【3-09】亡き妻への変身
近くの細道を登り、あの
(……そうだ。
降り続ける
そうすることで、ようやく乱れた心に落ち着きが
「……いや、アーテイ氏の言う通りだ。
高台から
すると
「その気になった?」
「ああ。考えてみれば、マハは
黒主の演説を思い出すだけで、ヤツらの望む世界に
マハとは少々親しくなったからと言って、ヤツらの野望を
「じゃあマハがリートを持って
「しかし、アイツはまだ
その特権を求めて争いが起きると知っていれば、他の宿主に油断はしない。
「じゃあ正面対決?」
「それも
敵を知り相手を知れば百戦
それは裏を返せば相手の情報が無ければ、戦いが常に
「だったら、どうするの?」
アーテイ氏が
それを顔に
「別人になればいい。
それを聞いてアーテイ氏が、ぽんと手を打った。
「あっ、そうか!
その答えに
代わりに花畑に混ざって生えているユズの
「そうだ。
いつもは
この
ある条件を満たすことで、
「変身した姿でマハを
だが、そのマハの気さくさが今回は
そうすれば
「ここなら交代のトリガーになるユズも、いっぱいあるもんね」
「ありすぎて困るくらいだ」
身体に変化が起きる感覚。
みるみるうちに
その外見の姿を間近で見たアーテイ氏が、
「うわ、すごい。
「ああ……ユズが群生しているせいかな、いつもより敏感だ」
いつも変身する際はユズをかじるが、別にかじることは
ただ「かじること」が、最も手っ取り早く
「でも代わると言っても姿だけだよね。
「ああ。これまで何度か
代われるのは姿形だけ。心までは
それも経験から習った、変身のルール。
アーテイ氏もそれは知っているので、
「ざんねん。あてぃし1年ぶりに『
「……マリーツィアの言う『
実際にあるとも知れないリートだし、あまりアテにはしていない。
しかし、もし本当にあるのなら――という、
アーテイ氏が
「マハが
辺りからは、いつしか雨音が消えていて。
ぽた、ぽたた……と。
ときおりユズの枝からしたたり落ちる
「分かってる。来い、『
薬師の少女が
しかし、遠のいていく意識の中。
(これは?
予想外の事態。
俺は自分の心に、
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