【2-02】言葉の蛇『文字鎖』
……………………。
………………。
…………。
「……
少女の声で、
目を開けると、
「
聞き返すと、少女が
「
答えが返るのと同時に、ぼやけていた視界のピントが合い、
見覚えのある顔だった。
「なんだマハか」
「なんだ、じゃないでしょ。それが助けてくれた恩人に
「……そうなのか?
マハに言われて、
確かタワーの展望室で黒主に
そう。あの高いタワーから飛び降りたはずだ。
「まあ私が助けたと言っても、単にその辺で気絶してたんだけどね」
マハに言われ、
問題なく身体は動く。痛みも無いし、内臓にダメージも無い。
「……気絶してただけ、だと?
「そうなんだ? でも無傷だったよ。きっと
マハが
「
「
「そんなものなのか……うん? お前みたいに?」
マハが自分で口に出したことで、
そう言えば、コイツは教会で
(しかし今のマハが着ている服には、あのときの
どこかで
「そう言えば、お前はどうなんだ。教会で
するとマハが
「……そんな細かいこと、どっちでもいいでしょ?」
この女、自分の生死が細かいことだと言いやがった。
そこまで言い切られると、
「お前にとって、自分の命の話題は重要ではないのか……」
「それより。本当に
「それは…………」
身体は無傷でも脳に
ほんとうは、あるよ――……。
あなたと、あるよ――……。
まぶたを閉じ、そっと心に言葉を
心が温まるのを感じながら、ゆっくりと目を開けて答える。
「…………妻の夢を、みていた」
それを聞いたマハが、これまでで一番の
「あなた、
本人も言ってから大声に気づいたのか、ハッと口を手で
その
「名前は
「みず、はら……かなで?」
そう
しばらく
「…………そう。ごめん、言いたくない秘密に立ち入って」
「気にするな。それに、こんなことは秘密でも何でも無い」
興味本位で個人の事情を聞き出したことを、マハなりに
実際、過去のことを口にしてナイーブになるほど、神経質な
「ならいいけど。じゃあ私はちょっと外の様子を
マハはそう言うと、
外と言われて気付いたが、ここは
周囲は
「外の様子?」
その
「さっきまで黒主の式神が市中を
式神の
それに展望台の
(だが――本当に、そうなのか?)
あのタワーから落ちた
となると、部隊が
ともあれ情報が
「そうか。終わったら
「当たり前でしょ。
「『
リートの
本人に聞いてみたいところだが、話がこじれそうなので
「様子が分かったら
「任せておけ。主人を待つ忠犬のように、大人しくしているぞ」
「絶対だからね!?」
念を
やがて
「さて……と。アーテイ氏、行くぞ」
「あの子には『ここを動かない』って、言ったくせに……」
「はっはっは。あんな口約束、守るわけがなかろう」
何ならリートを
マハも余計なことは言わなきゃ良かろうに、
「それで、どこに行くの?」
「知れたこと、黒主のところさ。
展望台で
ヤツの情報を
そのためには
こんな機会を
「アテがあるのー?」
「無い。だからまずは情報集めからだ。ついでに今のうちに、お前も情報を
「ふえ、あてぃしの情報?」
アーテイ氏はとぼけるが、
「
再び黒主に相対するのは当然として、無策で再戦を
出来るだけ
「ああ、文字
「便利じゃないか」
アーテイ氏の話を聞いていると、かなり便利なように思える。
そう思っているとアーテイ氏が指を立て、今度はデメリットを教えてくれた。
「リスクもあるけどね。使いこなすには意識を
「
「『言葉』を
つまるところ
それでも
「リートの
「もちろん! あんな姿をイメージしてみー?
するとすぐに
その
『宇可利計留 人遠者川世能 山於呂之』『波遣之可礼登波 以乃良奴物遠』
現れた文字
「ふぅん」
ヒュウッ――――!
風を
その目にも
「速いな。しかもコンクリートの
二度三度と、
この文字
さらにアーテイ氏の話どおりなら、
「すごいっしょ、えっへん!」
「
ということは、姿を消すのもイメージなのか。
少し念じると、すぐに文字
とは言え、再び念じればすぐに呼び出せるのだろう。
(よし。まず課題の一つはクリアだ)
黒主と再戦したとき、今度は文字
他にもリートの知識は不足しているが、それは情報収集しながら聞き出そう。
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