【2-05】マハさん、おっぱいを奪われる
ゲームの対戦を
すぐに周りの兵たちが動き回り、どこからかテーブルと
「ルールの基本は
黒主も対戦席に
「100枚の山札を引いていくダケ。引いた札が男なら自分の手札ニ、
「ああ、そのとおりだ」
だが
「……要は勝負は完全に
「公平なルールなら別に構わないが、どのような?」
勝敗はどうでもよいので、つい気軽に応じてしまう。
すると黒主が
「ボクの『
そう言った黒主が指をパチンと鳴らした
それまでの深秋の
庭園に散開していた兵士たちも姿を消し、人の気配が急に無くなる。
残った生物は近くのマハと、黒主の周りをうろつく三羽の
「何これ!?」
マハが
しかし
「あ。マハ・ベクターも連れてきちゃっタ。キミは
と、
「はあ!?
事故めいた言い回しにマハが血相を変え、黒主に
しかし黒主は悪びれた様子も無く「テヘペロ」と言い舌を出すと、今度は
「ツマリ、ここは夢の世界とでも思ってくれればイイ。夢だからココで傷ついても現実には傷つかナイし、ここでボクたちが傷つくこともナイ」
そう言うと黒主は、いきなり自分の
「ぐさーっ」
ヘンな効果音を自分で言いながら
頭に傷が出来ることもなく出血もなく、もちろん痛がる様子も見せない。
「……とまあ、こういうワケだヨ。キミらもチョット
言われて
やはり黒主と同じように傷も出血も
「ふうん……?」
「お前も
「
「いったぁぁぁぁぁい!!??」
しかしマハが無造作にヤスリを
見るとマハが
それを見て黒主も目を白黒させていたが、すぐに舌をペロリと出すと。
「あ。ごめン。マハ・ベクターには設定を適用するのワスレテタヨ」
と
収まらないのはマハで、
「なんで、アタシばっかりそうなのよ!!」
「いやあゴメンゴメン。すっかり忘れてたヨォォ」
黒主の首元を
ガクンガクンと首を
「とマァ、こういう場所なンだ。要するに安全ってことサ」
「なぜ、こんな空間を持ち出した」
「
「そのルールが、
黒主の意図が分からず
「そう。この空間では、ボクの用意した
「どんな内容だ」
ロクでもないルールなら困るので、
黒主が楽しげな顔で、そのルールについて話し出した。
「簡単だヨ。札を引いて三十秒以内に、札の
「例えば?」
「そうだなア、
そう言うと黒主は、
その絵札には男の貴族の絵と共に、こう書かれている。
声きく時ぞ 秋は悲しき
先ほど黒主が言ったルール通りなら、最初の文字は「
実際、黒主も首をかしげると、「お……お……」とつぶやいて考え始めた。
「『お』から始まる言葉なら、何でもいいのか?」
「そうだヨ」
辺りを見回す。庭園、樹木、草花、景石、
――と、横にいるマハの顔を見た黒主が、ひらめいたように笑うと。
「じゃあ……『おっぱい』!!」
黒主は目を
するとその直後、黒主側の
ぷるんとした
「うーん、少しチッチャイネ。例としてはビミョウ?」
「それ、本当におっぱいか?」
「そのハズなンだけど……」
おっぱいと呼ぶには少々サイズ不足なので、
首をかしげた黒主がツンツンつつくと、
薬師の少女は顔をこわばらせると、自分の胸を何度も
「どうしたマハさん」
「……………………」
返事が無い。無い――が、その視線は
その視線で事態を何となく察した
「黒主。それが本当に『
「名案だネ。どれ、コネコネ……ワーおもしろーイ、先っぽ
心なしか子供みたいに楽しそうだ。まあ見ている
「はうっ……んんっ!」
一方、
本人は
(
マハが身をくねらせて
うんうん。黒主が持ち出した例としては、実に参考になるぞ。
(と言うことは、ここまでの黒主の説明にウソは無さそうだ)
言葉の定義によっては、男の
しかし現実には
(黒主が傷つかないよう設定したから、
一方でマハは設定の適用を忘れられたから、おっぱいを
そう考えると、黒主の説明とは完全に
(ずいぶんと言葉の
とは言えウソがなくルールとして実害がないなら、ゲームとしては成立する。
「――
黒主に失言させるのが本来の目的だし、ここはヤツを夢中にさせておくべきだ。
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