【3-02】マハさん、男湯に突入する
しかし
「
「昼間は
ち、と
思い返せば、昼間は姉上の話を聞いて取り乱してしまった。
しかしベクター女に言われると何だか
「何の用だ」
マハが
「
そう言うとマハは手を差し出し、貸したモノを返してもらうジェスチャーをした。
しかしその気の無い
「断る。だいたい
ウソで
正確には持っていないわけじゃなく、外から見えないだけだが。
ともあれマハが予想しない返事だったらしく、
「はあ!? 持ってない――って、どういうこと!?」
「うむ。気味が悪いので手放した。今ごろ
こちらも大ウソ。
はっはっは。手放さないと決めたモノを、そう
「て、手放したぁ……!?」
しかし、あまりにバレバレの
「ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなーっ!
案外こいつ肺活量あるな――と、こっちが感心するほどだ。
「そう言われてもな。
「いったい、いつ手放した!
「うーんいつだろう。最近もの忘れが激しくてな。金貨10枚あれば思い出せるが」
「これ幸いと、私にたかるなー!」
マハが
やはり信じてくれないか。
だが残念だったな、
優位に立ったことを確信した
「そんなに疑うなら、身体に
「どういう意味よ」
「ほら、そこに温泉があるだろう?
こう言えば、マハも二の足
さすがに男
そう期待して言ったのだが、意に反して
「よ、よ、よ、よ……よよようし、分かった。だ、だったら本当かどうか、私自身の目で確かめようじゃないか!」
おお……かなり声が
よほど
どういう心境かは知らんが、とにかく
こちらは別にそれでも構わんが、もう少し
「当然だが、
「なっ……中に
「残念ながら居た。女とあらば見境なく
それを聞いたマハが、へなへなと
どんな男を想像したかは分からないが、
「――――フッ、勝ったな」
勝利を確信し、
しかし
「い、痛い! 何をする!」
するとマハが顔を引きつらせながら、なおも食い下がってきた。
「ほ、他に人が居るなんて……
「だったら自分で入って確かめてみろ。
起き上がって言い捨てると、また
しかし再びマハが
「ぐおぅんっ?」
二回目の痛打を顔面に受け、不条理に
犯人の少女が、またしても
「そ、それに私は、く、薬師だぞ。人の
(――確かに薬師は慣れていても不思議はないが、お前は絶対に慣れてないだろう)
マハの態度を見て思いながら、ゆらりと立ち上がる。
まあいい。この痛みの
「ようし分かった。ならマハさんのお
そう言うと
後ろを
(だが、まだ勝負はこれからだ)
「マハさんや、さっさと入る
「人が居ないなら、ここで調べればいいだろう!?」
「ここだと寒いから断る。湯船に
主導権はこちらにある。戦場をどこにするかは、
つれない返事を投げつけられ、マハが大きく
後ろから、マハがトテトテと
「おやおやマハさん? あなたは
「そ、それは……」
「入るなら
「そんなの! 知ってるに! 決まってるだろうっ!?」
半分近く
「ううう……こっち
「お前、
とはいえ、
やがてペタペタと、少女が
ようやく終わったかと思い、視線を
「あのう、マハさん? お手持ちのそれは一体?」
「あ、ああ……これでキミの身体を洗ってあげようかな、と」
マハが
(――お前はヤスリで人の身体を洗う気か)
「はっはっは……ヤスリは人を洗うためのモノではありませんよ?」
「はっはっは……こちらの方が、より
念のために
まったく、ああ言えばこう言いやがって。
(……この女、
もはや
(――さて。自ら男湯に
温泉の
おお、来ている来ている。
マハはヤスリを両手で構え、しきりに切っ先を左右に向け、
まるでゾンビかゴブリンの
「こっちだぞ。早く入れ」
気軽に声を
「……他の男は、どこだ」
「何のことだ」
「だって、中にケダモノじみたヤツらがいるって」
ああ、そう言えば最初に話したな。
さっきから
見つけたら迷わず
「ほら、あいつらだよ」
指さした先には、二
サルは
「サ、ル……?」
「ケダモノじみているだろう?」
正体を知って
さすがに
「そんなところで
「うっ……るさい、
立ち上がる力が出ないのか、マハは
「よし。じゃあ
――と、意気を
ここまで
仕方ないので、
――――…………。 ――――…………。 ――――…………。
「どうだ。どこにも
「……確かに、無い」
十分か二十分ほど
これだけ入念に調べても見つからないので、ようやく白旗を
「気が済んだのなら上がるぞ」
「でっ、でも。宿ったリートは時間が
「まだ
そう
「うっ……し、仕方ない。ここはいったん、リートのことは
「物わかりがよくて結構。じゃあ出るぞ」
さすがに旅館の男湯に、女一人で入り続ける
「どっ、どうした。早く」
後ろからマハが
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます