


「わかったわかった。もうすぐ出来るから、お皿出しといてね?」


『はぁ~い』


 あたしのお仕事ぉ☆

 戸棚からシチュー皿を2つ出してきて、並べておくよぉ☆


 さて、ごはんごはん☆ これは欠かせないよねぇ~!


 ん? あれぇ? 炊飯器を見ても炊けてないぃ~? あ、冷凍ごはんを解凍するのかな?


 冷凍庫を覗いたら、お茶碗1杯分に小分けした白米が何個かあるぅ☆ ドッペルさんって、こーゆー所がマメだよねぇ~。


 さてさて、出てきたお皿にのっけて、解凍レンチン~!


 ヴーーーン


 ワクワクしながらレンジを見てたら、ドッペルさんが訝しげな声をあげてきたよぉ~?


「…え?」


『ほえ?』


「シチュー皿で解凍してるの? お皿がびちゃびちゃになっちゃうじゃない。別にしてよ」


『えー、洗い物増えちゃうぅ』


「いいじゃない、洗うの私だし。そんな手間じゃないわし」


『どうせご飯にシチューをかけるんだから、一緒だよぉ~☆ 時短時短~☆』


 …



 ヴーーン



 …



「はぁっっっっっ!?」


『ほあ!?』


 いきなり大声だすから、心臓が口からおえーってなっちゃうよぉ~。 マジでびっくりしたぁ~!


 すごい勢いでこっちを振り返るドッペルさん、すごい形相~☆ かわいいけどウケるぅ☆


「今なんて言ったのよ!?」


『ほあ!?って言ったよぉ~?』


「そっちじゃないわよ!シチューを!?ごはんにかける!?」


『え… う、うん… そ、そうだけどぉ~』


「カレーじゃないわよ!?」


『えぇ~? うん~…?』


「ホワイトシチューよ!? ビーフシチューならともかく!」


 あ、あれぇ? なんかこれってセロリタイムぅ? でもなにかおかしい…こと…あったぁ?


『なんでそんなに驚いてるのぉ…?』


「ホワイトシチューをごはんにかけるって、初めて聞いたわよ!?」


 えぇ? あれぇ? シチューって、ご飯にかけるものだと思ったんだけどぉ…?


 これってもしかして、セロリタイムの真髄ぃ?


『え…? いつもそうやって食べてたよぉ~? それが普通だと思ってたぁ…』


「そ、そうなのね… これは本物の認識のちがいだわ… 私の方なんてわシチューがあったのに、お味噌汁もあったわよ…」


『それも… どうかと思うよぉ~…?』


 レンジのヴーンって音を聞きながら、2人で固まっちゃったよぉ…


 見つめあったまま驚いてたら、レンジのチンって音が響いて、二人でハッとしたぁ。


 あたしはレンジの扉を開けて、アチアチしながら温まったご飯の乗ったお皿を出して、ラップを取って、いい感じに白米を解していくぅ。


 湯気が立って、いい感じぃ☆


 ドッペルさんが腕組みをしながら、感慨深げに呟いたぁ。


「んまぁ~、文化って色々あるのねぇ」


 ドッペルさんの向こう側には、ホワイトシチューがポコポコって湧いてるぅ。 丁度出来上がったかなぁ☆


 せっかくだから、ドッペルさんに食べてもらおっかなぁ☆


『ね、シチューかけてみるぅ? 途中でねぇ、リゾットみたくなるんだよぉ~☆』


「まぁ… 確かにね。考えてみればそうね?」


『そそそ☆ 美味しいよぉ☆』


「うーん… まぁ、物は試しよね。食べてみるわ」


 そうと決まったら、さっそく準備準備ぃ☆


 ご飯をお皿の半分に寄せて、ドッペルさんが作ったシチューを、空いたところにたっぷりかけたよぉ☆


 うーん、あたしにとっては、ヨダレの出る光景ぃ☆


 ドッペルさんはそれを覗き込んで、意外そうな表情をだしてるぅ☆


「まぁ… 悪くはなさそう…ね?」


『そうそう~☆ ほらほら、早速食べてみようよぉ☆』


 もう1つのお皿にもシチューをたっぷりかけて、2人でリビングに持って行くよぉ☆


 スプーンをもって、いただきますぅ☆


 恐る恐るすくって、口に運んだドッペルさんの顔が、パッと明るくなったぁ~!


 あ、これ、響いたんじゃないぃ~??



「あらー、けっこう美味しいわー」


『でしょぉ?』


「ドリアとリゾットの間くらい? なかなか良いわね」



 次から次に食べるドッペルさんに、あたしもドヤ顔しちゃうぅ☆



『でしょでしょぉ? 食べて見なきゃわかんないでしょぉ~?』


「そうねぇ。良い事教えてもらったわ! ありがとね」


 …



 でへへへへぇ~~~


 ドッペルさんにお礼言われちゃったよぉ☆


 んふふぅ~、あたしも食べよっとぉ☆


 パクパク食べていくとぉ、どんどん幸せになってくるぅ~


 なんかぁ、こうしてるとぉ~


 さっきまでぇ、本体とかドッペルゲンガーとか、どっちがどっち?とか考えてたけどぉ


 どっちでもいいような気がしてきたぁ~!


 だってぇ、どっちも良いところあるんだよね??


 同じ顔で、同じ格好だけど、あたしたちって、ちゃんとした人間なんじゃないかなぁ~?


 まぁ、難しいことは後でいいかなぁ☆

 シチュー食べよっとぉ~☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る