バスタオルぅ……

 同居って大変ね………………………

 ↑タメが長い


 前回の服の整理の件といい、本体ちゃんはいつもフワフワしているのよね。掴みどころがなくて、雲みたいな子。


 なのに、図太い…図太すぎるっ! 嗚呼、私の新生活、前途多難だわ…


 …?


 何?どゆこと?ドッペルゲンガー側が前途多難ってなに?本体ちゃんを前途多難にさせる方の存在のハズなんだけど? 何コレ本末転倒。


 はぁ~~~~~

 ↑ため息が長い


 ちゃんと入れ替われるのかしら私… 不安になってきたわ… 奥の手の、ドッペルゲンガー地区に帰ろうかしら…


 ハッ!


 いや!そんな弱気じゃダメよ!ドッペルゲンガーの使命は、本体と入れ替わって、第2の人生を送ることよ!本体に負けてられない!


 身体とったるどーーーー!!!


 はあ… また無駄にテンション上げちゃったわ… 疲れた… 癒されたい…


 あ、そういえば。


 昨日は本体ちゃんが、焼いていた卵焼きを爆発させちゃって、なぜか私が片付けにバタバタしちゃってて、ちゃんとお風呂に入ってなかったわ。


 ってか、卵焼きを爆発させるってなんなの?なんの兵器なの? ああもう、訳分からないわ。少しゆっくりしたいわ。半身浴しましょ。


 一応、家主の本体ちゃんに声を掛けてっと…


「お風呂使うわよ?長く入るわよ?」


『はぁい~ごゆっくりぃ~』


 のんびりした返事を聞いてから、バスタブにお湯をためる。 ああ、蛇口をひねるこの瞬間が良いわよね。タプタプタプタプと。気持ちわかるでしょ?


 あ、そうだ。読者のみなさま。あれ聴いてみてくれない?

 打首獄○同好会の「フ○ーネル」って歌。

 ↑完全なる作者の趣味


 それは置いといて。


 半分ほどたまった頃を見計らって、足先からゆっくりと入る。温泉の素でも欲しいところだけども、居候状態の怪奇現象である私、なんか言いづらいわ。勝手に買ってきて置いとくのもシャクだし。


 まあどうでもいいや。さあ、先に肩まで浸かって…


 ハァァァァァ~~~

 ↑今回は全体的にタメが長い


 ここに来て毎日疲れるわ… 入れ替わるってこんなに疲れるの? この前連絡取ってみたドッペル仲間は、スっと入れ替われたって言ってたけど… なんかマウント取られてるみたいで腹立ったけど。


 まあ、いいわ。 今は癒しのお風呂タイム…頭を悩ませるのは後にするわ…


 って、目をつぶってると、30分なんてあっという間ね。 バスルームを出てから、用意しておいたバスタオルで体を拭く。


 隣にある洗濯機に入れようとした時、


『あ~、ね~、それ次~、あたし使うよぉ~。テキトーに掛けといてねぇ~』


 リビングから、のほほんとした声が聞こえてきた。


 …え?


「使う?なにを?」


『そのバスタオルだよぉ~』


 …え?(2回目)


「あたし1回使ったわよ?」


『知ってるよぉ~?』


 …え?(3回目)


「他の人が使ったやつ、続けて使うの?」


『ドッペルさんは他人じゃないしぃ~あたしだしぃ~』


「そーゆー事じゃなくて! え? 何回も使うの?」


『ええ~?バスタオルって1回で洗うのぉ~?』


 はい、キタ。そろそろお分かりよね、みなさま。

 セロリタイム

 ↑育ってきた環境うんぬんのやつ


「ひと1人分に付いてた水分、吸っちゃってるのよ? 気持ち悪くない?」


『大きいから何回も拭けるよねぇ~? それにぃ、使う度に洗濯機入れてたら、お洗濯物激増だよぉ~』


「そ、それはそうだけど… 抵抗ないの?」


『別にないよ~?』


 この子、よく言えば寛大なのかしら? 私からしたら、バスタオルを使い回すなんて無理。有り得ない。 自分だけならまだしも、他の人とか… いやまぁ、洗濯物が増える事に関しては、居候の身なのでなんとも言いづらいけども。


 ふと、また疑問が思い浮かんだわ。


「じゃ、普通のタオルは?」


『ん~… 使ってから様子見るかなぁ?』


「えー… 私は顔拭いただけで洗濯行きだわ」


『うわわわ~! お洗濯増えちゃう~! 洗剤使う量が増えちゃう~!』


 くっ!


 何となく言い返せないことをいい事に、グサグサと言ってくれるわね、本体!


「ま、まあ、そうね、うん…」

 ↑弱気


『とにかく~!タオルは様子みてぇ~! バスタオルは最低2回は使ってからね~!』


「わ、分かったわよ。私の我慢出来る範囲で…」


「それで良いけどぉ~、何回も洗うの面倒くさーい~』


 あ、寛大じゃなかったわ。ズボラだったわ。


 面倒くさいって言うけど、前回で、洗濯係は私になったはずだけど… まぁ、細かい事はどうでもいい… 疲れるから考えない…


 Don't think feel…


「わ、分かったってば…」


『あたしは気にしないから~、使う順番は~、2回目の時でいいよ~』


 あれ!? 微妙に気を遣われてる!?寛大なのか、面倒くさがりなのか、よく分からない!そして、なんとなく良心の呵責が…!


「そ、そーゆーワケには…!わ、私も何か考えとくから!」


 本体ちゃんは、考えていないようで考えているのよね…


 セロリタイムが来る度に疲れるけど… なんでこう、毎回ギャップが発生するのかしら…?


 ハッ


 ま、まさか、私に何かを伝えようとしてる? 入れ替われるなら入れ替わってごらんなさい的な・・・? そうよ…! この子は、私に挑んでるんだわ!余裕のあるフリしてるのね!? なるほどなるほど…!


 でも…!この子と入れ替われる自信が無くなってきたわ!


 でもでも…!ドッペルゲンガーの意地をみせてあげるんだから!


 試練ね!試練!

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