真っ暗にしたい部屋と淡いニャンコ
あけましておめでとうございます!
ちょっと遅いかしら???
新年のご挨拶は早々に…
で、
あまりにも、余りにも、アマリニモ!
本体ちゃんとの同居が、今までと違いすぎるのよ!同一人物なのよ!?どうしてこんなに違うの!? しかも、良いように転がされてる気がしてならない… タンス貯金ならぬバッグ貯金がバレてしまったわ…
は? 額? 本体ちゃんにだって教えないわよ!まあ、ウン百万とだけ言っとくけども。
あれよ、自分がドッペルゲンガーって知らされてから、入れ替わった後の生活が心配だったから!
だってさ、それまで働いてた職場、退職しなきゃいけないの分かってたから! 内緒で、webワークまでして、コツコツ貯めてたのよ! そんで、来てみたらやっぱり! 本体ちゃん貯金してないじゃないの!
かと言って、現ナマ貯蓄は狙われたくないから、なんとか口座作って、通帳を隠しておかなきゃなのよ。本体ちゃんに名義貸してもらうよう、交渉ね。
なんだけど… 前回、本体ちゃんが言ってる事も当たってるわけ。私は今、ニートなのよ…
Doppelganger is NEET
(流暢)
いや、普通に考えて、入れ替われないならニートにしかなれなくない? 怪奇現象が仕事しててたまるか!
といっても、今までは普通の人として暮らしてたし、仕事してたし、なんかこう、稼ぎたい欲求はある… そして、何故だか色んな家事は代行してるけど、収入がない事には引け目を感じるわ…
そう!私自身が気になるのよ!入れ替わるはずが、お世話になってるこのザマ!だめよ! 在宅ワークを探すのよ! 入れ替わるまでの間、なんとか顔を隠して収入を得てやるわ!
…
ふう…
なんか張り切ってばっかなのよね、謎の疲労の原因は、たぶんコレね… たまには頭も体もしっかり休まないとよね。寝るのが一番だわ。
ってか、今、夜の23時。
横を見れば、既に眠そうな本体ちゃんは、スマホをいじりながら、誰にも見せられないような格好でベッドにだらしなーーーく横たわっている。
てめぇコラ。一応、私って人目があるんだが?まぁ、いつもの事だけども。
私はベッドの隣に布団を出してきた。キッチリと敷いてから、電灯のヒモに手を伸ばして引っ張り、電気を消した。 そう、いつものように、豆電球までで止めた。
だらしなーーーい格好でスマホを見ていた本体ちゃんがノソっと頭を上げて、半目で抗議の目線を向けてきた。
『んにぃ〜なにぃ~ちょっとぉ~』
「なによ、寝ぼけてるんじゃないわよ。ちゃんと布団に入りなさい」
『ねぇ~やだぁ~まぶしいよぉ~真っ暗にしてよぉ~』
本体ちゃんはノロノロと布団に入り、うつ伏せになって、電灯の光から顔を背けている。
「あらま、意外ね」
『やだよぉ~落ち着かないよぉ~』
「真っ暗って怖くない?」
『え~?ドッペルさぁん~怖いとか~? か⤴︎︎︎わ⤴︎︎︎い⤴︎︎︎い⤵︎ ︎』
ウザ! 語尾がウザ! なんなのこの子は!
「そうじゃなくて!トイレとか行く時、つまずくの怖いってこと!」
『トイレ~? おばけとか~? うちには居ないよ~?』
「あーもう、聞いてない… いいから、はよ寝て…」
『おばけは居ないけど、ドッペルゲンガーはいるね~』
ウザァァァァ! この子ウザァァァァ!!!
「うるさいわね!? 早く寝なさいよ!?」
『真っ暗じゃなきゃやだぁ~』
「えー… もう、あたしが落ち着かないのよ…」
『目をつむっても~、なんかこう~。光がこう~、入って来ちゃう~。まぶたが眩しいって言うかぁ~?』
うつ伏せになったまま、布団を頭から被って、ミノムシ状態になる本体ちゃん。
なんとなく、また罪悪感が…出てきたわね…
「そうねぇ…まぁ、そこはしょうがないわよねぇ…家主が言うんじゃ、しょうがないわよねぇ」
『んむむ~?』
「まぁ、あたしが慣れればいいか…」
少しだけため息をつき、また電灯のヒモを引っ張り、真っ暗に消したわ。
落ち着かないけど、まあ、慣れよね、慣れ。
『…あ~、そーだぁ~。えっとね~…』
本体ちゃんが、突然に独り言を言いながら、ノロノロと立ち上がって電気を点けた。 暗さに慣れかけた目が、眩しくてクラクラしてしちゃうわ。何してんのよこの子。
クローゼットを開けて、その乱雑に積み上げている荷物の中に手を突っ込んで、何かを探しているわね…?
『あんた、急に何やってんのよ。寝るわよ?』
「あったあった~これあげる~」
本体ちゃんは、荷物の奥底から何かを取り出し、私に差し出してくる。
何かと思えば、小さめの、かわいいニャンコ型ベッドサイドランプ。
『あたし使わないから、使っていいよ〜。ベッドより下に置いてね~。そしたら、あたしには光が来ないから~』
「あ…あ…ありがと…」
『電気は全部消してね〜』
「…わかったわよ」
『おやすみぃ~』
近くのコンセントにプラグを差し込み、ニャンコランプの下の方を探ってスイッチを入れてみた。フワッとした白色の光が、小さく柔らかく広がった。
本体ちゃんはそれを見て、なんとなく笑顔になって電灯を全て消して。ノロノロとベッドに入り、1分も経たないうちに小さく寝息をたて出した。
早いわね、寝るのが…
早いわ…
はや…
ああああああああぁぁぁ!!!
この子は!この子は!! いつもはボヤボヤしてるくせに、ウザいくせに、こーゆーとこなの! こーゆーとこが憎めなくなるの! なんなの!? 悪い男とかなの!?
もうもうもう!なによ!なによ!なによーーー!!
私は貰ったランプをベッド下に置き、それに背を向けて寝た。
なんか… こうもしてやられると、入れ替われる気がしないのよね… とりあえず、もう寝よ…明日考えるわ・・・
おやすみ、世界。
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