号泣 The ケチャップの袋

んんん~、よく寝たぁ~

まぁ、いっつもよく寝てるんだけどねぇ☆


おはようございまぁす~! 本体ちゃんだよぉ~!

お仕事行きたくないよぉ、お腹空いたよぉ、なんか食べたぁい~。


と思ったら、台所から良い匂いがしてくるぅ~☆ ご飯の炊けるホワホワなやつと、お味噌汁かなぁ? お腹がなっちゃう~☆


ってゆーかぁ、ドッペルさんがうちにきてから、あたしが家事をする事が減ったんだよねぇ。 あたしのお料理は冒険系(化学兵器ともいう☆)だし、ドッペルさんが何も言わなくても色々やってくれるから~。もうドッペルさん、大好きぃ☆


それからそれから~、なんか最近の流れから、在宅ワークをするんだー!って張り切っててぇ~? なんかのHPでの申し込み画面で何かしてたと思ったら、ピコンってメールでなにかが送られてきてぇ。それを見た瞬間に顔つきが変わってぇ、すごい速さでタイピングして、メールを返してるのぉ。

そんで、カチカチって何かのデータを開いて~、カチャカチャって文章打ったり、写真とかイラストをポチポチしてるぅ。 そんでメール返して~って、何回も繰り返してるぅ。


なんの仕事なんだろうねぇ?


ってか、ドッペルさん、PCの扱い上手すぎない~?

ここに来るまでは普通に仕事してたって言ってたけど、なんの仕事してたんだろぉ...?


それが終わると、ううーん!って伸びをしたり、楽しそうに家事をしてるよぉ。もしかして、家事がストレス発散になってるのかなぁ? あたしにはイミフ☆


特にお買い物が好きみたい~。お外に出たいのかなぁ?


あたしが仕事に行ってる間、バレないように、代わりに行ってもらうことが多くなってぇ~! お仕事から帰ってきてからお料理の材料があると、とても嬉しくなっちゃうよねぇ☆


まぁ、あたしはお料理しないって決めたけど☆ ってゆーか、料理は絶対しないで!って、ドッペルさんから必死な顔で言われたけど☆ きゃは☆


さてさて~、ドッペルさんが作ってくれた朝ごはんを食べてぇ、お仕事に行かなきゃね~☆


あたしが仕事から帰ってきたら、ちょうどドッペルさんもお買い物から帰ってきた所だったぁ。


「今日はオムライス作るわよ」


『うわっほぅ! 大好きぃ☆ はやくはやくぅ~!』


「あーはいはい、落ち着いて」


あたしが急いで鍵を回してドアを開けてあげると、ドッペルさんはまっすぐに冷蔵庫の前に行って、買ってきたものでパンパンのエコバッグをドサッて置いたよぉ。しゃがんでせっせと食材を移してるところ、見てておもしろいなぁ~。


あ、オムライスにかけるために買ってきたのかなぁ? ケチャップを取り出して、パンっと音を立てて袋をあけると、その袋のまま、冷蔵庫のドアポケットに入れたよぉ。


ん? んんん? あれ?


これってもしかして、セロリタイムきちゃったぁ~?


『あれぇ~?ケチャップ袋の袋、捨てないのぉ~?』


「捨てないわよ?」


『ええ~?そのまま入れるのぉ?カサカサうるさくない~?』


「うるさくても、チューブが汚れそうで嫌」


こっちを見ないまま、あたしと会話してるドッペルさん。


ってゆーかぁ、さっきから面白くて眺めてるけど、手際よく食材を冷蔵庫に入れていくその背中って、なんかの達人っぽい~☆


あ、話が脱線しちゃった☆

話を戻して、更に話しかけてみるよぉ。


『ケチャップ戻す時、袋がクシャクシャ~ってなんない~?』


「んな事分かってるわよ。使う時、丸ごと出すに決まってんでしょ」


『えええ~めんどくさぁ~』


のんびりと答えるあたしに、ドッペルさんは、急にスクッと立ち上がって、こっちをキッと振り向いたのぉ。


「...これだけは譲らないわ!」


『ほえ?どしたの~?』


ポカンとするあたしに、ドッペルさんは超マジ顔で、更に続けるぅ。


「ぜっっったい嫌! チューブが他の容器と触れ合ってるの、なんとなく、絶対、いやぁぁぁぁぁ!!!!」


ふ、ふおおう? ドッペルさん、頭抱えて叫び出したぁ… え、あの、“なんとなく、絶対”って、ドッペルさん、日本語おかしくなってるよぉ? さすがのあたしも、戸惑っちゃうよぉ?


『ど、どしたのぉ? なんかあったのぉ?』


「昔!ケチャップとマヨネーズを間違えた事、あったのよ!」


『ほむほむ~』


「見間違えるわけないじゃない!? 赤と白よ!?」


『そ、そうだよねぇ~』


「でも形が同じなのよ!間違えるのよ!ショックだったのよ!」


『う、うん~』


「だから! 袋に入れてれば、一度容器を見るじゃない!?」


『そ、そうだねぇ~』


「それに、口の所の、あのちょっとだけ出る、あの感じ!!」


『ふみゅーん』


「アレが垂れて、他の容器に付くと思うと!」


『ふむふむ』


「どーーーーしても嫌ああああーー!!!」


『そ、そうなんだぁ~?』


えーとぉ… ドッペルさんが、今までにない拒否反応を起こしてるぅ~。 なんかのトラウマ背負ってるっぽいぃ~。ってか、ドッペルゲンガーにトラウマって、なかなかよく分からない現象なんだけどぉ~?


あ、でも、そんなワケわかんないこと考えてる場合じゃない~! 泣き叫び出しかけてるドッペルさんをなんとかしないとぉ~!


頭を抱えちゃってるドッペルさんの肩に手をおいて、ポンポンしながら、なだめたよぉ~


『わかったよぉ~、泣かないでよぉ~、袋のまま使おうねぇ~』


「分かってくれてありがとう…ぐすっぐすっ…」


『あたしも汚れないように協力するからぁ~!ねっ?』


「ありがとう…ありがとう…」


あたしの手を握って、メソメソするドッペルさん。


突然過ぎて、超びっくりしたぁ~。


しばらく肩をなでなでしてなら、ドッペルさんは落ち着いてきたのか、目元ををぬぐいながら卵を取り出してオムライスを作る準備をしだしたぁ。


ってゆーかぁ~?


最初はミステリアスな怪奇現象っぽくしてたけど、どんどんキャラ崩壊おこしてるぅ~。 なんかあたしが心配することじゃないけどぉ、大丈夫かなぁ? もしかして、入れ替われないから情緒不安定起こしてるぅ?


まあでも、あたしは、ドッペルさんと入れ替わる気はこれっぽっちもないからなぁ~。入れ替わりかたも知らないしぃ~、知る気もないしぃ~。


ドッペルさんは、ドッペルさんでいればいいのになぁ~?


まぁ、面白いから、もう少し一緒にいてもらおっと☆

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