【3-03】裸の少女と荒くれ三人組
「……ひぃっ!」
ずっと
あわあわと少女は視線を泳がせ、パニック状態になっている。
男
「さっきサルが居た辺りの
「わ、分かった……!」
マハが無事に
やがて入口の
みな体毛が
(うーむ。マハに正面
すぐに判断すると、さりげなく
そのまま何食わぬ顔でくつろぎ、男たちが
男たちは湯に
「おおお……良い湯だな。入っただけで旅の
「明日は
「そうだなあ。昔みたいに
――
もしかすると、目的地の情報が聞けるかもしれない。
男たちの雑談に耳を
お
「今日の
気さくに話しかける。
のどかな温泉の
「おっ兄ちゃん、あっちから来たのか。
男たちも、進路先の情報が
一見すると
「何でも式神が人を
話を聞いた旅人たちも、「事件」と聞いて事の重要性を理解したらしい。
「けどよ、あっちから兄ちゃんは来たんだろう? 平気だったのか?」
「そうですね。夕方には、もう
「そっか。教えてくれて、ありがとよ。念のため明日は気をつける」
とりあえず、いかにも役立ちそうな
後は相手の出方
まだ手札がある様にチラつかせれば、男たちから情報を引き出せる。
男たちが安心したのを見計らい、今度は
「今日は他にも色々と大変でしたが……私としては、みなさんの話も気になります。明日は
ギブアンドテイクと言わんばかりにたずねると、男たちも相好を
温泉の暖に気を
「
「……そうですか」
視線を湯に落とし、しんみりと
だろうな。
もう、あの山間の里が生き返ることなどない。
あの里の歴史は10年前に息絶え、もう――……。
こちらが出した情報に対し、無情報ではあまりに
「ああ。でも最近、風変わりな
どうでもよさげな話ではあるが、せっかくなので
「
「名前が……えーと、マリーツィア・トゥスクルだったかな?」
男が
「そうそう。名前からして
「お前も、よく覚えてるなア」
「『マリーツィア』は『悪意』、『トゥスクル』は『
「けっ、てめーの知識
役に立つかどうかは分からないが、覚えておくか。
少ない
しかし内心に
(はて。何か忘れている気がするな……?)
そのときだ。
バシャリ。
つづけて「や、やめろっ……」という、少女の小さな悲鳴。
さらにパシャパシャと続く、
水音に混ざって聞こえる「放せ……!」「
思い出す。そう言えば、マハを
声の様子から察するに、その
男たちも気付いたらしく、マハが
「んん……? あっちに
「サルでしょう。ほら、あっちにも居ますよ」
まずいな――と思いつつ、
都合良く岩に
「この温泉、サルが出るのか。まさか人を
「とりあえず私が居る間は、暴れてませんね」
「だったら平気か。おーい
サルの姿を見た二人が動きを止め、うまく
しかし残る一人は進みを止めたものの、首をかしげるだけで
「いや……女の子の悲鳴が聞こえたような気がしたんだが」
「おいおい、男湯と女湯で別れてたろ? わざわざコッチ選んで入る女が居るかよ。もし居るとしたら、そりゃ
(居るんだなあ、これが)
後でからかうネタが増えたと思いながら、
このままだと男が
今まで
とっさの反応で進路を
「やっぱり気になる。その裏側を『確かめたい』から、ちょっと『通してくれ』」
どうやら
仕方ない。最後の手段を使おう。
「……『確かめたい』なら、仕方ないですね。どうぞ」
そう返しながら、こっそり男に『
リートを
「うおわッ!?」
いきなり、男が悲鳴を上げた。
それだけではなく何かの
激しく
なるほどな。
今、男は『
しかし『通りたい』は
きっと本心に近い思考ほど
「やっぱりサルでしたね」
マハが身体に巻いていたタオルと、まったく同じものだ。
(何となく、マハがどんな災難に
「くそっ。やっぱ野生動物は、油断しちゃいけねーな!」
仲間を
「女の
「がはは、
「ちくしょう……女の子を
「ふはは、お前らしい
マハがどんな気持ちで聞いているのかは気になるが、少女の危機は去ったようだ。
サルの捨てたタオルが
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